2008/05/24

シラクーサへ(Palermo⇒Siracusa)

シチリア内を移動する際には、電車よりバスのほうが断然便利である。パレルモから南東の町であるシラクーサへ移動する際に、沿岸部を通って行く電車の場合、最低でも6時間以上かかるため、こんなのに時間を費やすのは馬鹿馬鹿しくて仕方ない。そんな時に便利なのがバスだ。シチリアの人たちも同じようにバスをよく利用する。

パレルモからは中央駅傍にバスターミナルがある。パレルモ市内を走るバスのターミナルは、本当に駅前にあるのだが、長距離バスは駅から200mくらい離れたところにある。事前に予約でもしないと無理なのかもと思い、実は事前に一度このターミナルにきて、予約を試みた。しかし、窓口にいたお姉さんは「そんなの要らない、要らない。当日乗る前に来なさい」と言われた。本当かよーっと思いつつ、当日バスターミナルに行ってみた。

バスのチケットは、本当にそっけないもので、「パレルモまで」と値段しか書いていない。何時のバスということも書いていないし、バスの番号みたいなのがあればそれが書いているのかと思ったら、そんなものもない。かなり不安になる。さらに言うと、チケットは買ったのはいいのだが、どのバスに乗ればいいのかが全く分からないのである。長距離バスはチケット売り場にたくさん停まっているのだが、どれが目的のバスなのか皆目検討も付かない。出発まで10分前だというのに、どれだか分からないとなると、知らない間にバスが出発されても困る。そこで、荷物を友達に渡して、片っ端から停まっているバスの行き先を確認して廻ってみた。いちおうバスの先頭に行き先が書いているので、それを見てシラクーサ行きのバスを探せばいいのだが、それもない。たぶん、同じようにシラクーサ行きのバスに乗ろうとしている人達が、切符売り場の傍に屯っていた。どの顔も、「バスはどれだよー」と思っていた。特に1人で旅をしている人たちほど、不安の顔をしていた。

バスの出発時間は11時。今の時間は、なんと10時55分。とうとう5分前になってしまったのだが、バスはどれだかわからない。そうしていると、客が移動し始めた。と、同時に、どこからかやってきたバスが道路の真ん中に停まる。決して歩道に近いところに停まらないところが、イタリアのいい加減さを見せ付けられた。そう、シラクーサ行きのバスが、たった今やってきたのである。バスは予約席でもなんでもないので、荷物を荷物置き場に置く必要がない人たちは、さっさと乗り込む。自分達はトランクがあるので、バスの荷物置き場に、自分で積み込む。最後に、バスの運転手が荷物置き場のドアを閉めて、出発だ。

運転席の後ろに乗り込んでシラクーサまでの3時間15分を楽しむ。

バスは最初はパレルモの市内を通ったあと、すぐに高速道路に入り、そのまましばらくは海岸線を通って行く。途中で、メッシーナ方面とカターニア方面に分かれる場所があり、そこからカターニア方面の道に行くと、それまでは、海も見えて町もあって、なかなか風景的には楽しかったのに、いきなり農村部ばかりで何もないところを通ることになった。これほど単調な世界が続くと、バスの中ではついうとうとしてしまう。

バスは途中1箇所でトイレ休憩が入る。そういえば、海外の高速道路のサービスエリアというのはどういうものか全然分からないので、こういう機会にサービスエリアの様子を探索にいくのもいいなとおもい、トイレにいきつつ、売店や設備について見てみた。日本のサービスエリアと同じように、軽食もできるし、コンビニみたいな設備もあるし、ガソリンを補給する必要があるひとは設備もあるし、もちろんトイレもある。設備の規模は日本ほどではないと思うが、それでも設備としてはほとんど同じである。違うのは、客がほとんどイタリア人であるということだけだろう。しかし、こういう場所でも小さいコーヒーカップでエスプレッソを提供してくれるとは、やっぱりイタリアらしい。

シラクーサに近くなってきたときに、バスがいきなりそのスピードを落としてきた。それはなぜかというと、渋滞が始まったからである。どうやらシラクーサ近くでは、メッシーナからの海沿いの道と、いま通ってきた山沿いの道が合流するところだってようで、それも片道1車線になっていたところなので、渋滞になるのは当然だろうと思った。それも、大きなタンクローリーとかがバンバン走っているので、抜こうにも抜けないという辛さがあるのは、ドライバーであるひとなら誰でも分かることだろう。さらに、シラクーサ市内に入ったときに、前にいきなりトラックが割り込んできて、そのトラックに向かって、バスのドライバーが文句を言っているのが始まった。バスのドライバーはどこの世界もあまり柄がよろしくないのか、プロフェッショナルの意識なのか、マナーの悪いドライバーを見るとどうやら怒らざるをえないらしい。イタリア語は分からないが、「ふざけんなよー、ボケ-」みたいなことを言っていたのだろうと想像できる。

ガイドを見ると、シラクーサのバスターミナルは、旧市街のオルティジア島の郵便局前にあると書いてあったのに、最終的にバスは「ここはどこ?」というような、たぶんシラクーサの駅の傍で停まった。最初は、「駅前にも停まるのかな」という程度で思っていたのだが、ドライバーも降りたので、ここが最終目的地なのかというのが分かった。困ったのが、ここからホテルに行く方法である。最初はオルティジア島に停まるとおもったので、予約していたホテルもその近くだったから、歩いていけると思ったのに、いまの場所もわからなければ、ホテルの方向も分からない。となると、もうここはタクシーを拾うしかないのだが、こう言うときに限って、流しのタクシーなんて居ないのだ。

当てずっぽうで歩いてみたところ、自分がどこを歩いているのか全然分からない。困ったなーと思っていたところに、空車のタクシーが偶然通りかかる。思わず手を挙げてタクシーを止める。タクシーのおっさんに、「ローマ・ホテルまで」というと、OKOK!とあっさり。近いのか遠いのかちっとも分からないが、値段交渉の結果10ユーロでいいとのこと。吹っかけられたのかそうじゃないのか分からないので、とりあえずそれで行って貰う。実際にタクシーに乗ってみると、ホテルまでの距離はかなりの距離だった。歩けないわけでもないのだが、トランクを持って歩くにはとてもじゃないが遠すぎる。たぶん2km以上は離れていたことだろう。オルティージア島に入ったときから、名所を説明し始めたのはありがたかった。どの道を通っているのかが分かったからである。

炎天下の湿度が超低いここで、タクシーを拾えなかったら大変だったところだった。無事目的地のホテルローマに到着できる。

パレルモからのバスはInterbus社を利用
http://www.interbus.it/

パレルモからシラクーサの時刻表は次のとおり

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