2012/06/09

国立博物館(Bangkok)

バンコク最終日は国立博物館に行ってみた。タイの歴史や文化が凝縮されているところだろうと思っていたからである。日本の国立博物館みたいに洗練されているものだと思っていたら、とんでもない。大きな倉庫が広い敷地無いにいくつか存在するというようなものを想像されたほうがよく、お世辞にも保存環境が良いとは言えない博物館だった。もっと室内温度は常に同じ温度というような仕組みでも入れているのかと思ったのだが、まったくその設備が存在していないようである。
敷地の入口に入って切符を買う際に、手荷物は全部預けなければいけない規則になっている。ただし、カメラの持込とペットボトルの水を持っていくのは問題ないとのこと。だから、この館内では長居することに結局なるのでペットボトルの水を事前に持ってきているのであれば、鞄の中に入れてしまわないで預けたほうが良い。もちろん、このときに、貴重品はいくら預けるからと言っても、ロッカーに預けるというわけじゃないので、自分で持って管理をしていないとだめだろう。

毎週水曜日と木曜日の午前9時30分からは、日本人ボランティアによる無料の日本語ツアーもあるので、時間が合えばぜひ利用したいものだが、そのボランティアのひとがどの程度のスピードで各館を説明するのかはよくわからない。1時間くらいでぱぱっと見るような案内であれば、そんなのはほとんど見ないほうがいいのと同義だ。

館内の案内図に順路が書いてあって、その順番とおりに建物を通っていくとタイの歴史を過去から現在にかけて順番に見ることができるようにはいちおう成っているが、ただ、タイの歴史自体が全くわからないので、その順番が過去から本当に現在の順になっているのかどうか判断ができない。展示されているジャンルごとにいちおう建物が分けられていると考えたほうが分かりやすいと思う。

入口付近から行くと、まずは展示物とは全然違うのだが、この博物館の中にも寺院が存在するので、そこからお参りした後に館内の展示物を見に行って見たら良い。名前はブッタイサワン礼拝堂(Bhuddhaisawan)。よく手入れされた床と高い天井の寺院である。壁を見ると神様の絵がずらっと上から下まで描かれていて、ここまで神様に見守られながらじゃなと何かを得られないのだろうか?というのが不思議に思うのだが、名もどういう神様が祀っているのかもぜんぜんわかんない寺院だが、やっぱり内部に入って、正面の仏像をみてしまうと不思議な空気に包まれたてしゃきっとするから不思議だ。信仰心が無いほうだが、なにか聖なるものに囲まれていると感じてしまうからなのだろうか?
特別展示室から奥はジャンルごとに収められているので、興味がある分野のものがあれば楽しいと思うが、全く興味が無いようなものだったらさっさと飛ばしてしまうかもしれない。ここでは、演劇や遊戯に使うようなお面や衣装の部屋から、中国やベトナムから輸入してきて王室で使われていた陶磁器が展示されている。お面などのほうはおもしろくみられたのだが、外国製品ばかりの陶器については全くタイに関することを感じられなかったので、それなら台北の故宮博物院にいったほうが断然いいし、質がいいものしかない。金細工や装飾のエリアにいくと、これがまたタイ風の装飾がたくさん見られて楽しい。特に石造や木造の彫り物は見事としか言えない。

服飾のところや生地、そして楽器のエリアにやってくると、タイもマレーも実はカラーリングやスタイリングは似ていると思ってくる。確かに建物の屋根の形なんかもマレーシアの王宮の特徴がそのままタイにも来ているのか、逆にマレーの文化がタイにやってきたのか、そのあたりは東南アジア専門家のひとたちが教えて欲しいところである。装飾になるとこれは世界的規模で似たようなものになるが、生活密着型の要素に近ければ近いほど、隣同士の世界は似たようなものになるというのがよくわかる。ただ、中国の文化はどうやら前からタイにはないようだ。現王朝がバンコクにやってきて、バンコクの開拓のために華僑を使って商売も含めて拡大させたときに初めて華僑が中華文化を少し持ってきたようだが、それでもタイの文化とはあまり融合していないような印象が得たし、おそらくそれはタイ国王がタイ独自の文化を継承しなければならないということを率先していたからなのだろうという気もした。
 
 
別棟にはアジア全体の仏像美術をまとめて展示しているところがある。タイ国内の仏像はもちろんだが、中国やインド、そして日本の仏像なんかも展示しており、国ごとのそれぞれの違いが一同として見られる環境にあるので、かなり仏像マニアとしては楽しいものだろう。ただ、いかんせん、仏像が保管されている建物自体の保管方式がめちゃくちゃ悪い。だいたい石像なんかは匂いが篭っているようで、雨上がりの石畳のような臭いが部屋全体に充満しているようだった。

絶対見ていて方が良いのは、葬儀用の山車が保管されている倉庫だろう。超巨大な倉庫には王室のメンバが崩御したりしたときに使われる金色の山車があるのだが、あまりにも山車1台あたりの大きさが大きすぎるので、全体をじっくりと見ることができないのが悲しい。ここまで派手にしないとだめなのか?というのがちょっと疑問だが、おそらく現国王がもし崩御した場合にも、新しい山車が作られて、それが使われ、終わったあとはそのまま保管されることなんだろう。
国立博物館(National Musuem)
住所:4 Na Phrathat Rd., Phra Borommaharachawang, Phra Nakhorn, Bangkok 10200
電話番号:0-2224-1370
ファックス:0-2224-1404
営業時間:09:00―16:00
休業日:月曜日・火曜日・タイの祝日

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