2012/09/30

軍隊博物館(デルフト)

デルフトの街は陶器製造の町として、いまでは世界でもよく知られたところでもあるのだが、実はオランダの中でも結構特異の街なんだろうと思う。そして、デルフトでは必ず要ったほうがいい博物館が軍隊博物館(Legermuseum)というところだ。中世から近代にかけてのあらゆる戦争・紛争に関する武器・兵器・服装・褒章・思想に関することが展示されている。もう軍事オタクのひとたちにとっては、すべての体液が表に出てしまうくらい興奮できる場所だろうと思う。ただ、予備知識としては、オランダ国内を舞台としたあらゆる戦争・紛争に関する情報は仕入れておかないと、その時代背景と武器などが本来持っている情報との間に齟齬が出てくることだろう。あまりガイドには詳しいことが書かれていないのだが、訪問客は少ない上に、大量の陳列されてきる物品があるために、ここだけできっと3時間以上は観覧するのに時間が必要になってくると思う。ただ、全く軍事関係に興味が無い人にとっては、30分もあれば十分だろう。ただ、ここオランダの軍隊博物館は、そんな無趣味なひとたちや子供でも楽しめるようなつくりになっているから、ついつい興奮してしまうから不思議だ。ミュージアムカルトを持っていれば、ここの観覧は無料。それだから、最初は「つまんかったら、さっさと出てこよう」と思っていたのに、結局午前中一杯はずっとこの博物館にいることになった。
 
 
科学技術の歴史は軍事の歴史でもあるといういうのはよく言われることだが、まさしくここの博物館を見ているとそう思わざるを得ないと思うことが多々あった。さらに服飾の文化に付いても実は軍事の歴史に非常に密接している。いまでは服飾の文化は独自の文化で違うレールが敷かれたようになっているが、あのバーバリーのコートだって、最初はイギリス軍がロシア戦線に行く際に考えられた軍服がデザインの発端だっていうことを考えると、やっぱり服飾と軍事についても切っても切れない関係なのである。

 
 
 
個人的には、中世の戦争をする際の陣形を模型化したところが面白い。これを見ていると、当時の戦争を鳥目線で見ているような感じになると共に、あんな戦いかただったら、人がいくらいても足らないなと思うようなものだというのが一目瞭然である。以前、Podcastのトリカゴ放送の「第358回 武器発展の歴史その2 絶対王政期の傭兵と国民軍の一般民衆、その武器」でゆげ先生がご説明していたとおりに、ヨーロッパの中世の戦争はいまだと笑えることが多々ある。だから、トリカゴ放送を聴いたあとに、デルフトの軍隊博物館にいくと、余計内容が分かると思われる。
 
内部には子供用のダンジョンもあり、戦争時の現場を擬似体験できるようなスペースもあるから面白い。なにしろ、シューティングゲームもあるために、バンバンこれで仮想敵の戦車をぶっ壊すことでストレス発散するようなことをしても良いだろう。ダンジョンは、よく山なんかにあるフィールドアスレチックのようなつくりにもなっており、軍隊は体力と判断力と状況洞察力が絶対的に必要だというのを、体験的に知ることができるようになっている。高度なディズニーランドのようなところと思ったほうが良いだろう。

 
オランダの独立から現代にかけての歴史のタイムラインと、その生活スタイルや武器の変遷の紹介する場所が結構な広いスペースがあるのだが、ここも自分がその時代に入り込んだ感じになれるので、オランダの歴史も一緒に勉強できるという意味では面白い。それもそうだが、一番吃驚したのは、いきなり中世の騎士たちが使っていたであろうと思われるマスクと剣が天井から床まで、これでもかーというくらいずらーっと並んでいるところを見たことだ。これはかなり驚く。そして、たまにデブの騎士がいたんだなということもわかるのだが、そこまでバクバク食ってしまう貴族の騎士も戦争には行かざるを得なかったのだろう、そういう状態になるときには、きっとデブ騎士は半泣き状態で参加していたのだろうと勝手に想像する。
 
 
 

軍隊博物館 (Legermuseum)
URL : http://www.legermuseum.nl
Address : Korte Geer 1
Open : 10:00~17:00(火曜日~金曜日)12:00~17:00(土日祭日)
Holiday : 月曜日
Phone : +31 (0)15 2150500

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