2012/03/13

ジャッパーベー / 台湾語ポッドキャスト

台湾の人気がうなぎのぼりになっていることは個人的にはとても嬉しい。しかし、あまりにも人気が増えると、自分が台湾に行きたいなというときに、飛行機が取れなくなる可能性があるということも考えられるので、経済的には台湾との交流が増えることはとても嬉しいことだが、個人的にはあんまり人気にならないでーという、矛盾したような思いをもっているのが台湾である。

台湾は親日派の多いところなので、台湾に行ったことがあるひとであればわかるが、どこに行っても、日本語だけで事が済んでしまう。もちろん、公式なアナウンスには、日本語のアナウンスは全くない。電車に乗っても、中国語・英語・台湾語・客家語の4ヶ国語はあっても日本語はない。ただ、日本語の表記はどこでも見ることができるし、台湾人はあんまり日本語が話せなくても日本語で積極的に話をしてこようとするのがすごいバイタリティだといつも思うし、日本人が台湾にいっても、中国語も英語もできないようなひとでも十分楽しめる外国の場所なのだと思う。

公式には北京語が公用語になっているので、中国語をかじったことがあるひとなら、現地のひとと中国語で会話をすればいいだろう。北京のほうの中国語と違って、個人的には可愛らしい発音をして、喉の奥のほうでしゃべるようなシャカシャカしたような喋り方ではないので、台湾の中国語の発音は好きである。でも、この中国語は若い人から中年くらいまでは実は教育で徹底的に使われているので喋れる言語であるのだが、ずっと年配の人や南部のほうに行くと、中国語よりも日本語のほうが通じたりする場合があるから不思議なものだ。さすが、もと日本の植民地。そして、日本語じゃなく、もっと南部のほうでは使われているのが台湾語である。

中国語分類の中では、中国語といえるのかそれともマレー・タイ系統にはいるのか、言語学的にはどうなのか詳しいことは解らない。ただ、中国大陸の福建省に元々居た人たちが台湾に渡ってきてそのまま使われている言葉であったのが、いまの台湾語だ。台湾語というよりも、閩南語というのが正しい言語名である。閩というのは福建省の別称である。ちなみに、北京のことは燕、上海のことは滬である。

しかし、この閩南語はやっかいな言葉で、文字を持たない言語なのである。喋り言葉としては存在するが、漢字やアルファベットのようなことでは表記しない。便宜上、台湾では漢字が当て字のように使われていたりするのだが、これは正式ではない。だから、台湾語を習いたいなと思っても、正式な教科書として存在するのがなかなか難しいというものだったし、台湾に行って台湾語(閩南語)の辞書を買いたいなとおもっても、その言語の引き方がわからなくて、買うのを断念したことがある。

結構台湾語を使う台湾人は多い。なにしろ、本省人が80%も住んでいるところだ。台湾語が話せないというひと=外省人と思ってもいいくらいなのだが、最近は外省人でも台湾語は聞けば理解できるという人が増えてきた。つまり、それだけ台湾語は台湾の言葉であるという、台湾のアイデンティティに繋がるようなものとして認められてきたというわけである。中国大陸とは経済的にはつながりが強くても、やっぱり中国大陸とは一線を画したいものだというのを再認識したのだと思う。

前置きが長くなったのだが、それくらい台湾語は台湾のものであり、台湾に行った人はできれば台湾語で現地の人に話をしてあげたら、台湾人も「おっ!この人すごい!」と思ってくれること間違いなしなのである。ありがとうや、さようならのような簡単な言葉だけでもいい。台湾語で台湾人に話をしてあげるということは、それだけ台湾人にとって、自分たちを仲間だと思ってくれているんだーという嬉しい思いをしてくれるのである。しかし、台湾語は難しい。台湾語を台湾人から習うのはもっと難しい。日本でもたまに台湾語を教えますというのを見ることがあるのだが、それは特殊な例であり、料金がめちゃくちゃ高かったりする。そんな金を払ってまで台湾語をマスターしようとするひとは奇特な人か、台湾語しか通じないようなエリア(どこだよ!)で仕事をしなければならない人ということにしかない。一般的な人にとっては、台湾語を何もなく習うのは難しいとことなのである。

ところが、そのハードルを下げてくれるものが、やっぱりポッドキャストにあった。それが「日本人による日本人のための台湾語学習ポットキャスト・ジャッパーベー」である。まだ始まったばかりなので、これからどういう内容が膨らんでいくのかどうかは不明なのだが、解説やら言語の裏側などを紹介しながら進めていくという意味では、台湾語の基礎かじゃぱら勉強しているという感じが楽しくやっていける。ただ、本当にその発音なのかというのは全然判断できない。なにしろ、パーソナリティの方が一人で行っているポッドキャストであり、ご本人も勉強中だからということをおっしゃっていたのだが、台湾人ネイティブからみたときに、この発音が正しいものかどうかはどこかで聞いてみたいところである。

そもそも、ポッドキャストの題名になっている「ジャッパーベー」という言葉は、中国語でいうところの「吃飯了嗎?」と一緒で、人に会ったときに使う挨拶のようなもの。文字通りだと「ご飯食べましたか?」になっちゃうのだが、あんまり本質的な意味で挨拶として使われるのではなく、単純に「こんにちは」程度の意味で使われる一般的な言葉である。

福建省のひとつの方言が台湾語に変化しただけなので、マレーシアやシンガポールなどにいる福建系統の人とは、実は台湾語と福建語で会話ができる。語法も表現もほとんど同じだからだ。だから、シンガポールの福建系のひとが台湾に旅行をしたときに、もちろん中国語で会話をすれば誰でも通じるけど、福建語で会話をすれば、それは現地の本省人と会話ができるということになるのである。

今後は台湾語ネイティブの人との会話のスキットみたいなのも登場させながら、NHKのラジオ語学講座みたいなのをどんどん発展してくれると楽しいポッドキャストになるんじゃないのかな?と思うので期待したい。


ジャッパーベー 台湾語Podcast
URL: http://takab176.seesaa.net/
更新:不定期

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