2012/09/29

ユトレヒト中央美術館

運河沿いをどんどん南下していくと、その突き当たりくらいのところにユトレヒトのセントラル・ミュージアムがある。この博物館、名前にセントラルなんていうのが付いているが、展示しているのは現代美術に関する作品ばかりで、コンテンポラリーアートに全く興味が無い人にとっては、中学生あたりの作品でも展示しているのか?と思われてもおかしくないようなものばかりがある。

個人的にはたまにコンテンポラリーアートに触れると、先端的な感覚がまた戻ってくるよな感じがするので、ちょっと嬉しくは思う。嬉しく思うというのは、古典芸術だと基礎知識と文化背景を知っていないと、その作品の奥に潜んでいる芸術的な感性や作家の思想というのを読み取れないのだが、現代アートの場合はそういう一切の知識は不要で、純粋になぜその作品を生んで作り上げたいのかという、単なる感性だけで見ることになるために、自分が鈍ければ、作品自体がなんのこっちゃというだけにしか受け取れないし、すごく敏感であると作品に対してなにかを読み取ろうとすることと、あまりにも尖がりすぎると、もうちょっとこうすればこの作品は生きたのにという自分なりの評価ができるからである。だから、たまにこういう現代アートに触れることが、自分自身のアンテナと感性の鋭さを測るバロメータなのだ。
 
 
 

今回の場合は、ほんとうに久しぶりに触れたので、最初に建物に入ったときには、ちょっと拒否反応が出てしまったが、南オランダに渡航する前に、たまたま草間弥生の作品群を見ていたこともあり、ちょっとずつでも感覚が慣れてきたのは嬉しい。ただ、こういう現代アートの場合、だいたいが三次元作品が多いので、絵画が好きな友達の場合には、理解しようにも、そいつの思考範囲にまったく作品が映らなかったというようなことを言っていた。

実はこのセントラル・ミュージアムは、コンテンポラリーアートを見学するためだけに来るひとというのは少ないと思う。というのも、隣接するディック・ブルーナ・ハウス(Dick Bruna Huis)との共通券で入館できるため、こちらの博物館をお目当てにするために、しょうがなくセントラル・ミュージアムで券を買って、ついでだから中に入って作品でもみてやってもいいかなという、本当に「ついでだから」という理由で入っている人がほとんどだと思う。「ほとんど」と断定したのは、セントラル・ミュージアムもそうだが、ディック・ブルーナ・ハウスにやってくるお客さんのほとんど90%以上が、アジア人、それも日本人女性とそれに付き合わされている男性というものだからである。地元オランダ人にとっては、このセントラル・ミュージアムに展示されるというのは名誉なことなのかもしれないが、ロッテルダムしかり、町全体が作品の展示場になっているような環境で育っているひとたちにとっては、わざわざセントラル・ミュージアムみたいなところに来て、現代アートを楽しむという感覚がもしかしたら無いのかもしれないと思った。
内部は複数階構造になっており、本当なら部屋番号どおりに廻ればいいのだが、たまに建物のメンテナンス等で順番には見られない場合がある。

上に行ったり、下にいったりして、歩き疲れた場合には、館内の入口のちょうど上にあるカフェで休憩でもしたらどうだろうか?正直、スナック程度の御飯もたべられるのだが、味は気にしてはいけない。あくまでもアートに囲まれている場所で休憩をしているという感覚を失ってはいけない。

セントラル・ミュージアム(Centraal Museum)
URL : http://centraalmuseum.nl/
Address : Nicolaaskerkhof 10
Phone : 030-2362362
Open : 11:00 - 17:00
Holiday : 日曜日
Fee : EUR9.00 (ディック・ブルーナ・ハウスとの共通券)

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