2012/06/09

アナンタ・サマーコム宮殿(Bangkok)

ウィマーンメーク宮殿があるドゥシット地区にはまだまだ見るべきところがある。同じ敷地内でひと際白い壁と口蓋を持つ建物が緑の芝生の真ん中に映えるように建っている建物があるが、これが「アナンタ・サマーコム宮殿」である。1907年にラーマ5世の命令により迎賓館としての役割と、国家的儀式を行う建物として建立されたものだ。タイ式の建築形式ではなく、20世紀初頭の建築ブームではヨーロッパと同じようにヨーロッパの流れがタイにも来ていたし、もちろん当時の日本や台湾にもやってきたのは周知のとおり。ここでもタイの国家を代表とする建物としては、イタリアの建築家によってルネサンス様式+ネオクラシック様式を混在させた二階建ての建物として作られた。

完成はラーマ5世の生前中ではなく、次のラーマ6世の時代によって完成された。しかし、1932年から立憲君主国になってからは、ここは国会議事堂として使われるようになった。しかし、いまの国会議事堂はもっと北側にある別の建物が国会議事堂になっている。現在のこの建物は、それでも国家的行事をするときには利用されているようである。

訪れたときには王妃の1人が6歳になる誕生日が近くあるらしく、そのために各組織や団体から贈られてきたと思われる記念品がたくさん展示されていたのだが、その展示物がすごすぎる。金や銀を素材としたものは当然なのだが、工芸品としては第一級品になってもおかしくないものばかりで、何十人もの職人が何年かかけて製作されたというものばかりだった。一番多かったのは、象の背中に乗るための鞍を芸術的な推移にまで発展した作品が多かったこと。実際に象にこんなものを載せて乗ることは無いのだが、象は神聖なものであるし、王家として民衆を従えるにはとても威圧感が出てくる乗り物であることは言うまでも無い。実際に象に乗ったらあんなに乗り心地の悪いものは無いと思うのだが。そのほかには王家の歴史を壁一面に描かれた絵画があったりと、もう至る所の作品が凄すぎて、適当に入ってすぐに出て行こうと思ったのに、かなりの時間を費やしたと思う。

ところが、この建物、女性はズボンを履いての入館は許されていない。スカートを履かないといけないという意味不明なルールがある。そこで女性用に大きなスカーフが用意されていて、ズボンの上からスカート風に見せることで対処するようなことをしている。そして、中はウィマーンメーク宮殿よりも警備が厳しく、強靭な警備員というか、兵士がここには駐留して観光客を厳しい目で監視をしている。見えないところで、ほぼ1観光客に対して1監視員が遠くから動きを監視しているため、写真撮影や変な行動をしたら、即効でその警備員がやってきて厳重に注意される。そして何にも増してすごい監視だと思ったのは、いくつかの部屋に分かれている展示物を見学者が移動するたびに、どういう格好の人がどこどこの部屋に移動したと、警備員同士が無線で連絡しているというもの。この完璧というべき仕組みは警備として素晴らしいのだが、すべての訪問者を性善説で受け入れているわけじゃないというところが素晴らしい。どこかの官公庁とは全く心意気が違うのである。が、それを絶対に表向きには敵意むき出しにしているわけじゃないところがもっと良い。静かなる監視とでも言うべきものなのだろう。

建物のほうにもっと目を向けてむると、天蓋の部分はキリスト教の画家にみせてやりたいくらいすごい高精細のフレスコ画だ。ルネサンス期の天蓋の絵画だと、絵が綺麗なのだが、細かいところまではあまり書かれて無いため、双眼鏡でじっと眺めてみるとかなり粗い絵だというのがわかるのだが、ここの絵画はめちゃくちゃ細かい。本当に細かい。ラファエロも、ミケランジェロもこの絵画をみたら、負けてられないと勝負心に火がついたことだろう。題材としては、あとで調べてみたところ、ラーマ1世から6世までの偉業をテーマにして描かれたようなものらしい。が、その偉業自体が分からないので、内容も理解できなかったのだが、事前にこのあたりの歴史を知っていたら、もっと天蓋画をみるときに楽しめたに違いないと思う。

旧国会議事堂(アナンタ・サマーコム宮殿)
Old Parliament House
URL : http://www.thailandtravel.or.jp/detail/sightseeing/?no=550
Open : 10:00〜20:00
Address : Dusit, Phra Nakhon, Bangkok 10200
Admission Fare : 150B
Holidays : 月曜日、正月、タイ旧正月

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