2010年台湾映画で一番の大ヒットといえば、映画「艋舺(日本語タイトル「モンガに散る」)」で、1970年代頃の今の萬華あたりのヤクザとチンピラもどきの抗争と、台湾人ならではのプライドと仁義という、日本のヤクザ映画に通じるものが台湾人にも心に染みたのだと思うが、なぜかあまり日本では話題になっておらず、東京国際映画祭で上映されたときくらいしか話題になっていないような気がする。個人的には2010年では一番素晴らしい映画だと思うのだが、日本での台湾映画の人気の無さをここまであらわしているのかと少し残念だった。
たまたま龍山寺に出向いて、そのまま帰るのはもったいないから、龍山寺の周りを散歩デモしてみようと試みてみた。というのも、龍山寺の周りは台北の中でも一番古い町であり、本当は一番面白い場所なのだと思うのだが、これまであまり広範囲において龍山寺の周りを歩いたことが無かったのである。
ぷらぷら地井散歩みたいな感じでうろうろしていたところ、なんだか古めかしい建物があったので、これは面白そうだと、ちょっと寄ってみた。映画の影響で作ったのかよくわからないが、萬華の古い町をそのまま残したい運動がどうやら映画をきっかけに起こったらしく、期間限定で映画「艋舺」の撮影のときに使われていたセットや衣装や小道具が展示されていたのは面白かった。それを目当てにやってきた映画をみたファン達もたくさん訪れていて、もともと萬華はなんとなく爺さんたちが集まる町だと思っていたのに、なんとなくジジィ色が色あせて、若い人たちが集まってきていたのはなんともおもしろい光景だった。そのセットというのは、映画の中で、ドラゴン親子の家でご飯を食べるシーンが何度か出てくるが、そのシーンで出てきた回転テーブルや麻雀台である。結構そのご飯を食べているシーンというのは印象的だったので、よく覚えているのだが、そのシーンがそのまま残っているというのはなんだか自分があのシーンの中に引き込まれているような感覚になるので面白い。衣装にしても、映画に出てくるあのチンピラ5人衆が来ていたそのままの服が展示されている。映画のときには、出てくる人たち全部がへんてこりんな服装だったので、あまり気にしなかったが、現代のそれも現実の世界にあの服装が出てくると、これほど変なデザインの服はないなーと思う。日本でもたぶん1970年代頃のファッションとしては、映画に出てくるような変なデザインも一般的だったと思うので、他人の国のことは笑えないなとおもう。なぜなら、そのころの日本はサイケデリックブームだったはずなので、奇抜なデザインやちょっと風変わりなデザインが一番流行だったからだ。でも、いま来たら、絶対似合わないと思う。映画の中では乱闘シーンが何度も出てくる。最初は素手での殴り合い。これは別に血が出るだけだし、誰も死ぬことは無い。後半になって、ドラゴンのセリフがだんだん少なくなってきて、5人組のうち、スポットライトが当たってくるのがモンクとモスキートの2人になってくると、乱闘シーンも飛び道具やナイフや剣を使ったシーンが出てくる。それもこれも、少林寺ならぬ戦闘の訓練の合宿に連れ出されたシーンが出てくるところから、戦闘シーンも血なまぐさくなる。そうなると、本当にヤクザの乱闘と変わらなくなってくる。そのときに使われていた短剣や銃のモデルが展示されているのも面白い。日本統治時代の名残なのか、日本式の短剣もあれば、大陸から新興勢力としてやってきたヤクザが持ち込んできた中国式の剣もあるので、台湾は武器だけをみても、いろいろとミックスされているところなんだなというのがよくわかる。そんな映画のセットのほかに、萬華を中心として中国大陸からやってきた漢族の氏族の歴史みたいなのが展示されているエリアもあった。中国式の名字は、その名字自体を保有しているとその祖先がどこの出身かわかるようになっている。が、台湾の場合、福建省からやってきた民族ならわかるが、原住民もいまでは漢族式の名字を使っているので、そういう人たちまで出身が適用されるかというと、かなり疑問である。だから、こういう展示物を置いているという理由がよくわからない。確かに萬華あたりの土地は、元々の原住民を追い出して漢族が住み着いた場所では有る。が、漢族が偉くて原住民が偉くないというのを示しているみたいで何か面白くなかった。展示している内容も内容なので、映画のセットがおかれているところと対照的に、全然人が入っていなかったのが笑える。
「モンガに散る」公式日本語サイト
http://www.monga-chiru.com/
電影《艋舺》官方部落格
http://mongathemovie.pixnet.net/blog
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