バンコクのスワンナブーム空港から市内に出る方法はたくさんあるのだが、ほとんど初心者同然のバンコク市内へ移動する場合には、いまでは簡単な方法が出来上がっている。いままでは一番簡単な方法というのはタクシーだったと思われるが、タクシーで移動した場合、ラッシュ時間に捕まったら、道路では全く動かない状態に嵌まってしまうのは目に見えている。なにしろ、バンコクは世界でも有数の渋滞天国の都市だからだ。
そんな渋滞をよそ見しながらバンコクの中心地までいけるのが、エアポートレイルリンク(Airport Link Rail)だ。高架式で走っている鉄道であるために、踏み切りによる交通事故はないところが良い。このエアポートレイルリンク、実は2種類あり、エクスプレスとシティラインというのがある。どちらも、マッカサン駅を経由してパヤータイ駅までいくのだが、エクスプレスは、マッカサンまたはパヤータイまで、スワンナブーム空港を出発するとノンストップで行く電車である。もう1つのシティラインは、パヤータイまでいくつかの駅を停車していくもの。時間的にはもちろんノンストップのエクスプレスがめちゃくちゃ早いのだが、値段もめちゃくちゃ高い。なにしろ、シティラインでパヤータイまでいくのに45バーツなのに、エクスプレスは3倍の150バーツもするのである。日本円にしたら400円くらいなので、たいしたことが無いといえばたいしたことはないのだが、タイ価格に慣れてしまうと、この値段は異様なくらい高いように見えてしまうのである。
そして、実はこの2つの路線、乗り場も切符売り場も違うから癪である。空港ターミナルから歩いてくると、手前のほうが高いエクスプレス用の改札+切符売り場だ。シティラインのほうは、壁の裏側になり、切符売り場のところに小さく「シティラインは壁の裏」というのが申し訳ない程度に書かれているので、それに従うと良い。このときはシティラインのほうを乗ることにしてみたため、切符売り場に行ってみると、自動販売機がちゃんと置かれていたので、それで買ってみた。終点のパヤータイ駅まで。買い方は簡単。シンガポールのMRTで切符を買うみたいな感じである。路線は1本しかないから、どの駅で降りるかということで、値段が勝手に決まってくるというものだ。しかし、こんな簡単なことなのに、前に並んでいた西洋人が「使い方わかんねー」と言って、地団太踏んでいた。だんだけ馬鹿なんだろう。
エアポートレイルリンクの駅は、スワンナブーム空港は地下階にあるために、いま流行の天井まで飛び込み防止の扉が付いているとても綺麗なホームである。感じとしては香港の空港のプラットホームみたいで無味乾燥のこの上ないというところだ。日本みたいにホームにキオスクがあるなんていうはまず考えられない。ホームは電車に乗るための単なる集合場所でしかないというのがわかりやすい。
さて、車内はどういう感じだったか。シンガポールや台湾のMRTの車輌を思い出してもらえればいいのだが、あのように硬いプラスチックシートになっており、天井がそんなにたかくなっていないシーメンス製の車輌である。なので、車輌に乗っているだけだと、ここが本当にバンコクなのかというのが全く気づかない。たまたま空港と市内を結ぶ電車だからということもあるのだろうが、客層もそんなに変な客は乗っているわけじゃない。一緒に空港から乗り合せた観光客じゃないひとたちは、大抵が空港職員だったのだが、たぶん免税店売り場の売り子だったのだろう、見た目がタイ人のなかでもそこそこ良い顔だちの男女だったことが印象的。やっぱり空港は国の顔でもあるので、適当なブサイク店員を雇えないというところなのだろう。
終点のパヤータイ駅に到着してホテルがある場所に行くには、ここでスカイトレインに乗り換える必要がある。電車を降りたら、トランクを持っているので、エスカレータかエレベータを探すのが定番なのだが、なんとパヤータイ駅は、鉄道ができて間もないからということもあるのだろう、屋外の高架駅にはなっていたのだが、階段しかなく、エスカレータがない。エレベータなんていう気の利いたものなんかまず見当たらない。これはでかいトランクをもっている観光客にとってはいきなりヒドイ仕打ちになったことと同義だ。肩が抜けそうなくらい重いトランクを持って階段を下るのは結構しんどい。ましては、小さいトランクでそんなに重いわけじゃないのだが、父親も同じようにトランクを持って下るということをしてもらったのには申し訳が無かった。
パヤータイ駅でも実は1つ小さな事件が起きた。それはその後スカイトレインに乗るときの教訓になることだったので、あとへ繋がる勉強になったことがあった。乗換駅パヤータイは、やっぱり人の乗り降りが激しいところであり、エアポートレイルリンクの鉄道とスカイトレインは全く別会社が運行している鉄道と思って良いほど、その接続は良くない。良くない理由は、駅が結構離れているからだ。もちろん、どちらも高架の駅になっているので、地上の激混み道路を歩く必要がないというのは良い。しかし、似たような鉄道なんだから、多少は歩くとしても、切符を改めて買わなければならないというような面倒なことは省いて欲しかった。そう、パヤータイ駅でスカイトレインに乗るときには、改めて切符を買いなおししないといけないのである。
スカイトレインも自動切符売り場があるので、それを利用すれば良いのだが、自動切符売り場はコインしか受け付けない。紙幣は全く対応していないのである。これは偽造紙幣使用防止のために欧州の国の自動販売機でもよくありがちな出来事なのだが、タイでも同じような理由で紙幣が使えないんだと思われる。したがって、窓口のほうに係員がいるので、そこで紙幣で切符を買おうと並んでみた。ところが、係員はこちらが行き先を言ったのにも関わらず、切符はくれず、紙幣と同じ対価のコインをくれたのである。あれ?窓口といっても切符は買えないのか?!と思ったら、係員が「切符は後ろの切符売り場で買え」とのこと。係員の手元を見ると、同じように紙幣からコインに両替するような客のために、すごい数のコインが山積みになっていた。まるでカジノのディーラーみたいな感じだ。今度は自動切符売り場のほうに並びなおさないといけない。こちらも長蛇の列になっているのだ。タイに行ったら並ぶということに我慢しないといけないらしい。屋外で単に屋根が付いているだけの駅だから、外の熱気をモロに被るため、この長蛇の列に並んでいるだけでも不快指数100%になってしまう。
自動販売機では、ほぼ1つの駅を超えるたびに5B増えるような感じで売られている。だが、目的地までいくら掛かるかは、切符売り場の横に駅名と値段が書いているのでそれを観れば良い。販売機は買うべき数値しか掲載されていないので、コインを入れたあとにそのボタンを押せば良いという単純なものだが、ここはシンガポールなんかと同じで、まとめて同じ料金の切符を買えないという仕組みになっている。このまとめ買いができない仕組みを改善すれば、あの長蛇の列は多少解消するんだと思う。なにしろ、一枚ずつ、お金を入れ、ボタンを押し、カードを貰うという行為をしなければならないからである。全く面倒くさい。たぶん、磁気カードを発行する側が、まとめて発行するという仕組みに対応していないからなんだと思う。日本の会社にこのあたりを依頼すれば、すばらしい改善自動販売機が納入されることだろうとおもう。
鉄道の乗り方ひとつでも結構いろいろ文化的なところが見られるのが楽しい。
エアポートリンク
URL : http://airportraillink.railway.co.th/th/
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