スペインに関する本を読むのであれば、中丸明の著本を読まない手はないのだが、毎度毎度思うことは、彼が書いている書物の中の文体が、ほとんど酔っ払いの名古屋のオッサンが書いているような文体なので、名古屋以外の人が読むには、とてもスラスラ読める代物ではない。そして、ところどころ、オッサン正気か?というような文章の書き方をしていて、書いているときにはとても素面ではないんじゃないのか?と疑問視をしてしまうような書き方には、何度読んでも馴れない。一度でいいから、まともな言葉で、ただしいスペインについての書物を書いて欲しいところである。
本人はスペインに長く住んでいるのだろうと思うことと、ドン・キホーテを中心とした、スペインとスペイン人に根付く文化については造形が深いものであり、今回評価したい書物「スペイン、とっておき!」についても、随所、ガイドには掲載されないスペインの各種様子が文章から感じることはできるだろうと思う。
ただ、何度もいうように、この本をすべて鵜呑みにしないほうがいい。また、ガイドブックとして使うことは無理だろうと思う。確かにところどころは、他の文章とは異なり、いきなりまともな書き方をしているところもある。が、大抵は、スペインの町の裏道にはこんなへんなオヤジがいるとか、ウンコ、シッコ、マンコ、チンコと、子供が喜びそうな単語が散らばっている散文であるからだ。だから、下品なスペイン語を覚えたいなら、この本でも大抵は覚えられるだろう。
「スペイン、とっておき!」の中身は、スペインの都市の中で、以下の都市についてのみを紹介している。
・マドリード
・ビジャルバ
・トレド
・グラナダ
・コルドバ
・バルセローナ
スペイン旅行の前に、脳みそを空っぽにして、各都市でどんなことをしようかなと迷っているときには、この本を読むことをお勧めしたい。読んだところで、どこを廻るかという参考にはならないと思うのだが、それでも各都市の雰囲気というのは感じられると思うし、その雰囲気を事前に知って各都市に行くのでは、心積もりも変わってくるだろうと思う。
実際にスペインの各都市をガイドブックからすこし深く知識として知った上で旅行するための本としては、後で紹介する紅山雪夫著の「魅惑のスペイン」のほうが断然いい。これはポケットサイズで入る書物なのでもっていくにも便利だろうと思う。でも、この本を読む前に、都市の感じを知るには、中丸明の酔っ払い本であるこの「スペイン、とっておき!」と読むべきだと思う。
スペイン人の気質・文化・思想・生活スタイル・言語・美術や、スペイン滞在中に注目するべき視的感覚を教授してくれるのは、やっぱり、ハイクラスの社交場ではなく、その辺のオッサンの目線で書かれた中丸明の本だろうと思う。
スペインに行く前にはお勧めだ。
スペイン、とっておき!
著者:中丸 明
出版社: 文藝春秋
出版日:2007年6月10日
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