おっさんがプラプラいろいろなところを歩いて、行き当たりばったりで出会った人たちと、なんだかいろいろなことをするという番組はテレビに最近多くなってきた。「ちい散歩」「ぶらり途中下車の旅」「鶴瓶の家族に乾杯」などなど。「ぶらり途中下車の旅」は、題名がいかにも行き当たりばったりという感じを醸し出すような名前をつけているが、実際には全く行き当たりばったりではなく、もうあらかじめ訪問するのがわかっているところばかりを集めた、地域の紹介番組になっている。こういうあらかじめ決められたようなものを紹介するのは、火曜サスペンス劇場くらいで十分だから見るに値しない。その他の番組に付いては、本当にいきあたりばったりなので、何が出てくるのかハプニング続出だらけだろう。でも、生放送じゃないので、変なやつが出てきた場合にはあとからカットをすればいいと思う。しかし、以前関西の放送局で深夜に放送していた「夜はクネクネ」という番組くらい、すごい楽しい番組を、実は最近観たことが無いなと思った。だいたいこういう行き当たりばったりの番組の場合、メインのパーソナリティの人間臭さが一番引きだつので、その魅力が無いと全く番組として成り立たない。
と思っていたら、見つけました、とうとう。それもBSの番組で、しかもまだまだマイナーなテレビ局のトゥエルビ(TwellV)というところで。無料のBSのテレビ局としては最近数局出てきたのだが、これがなかなかまだ認知度が低いがいい番組を作っているのだ。そのテレビ局で放送している行き当たりばったりというのが、「アジアHOTプレス!」という番組である。
この番組、高田純次がアジア各国の町に出向いて、本当にぶらぶらするという番組である。たまに、通訳兼町の案内人の役割として、現地のコーディネータの人と一緒につるんでいる場合もあるのだが、だいたい高田純次がこっちに行きたいという希望通りに事が運んでいって、現地のコーディネータは単なる通訳に徹するという感じになることが多い。その際に、高田純次のキャラクターどおり画面を通して、現地のひとをナンパしたり、適当に町のなかを歩いていたり、通る人を捕まえてインタビューを取ったりしているのは面白い。画面に出てくる人がサクラのような人だったり、事前に仕込みがあるような人が出てくるわけじゃないので、高田純次に呼び止められたときに「なに、なに?」と慌てている様子を見ることができるのはもっと面白いのである。
番組としてはまだそれほど回数が多くないのであるが、これまで見てきたシンガポールやホーチミンの様子を見ていると本当に現地に行って同じようにぶらぶらしたくなるのはなぜだろう?それだけアジアに魅力があるからということなのかもしれない。それにしてじも、高田純次に風貌も酷いものがあると思った。なにしろ、Tシャツ+ジーパンくらいならまだ許してあげてもいいのだが、どこに行っても、藍色の甚平を来ているのである。これじゃ、現地のひとに「あれはなんなんだ?」と不思議に思われても仕方ないのだが、注目を浴びるようになるということはそれだけ戦略に適っているのではないだろうか?自分も台北の街並みのなかで、浴衣+下駄で歩いてみたいと思ったことがあるのだが、それを本当に実施すると、きっと台北っ子は好奇心旺盛なので、携帯電話のカメラでパシャパシャ写真を撮られるのは容易に想像できるだろう。まだその撮られる勇気が無いので、実践していない。目立ちたがり屋だったり、売れない俳優やモデルの人だったらやればいいのだと思う。
番組を通して現地の最新のトレンドや考え方を知りうることができるというのでは、近々その土地へ行く人にとっては有益な情報手段だと思われる。しかし、今後どこの地域を放映するのかわからないのだが、あまり変態的な地方都市を紹介されても、そんなのは一般的には行く人がいないと思うので、全く参考にはならないと思う。バックパッカーの人たちにとっては、番組で放映されるようなところは全く興味が無いだろう。なにしろ、金が掛かったり、都会だったりするわけで、人間臭いとか、田舎臭いとか、小汚いとか、長期間居ないと良さが解らないというようなところを紹介されるわけじゃないのだからだ。バックパッカー向けの番組もそのうち放映されてもいいのだろうと思うが、それだとかなりヤバそうな内容だったりすることもあるので、放映も出来なかったりするのだろう。やっぱり、怪しそうな番組としては、ナショナルジオグラフィックとか、CBSドキュメントみたいなところで放映すればいいと思う。
さて、アジアHOTプレスだが、毎週放送されているとはいえ、実際には再放送を含めて同じ内容の番組を2週間で4回も放映しているし、毎週新しい内容で放映されるというわけじゃない。2週間に1度、番組の内容は更新されるというようである。これはおそらく広告収入があまりないトゥウルブのお家事情に因るものなのだろうとは想像できる。そして、番組は1時間みっちり放映されるのだが、その間全部が高田純次のぶらぶら話ばかりが放映されるかとおもったらそうでもない。途中で渡辺真理が出てきて、その国の一般的な常識的データが挟まれるときがあるのだ。渡辺真理みたいな堅い人が出てきた場合には、いかにも宣伝という感じがしておもしろくないのだが、どうせなら2人であちこち行けばいいのになとおもった。でも、それをすると、高田純次が現地でナンパして番組が破天荒になるという醍醐味が薄れるのかもしれない。高田純次がひとりでぶらぶら歩いて、途中であーでもないこーでもないと独り言を言いながら、たまにはカメラのひとや通訳のひとに「だよね?」と言いながら歩き回るというのは、「夜はクネクネ」っぽくて楽しい。この適当感がアジアにすごいマッチしている感じだ。
すべてがふざけているとおもわれがちの高田純次だが、ご本人が宝石鑑定の資格を持っているだけあって、実はモノを見る価値についてはかなり正しい眼をお持ちのようである。骨董品なんか売られているときに、それをたまたま見つけたら「これって、このくらいだよね?」と日本円で言うと、だいたいそれが当地での相場だったりするわけで、必ずしも当てずっぽうで値段を言っているというわけでもなさそうだった。
これからアジアの各国を廻るのだと思う。インドやスリランカ、またはアジアというのであればサウジアラビアあたりまでいくのだろうか?それとも、アジアというのは名ばかりに、東南アジア程度で終わってしまうのは解らない。しかし、高田純次にはいろいろなところにいってもらって、こういう変なおっさんが日本はいるのだというのを知らしめて欲しいところである。真面目ばかりが日本人じゃない、おきらくごくらくな日本人もいるのである。
アジアHOTプレス!
URL : http://www.twellv.co.jp/event/asia/index.html
放送時間 : 土曜日 21:00 ~ 22:00
チャンネル: BS12 (TwellV)
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