2012/05/16

マリーナベイサンズからの夜景

 
シンガポール到着後にトランジットの時間に何をするかはいつも困るのだが、今回は夜のマリーナ・ベイ・サンズに行って、夜景を見るのと、建物内の食べ物屋に行って、そこでご飯を食べようということにしてみた。マリーナ・ベイ・サンズは、ソフトバンクのCMで使われたことによって一気に日本でも知名度がアップしたところではあるが、如何せん、開店直後から、ホテルの従業員およびサービスの品質については「高い金を出す割にはぜんぜん品質が悪い」と旅行者からも、また地元民からも悪評が立っているところであるのだが、大金を叩いてあの施設を作ったオーナーからすると、早く投資回収をしたいという意気込みのために「金額は高く、サービスは低く」というスタンスに敢えて取っているようにしか思えない。しかし、いまのところは物珍しさで評判になっているマリーナ・ベイ・サンズも、時間が経過すればそのうち誰も見向きもしなくなるシンガポールフライヤーのような状態になるんじゃないのかなという気がした。

なにしろ、シンガポールは商業地域としてはすばらしいロケーションと環境が揃っているのは世界でも認められているところだろうとはおもうのだが、観光地としては、リピーターが本当に少ない国であるところだ。カジノを作ってカジノへくるリピータはさすがに増えたと思うが、一度行けばほかに見るところがもう無くなるといわれるほど、カジノ以外の観光地としての魅力は、何か新しい施設を常に作っていることで、常に注目され続けられなければならないという状況に陥っているのが現在のシンガポールだとは思われる。シンガポールにF1を呼んできたのも、観光地としての呼び込みの1つではある。しかし、ホテルのような施設からすると、ビジネスマンがシンガポールに仕事のために滞在することが多いために、ホテル稼働率を上げるためにあえて観光客の誘致を必死になっているという様子は実は無い。なにしろ、昔から比べると、シンガポールのホテルの宿泊料はべらぼうに上がっているからだ。いくら円高とはいえ、あの価格のままだとすると、ちょっと前の円安状態に戻ったときには、もうまともなホテルには泊まれないんじゃないのか?というような高額宿泊料になっているのがシンガポールである。

そんな状況でいまは話題になっているマリーナ・ベイ・サンズに行ってみた。以前、マリーナ地区は本当に交通の便が悪く、行くにはタクシー以外は無理だというところだったのだが、いまはMRTのCircle Lineができたことによって、ビルの真下まで行くことができる。駅名は Bayfront。ところが、この情報を事前に調べることなく、チャンギ空港から「行けばなんとかなる」と思ったのが間違いで、てっきり、North South Lineの終着駅 Marina Bay かと思って切符も買ってしまった。慌てて Marina Bay から Circle Line に乗り換えていくわけだが、この Circle Line はできたばかりなので、新鮮さがある。しかし、後からできた路線との乗り継ぎは本当に不便だ。なにしろ、同じ駅とは思えないくらい歩かされるからである。あまり深いところまで掘らないで路線を形成するからなのだろうか?チャンギ空港から今回は City Hall まで行き、そこから乗り換えて Marina Bay にでて、最後に Circle Line で Bayfront という乗換えをしたのだが、実はそんな面倒くさいことをしなくても、チャンギ空港から Paya Lever に行き、そこから Circle Line に乗り換えればいいということを、あとでMRT路線図を見て知る。無知って本当に怖い。

屋上プールが有名なあのエリアには、実は宿泊者以外は入ることができないようになっている。以前は平気だった。しかし、宿泊者からクレームが入ったのだろう、いまは展望台のほうは外部の人も入れるのだが、展望台エリアからプールエリアには「公式上」はいけないようになっている。公式上と書いたのは、実は、展望台エリアとプールエリアには特に仕切りがあるわけじゃなく、通路の真ん中にホテルの係員がいて、その人が「だめだめ、ここから入っちゃだめ」というような注意をするだけなのだ。だから、その人が気を許したり、どこかにいった隙を見てプールエリアのほうに行ってしまうのは実はアリである。
さて、展望台にはどうやっていくかというと、宿泊設備があるホテルのビルを一度出てしまって、地下の展望台チケット売り場のところにいくエスカレータを下っていくと良い。そこに比較的並んでいる人たちの列が見えるはずだ。大人は1人20SGD。エレベータで30秒ほどで昇っていくところにある展望台まで一気にいく。しかし、そのエレベータに乗る前には儀式みたいなのを通らなければならない。それはマリーナベイサンズとの合成写真に強制的に参加させられること。あとで、この合成写真を買う・買わないは入場者の判断で自由なのだが、買わないのはわかっているのに絶対に撮らされるはめになるのが、いやだ。拒否はできない。なぜなら、エレベータに乗るときに、強制連行されるからである。エレベータは数台あるはずなのに、なぜか稼動が悪い。どうみても4台あるはずなのに1台しか動かしていないようにしかみえないくらいのシブチン状態なので、切符を買ってからも結構ならず。これはクリスピー・クリーム・ドーナツが新宿高島屋傍で行っていたように、店内で買う人・テイクアウトするひとを同じ列に並ばせておいて、第三者から見たら、常に混み合っているのをアピールするために無駄な列を作らせていたのと同様、あまりにもエレベータをさっさと乗れる感じにしていると、展望台が人気であるという印象を与えなくなるからエレベータの稼動台数を減らしているとしか思えないのだ。実際に展望台に行くと、まぁまぁ人はいるが、激混みというような状態にはなっていないのがわかる。

ちょうど世間が白んできたときに、展望台にあがったので、それから時間が経過するたびに周りが真っ暗になって、マリーナ地区の摩天楼がきれいに見える状態になった。幸いにも、この日は天候が良かったので、周りがよくみえた。ただし、シンガポールの排ガスのためにモヤっている様子は、まったく変わらない。しかし、以前はたいしたものが無かったマリーナ地区の様子が、大都会の風貌に変わってしまったことが良くわかると思う。特にハイウェイを猛スピードでライトを照らしながら走っていく様子も眺められるのも楽しいと思われる。
展望台は、船の形をしている屋上の先端部分に該当する場所であるため、三方向の景色が丸見えだ。マリーナエリアのまだ開発中の場所から、リッツカールトンやドリアンハウスがあるような場所から、マーライオンが口から水を出しているあたりまで丸見えになっている。そして、どう意味があるのかわからないが、展望台のさらに一段上に上れるところがある。しかし、あれだけ高いところに昇った場合、多少の段差が何の意味があるかというと、ほとんど意味をなさないと思われるのだが、展望台と外部との仕切りには透明のエナメル版が入っており、そこからの転落防止を意味するものが存在するため、一番板に近いところから外部を写真撮影しようとすると、余計な曇りガラスみたいな状態になってしまうというちょっと悲しい結果が待たれている。しかしながら、一段上に行くと、その板の縛りがなくなるので、景色が良く見えるというものなのだ。

展望台での夜景を楽しんだら、マリーナ・ベイ・サンズ内にあるクソ高そうなレストランに行こうかと思ったのだが、どこにどのレストランがあるのかぜんぜん案内図が載っていないので、渡航前に調べていたレストランの場所がまったくわからないため、結局マリーナ・ベイ・サンズでのご飯はあきらめた。さらにいうと、サンズの中にフードコートは居るのだが、ここが唯一貧乏人でもご飯が食べられる場所であるため、みんな同じようなことを考えているから、すごい混雑ようなのだ。もちろん、座席ゲットのための競争は激しいし、いつ空きが出てくるのかはわからないし、誰もそれを仕切っているわけでもないので、ぽかーんとしている日本人にはたぶん長時間待っていても席をゲットできないのではないだろうか?ということで、今回もこのフードコートでのご飯はやめてしまったのである。

結局はマリーナ・ベイ・サンズでなにもたべずに空港に戻ることにした。しかし、空港まではMRTを使うことは無く、サンズにあるタクシー乗り場からタクシーに乗って戻ることにした。オーチャードどおりのタクシー乗り場みたいにめちゃくちゃ人が並んでいるものかと思っていたらそうでもなかったので、すんなりタクシーに乗れたのは良い。蒸し暑い中に長時間も待っていると、鼻血が出てきて気持ち悪くなるだろうからだ。


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