北京に行って食べるものと言ったら、北京ダックでしょうー!
っと、お約束中のお約束なことをしてしまうのも旅の醍醐味だと思う。北京の中の北京ダックの店と言ったら、代表的な店は数軒あるが、その中でも「全聚徳烤鴨店」に行くことにした。ところがロンリープラネットによると、「店員の態度が最悪で、料理を放り投げて持ってくる」とか「ダック自体は美味いが店員の態度が悪いので、後味が悪い」なんていう、上手く書けているなーというコメントが書いてあったので、最初は選択の1つに入れないでおこうと思った。しかしながら、本当は行こうと思っていた「利群烤鴨店」の場所が本当にわからなくなってしまい、困った挙句に、頭の中と口の中が既に北京ダックを欲していていたために、仕方なく全聚徳烤鴨店を選んでしまったといったほうが正しかった。
全聚徳烤鴨店は北京市内にも数店舗あるみたいだが、本店がある王府井大街の傍にあるところにいった。店自体は王府井大街沿いにあるわけじゃないのだが、店の看板が通り沿いに掲げてある。だから店の看板を頼りに行くと、てっきり看板の掛かっているビルの中にあるのかなー?と勘違いしてしまう。それも看板には「三楼」なんて書いているからなおさらだ。デパートみたいなところをエスカレータで上がっていくと、確かに3階と4階はお目当ての店ではあるらしいが、なんと3階へ上がるエスカレータが使用禁止になっている。どういうこと?!とおもっていると、どうも入り口が違うらしい。じゃ、どこから入るんじゃい?とおもっていると、いちおう「入り口は→」というような矢印が掲示されていた。その矢印に従って進んでいくと、なぜか1階にたどり着き、そこで矢印が消えていた。
はぁ!?一体どういうことぉ?
ビルの前でうろうろしていたところ、ビルの横に小道があり、その小道沿い怪しい人形があることを発見。なんじゃ、この薬屋の前に立っているサトちゃん人形よりブサイクな人形は?とおもっていたところ、そこがお目当ての店の入り口だった。入口を入ると、そこで店の姐さんが人数を訪ねてくるので、それに応えると、エレベータで何階に行ってくださいと指示されるので、それに従えばいい。
店に入った時に、ロンリープラネットに記載されている店の紹介文章を思い出した。だから、料理を頼んだときに運んでくる様子がどんな感じなのかなと想像していた。しかし、その期待とは裏腹に、店員は至って紳士的に振る舞い、投げるように料理を持ってくるなんていうのは全然無かった。きっと北京オリンピックを契機に、店にもたくさん外国人がやってきて、かなりたくさんの批判を受けたのだろうと思う。それを解消して今の店があるならそれは成長しているからいい事だ。自分たちが入店したあとも、後から後から客がやってきて、中には団体の外国人なんかも含まれていたから、やはり人気のある店なのだと思う。ここで食べたものは次のとおり
・鉄観音茶(壷):50元
・極品烤鴨 :198元
― 葱・甜麺醤:2元/人
― 荷葉餅 : 10元/籠
・西蘭花鴨翼 : 53元
・虎掌鎮甘蘭 : 68元
・陳皮老鴨壷(小): 89元
まず飲み物としての鉄観音茶が高いのは、前に「北京のレストラン」の項で記載したので、ほとんど諦めとして受け入れるしかない。まぁ、何度も何度も指し湯をしてくれるので、飲みたいだけのめるのはいいシステムだとは思う。お目当ての北京ダックは、1羽と半羽の選択があるが、1羽の大きさを知らない貧乏人なので、値段も1羽にしてもたったの198元であるということは、日本では考えられない価格なので、大きさは別にして、ここは潔く「1羽」を選択する。しかし、最初から大きさを知っていればそんなのを選んでいなかった。隣のテーブルで、自分たちより先に入っていた8人くらいのおっさんばかりのグループがいたのだが、その人たちが北京ダックを注文して持ってきたのを見て愕然とした。1羽の大きさを見たら、自分たちの人数には不釣合いの大きさだと知る。それに、北京ダックはちょっとだけ食べるのがいいのだって、あまりにも量が多いと、それだけで、もう結構お腹が一杯になるのと、胃がもたれるような感じになるので不思議だ。
実際に北京ダックは注文したあと、あまり時間が掛からず持ってきた。たぶん、客は絶対に注文するから、店としてもあらかじめ作っておいているようである。そして吃驚したのは、店の鴨はすべて背番号がつけられているらしく、鴨の証明証というのを一緒に提示してきた。そのときには「おぉ、血統書みたいなものか」と感動したのだが、よく考えたら、その証明書というのは単に店で何番目に作られた北京ダックだということを証明しているだけにすぎないものである。それを堂々と持ってくる中国人のあこぎな演出に、帰国後に憤慨したが、レストランにいるときには特に気にしなかったところを見ると、場の雰囲気というのはとても大切なのだなというのが良く分かった。北京ダック自体は、客の目の前で料理人が1羽ごと裁いてくれるので、その捌いている様子を見るのは楽しい。記念として動画を撮るのも良いだろう。そもそも北京ダックというのは、薄めの餃子生地の大きい版みたいなものに、甘い味噌と千切りにされた葱というのと一緒に包んで食べるものだと思っていたので、餃子生地のお化けと味噌や葱なんかは、注文した北京ダックに当然ついてくるものだと思っていたのだが、それは間違いで、餃子生地みたいなものも味噌も全部オプションメニュとして徴収されるというのが分からなくて、店員が最初メニュを見せながら、なんやら北京ダックに関して説明しているときに、「なんでこんな説明しているんだろう?」と理解不能になった。結局は1羽分に相当するだけの生地と人数分の味噌が出てきたので、結果オーライなのだが、日本の感覚で注文してはいけないということと、中華料理の奥深さを知ってしまった。ブロッコリーと鴨肉の炒め物である「虎掌鎮甘蘭」は、ブロッコリーに振られた塩がとても塩辛くて、その塩辛さのために食べている気がしなかった。もう少し塩辛さを押さえてくれたら、鴨肉と相まってとても美味いものとして絶賛していたところだと思う。ちょっと残念だ。笠の大きい茸類とチンゲンサイの炒め物「西蘭花鴨翼」は、これは美味かった。最初黒い物体が何なのか分からなく、でもコリコリとしているので、歯ごたえから茸類だと分かる。たぶん正確な茸の種類がメニュには書いてあったはずなのだが、そこまでは解読不能だったので、いまでは分からない。本当なら最初に持ってきてもらいたかったいろいろなモノを煮込んだスープである「陳皮老鴨壷」が来たときには、すでにお腹が満腹になっていた。数種類のキノコと鶏肉を煮込んでいるスープは、これだけ食べていても大絶賛できる料理に入るとおもう。しかし、スープがなんと一番最後に出てきたため、それまでに既に食いすぎるくらい食っているために、さすがにスープ自体は飲めても、スープの具までは食べる余裕が無かった。なぜスープを先に持ってこない!まぁ、自分の中国語の実力が無いために、「最初にスープをもってこい」ということを言わなかったのが悪かった。ここは中国で、常識が通用しない。言わなければその通りにはならない。言ってもならないことのほうが多い。自分の勝手な常識では、スープ類は最初に出てくるものだ思っているのだが、それは洋食類に慣れているからなのであって、そんなもの中華料理では関係ない。中国人の物の食い方を見ていればわかるのだが、バイキングなんかでも、焼肉とパフェを一緒に食べて、そのあとにまた焼肉という意味不明な順番で食べているのを見たことがあるが「食いたいときに食いたいものを食う」というのが彼らのルールで、前菜とかメインとかの順番なんか気にするほうが野暮だというもの。あーっ、もっと先に中国語を勉強して「スープは何が何でも最初に持ってきてねー」と言いたかった。全体的にこの店はとてもいい。店の雰囲気も、店員の応対もよかった。警戒していたのが馬鹿馬鹿しいと思った。食べ終わったあとには、これから入店しようとしている客が列を作って待っていた。いつでもここは人気店のようである。
全聚徳烤鴨店
住所:王府井大街師府円胡同9号
電話:010-6525-3310
営業時間:11:00~13:30, 16:30~20:30
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