2010/12/28

インセプション

羽田から台北に向かう便の中もう1本の映画「インセプション」を観た。この映画、人の脳みその中身を盗み取ってしまおうという基軸で、その脳みそ中で考えている内容を盗まれないようにしようとする対抗基軸と、ちょっとアレな世界で対決するというものだ。盗人のほうのボスがディカプリオで、盗まれまいとしているのが渡辺謙である。

もうすっかりハリウッド映画の中で、日本人を演じる上でボス役をする際の役割として渡辺謙は外せないものになったことは、それだけ世界が渡辺謙の演技と、演じることへの美学を吸収し認めていることだから、たくさんの映画に起用されているのだろうと思う。

映画の内容は、アレの世界の中で繰り広げられる話なので、ちょっと正常な目線で見ると意味が分からなくなる。実際の世界で武器を使って、殺し合いをするということではない。あくまでも精神世界のなかで、ターゲットとなる物体を盗もうとするものと、盗まれないようにするという戦いなのである。その戦いが、作り出された精神世界の舞台によって、どうすることが「盗む」ことに該当するのかというのは、舞台によって異なる。盗もうとする人は、できるだけ自分が作った土壌へ盗まれる人を盛ってこようとすれば、自分の作った世界なのでいかようにもコントロールできるだろうということだ。しかし、盗まれないようにする側もその防衛として、作られた世界をぶっ壊して、世界を作った人間の制御できないような防戦をする。

あくまでも精神世界の戦いなので、戦っている間に、実世界では一種の催眠状態になっていて、正常人間から見ると、催眠状態になっている人たち同士は、単に眠っているだけにしかない。映画の中でもたまにその場面が出てくる。そして、正常世界でのちょっとした出来事がトリガーになって、精神世界でも考えられないような展開に話が膨らむというようなこともできる。

その精神世界に入るこむ方法というのは、これまた奇抜である。催眠術が「あなたは眠くなーる」と眠りに落とすのではない。極限の死に近い状態に肉体を近づけさせることで行うのである。映画の中では、橋から車を突き落とし、その中で催眠状態になり、いろいろな精神世界にいきわたるのである。だから、はっきりいって、見たあとの感想としては、なんじゃこりゃ?とおもったのは確かである。

現実逃避をすることを趣味にしている精神的にイッちゃっているような人は結構いるが、これがまた対決には関係ない人物として出てくる。主人公の妻役になっている人がそうだ。普段から夫婦で、あっちの世界に現実逃避をすることで、自分が生きていることへの確証と安定感を求めようとする妻に付き合うことで、妻の生存意識を安定化させているという、とてもアレな人たちを演じている。これだけでも、かなりドキュンな感じがするが、それを映画にしているということは、観ている人も、自意識をめちゃくちゃ変更させないとまともに観られないんじゃないのかなとおもう。

映画をみたあとに、とても疲労感が出てきた。あの映画はもう一度観てみたいという映画じゃないなという感想を残して。

インセプション:Inception
URL : http://wwws.warnerbros.co.jp/inception/dvd/
上映公開日:2010年7月23日
配給: ワーナー・ブラザーズ
監督:クリストファー・ノーラン

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