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マレーシア最古の1つに数えられているモスクもマラッカには存在する。1748年のオランダ統治時代に建てられたこのモスクは、カンプン・クリン・モスク(Masjid Kampung Kling)というところである。でも、このモスク、あんまりモスクらしくない。なんとなくヒンズー教の寺院の影響をとても強く受けたつくりになっている。最初にモスクができたときには木造だったのだが、1872年にいまのブロック式に作り変えたようだ。ただし、全面的にブロックやコンクリートにしたわけではなく、よく見ると梁の一部などには木造を流用しているのがわかる。
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先にヒンズー教の影響を強く受けたというように記載したが、モスク内にある説明だと、「スマトラ、中国とマラッカ・マレーを融合した文化の結晶」なんていう風に書いていただのが、どこに中国風なのか全然わからない。それと、スマトラ王国とマラッカ王国の文化の違いもよくわからない。そしてそれがモスクのどこに反映されているのかが全くわからないので、説明書きも結構いい加減だなと思った。
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さて内部に入ってみると、いきなり奇麗なタイルが出迎えてくれる。この美しいタイルは、さもヨーロッパからの文化が入ってきた影響なんだろうとおもう図柄と焼きかたを反映したものだった。オランダ統治時代の影響だとすると、オランダの陶器の名地であるデルファイだろうか。イギリス時代の反映だとすると、どこの焼き物の土地なのか想像はできない。ただ、デザインはオランダというより、イギリス風の花柄ではないだろうかと想像できる。
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そのほか、祈りの場へあがるための階段は、青緑色のタイルが階段の淵を埋めるようになっている。これもまた幾何学的な模様をしていて、いかにもイスラムの模様だと思われる。
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ヒンズー教の影響を受けているのではないかと思われるのは、建物の壁・柱が白いことと、鐘楼のつくりがまるっきりヒンズー教と同じだからである。今回は中に入ることができなかったが、同じ通りに存在するヒンズー教の寺院 Sri Payyatha Viyanagar Moorthi 寺院にも鐘楼があるのだが、これとまるっきり同じようなつくりをしているからである。
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ただ、このモスクはいまだにつくりとしてよくわからないのは、通りに面した入り口を入ったあと、本堂のところがその入り口にから外れたところに存在するのである。訪問当時は意味がわからないとおもっていたが、これはメッカの方向の影響によるものだと思う。メッカの方向が西であり、通りは建物の北側を通っているつくりになっている。だから、北側の入り口から入ると、本殿はちょうど入り口から見ると右側に曲がらないと存在しない形になっているので、これがなんだか変な感じがするのだ。
本殿の中はやっぱりモスクの中だということが良く反映しているとおもう。正面には、モスクでは良く見かけるアラブ文字が掲げられている。さらに、キリスト教の教会のように各教会に司教が存在するわけではなく、班長みたいなひとが今日の祈りの先導をするためのお立ち台があるのもまさしくここがモスクだというのを思い出させてくれる。
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やはりモスクは祈りの時間帯ではないときに来るのが一番いい。ひんやりした中は、蒸し暑い外の空気と比べて全然違うので、暇だなーとか、疲れたなーという人たちにはここにきて、地元のイスラム教徒と一緒に昼寝でもするのが一番良いだろう。
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