ロッテルダム港は、ヨーロッパではもちろんのこと、世界でも有数の貨物取扱量を有する大きな港であり、ヨーロッパでは心臓部になっているのは間違いない。Institute ofShipping Economics Logisticsの「Shipping Statistics and Market Review」によると、ロッテルダムの貨物取扱量は2009年までは毎年世界で第3位の位置につけている。ちなみに、ロッテルダムよりも貨物量が多いところは、予想通り、上海とシンガポール。どちらも港と中継貿易としての機能を完璧に演じている港ではある。ただ、中国の港湾は、中国自体の国土面積が広いために、海岸部は分散して大きな港を有しているので、国家別という意味で考えると、断然中国がいま世界一の貨物取扱量になっているのは言うまでも無い。
ロッテルダムは古くから地の利を生かして、ヨーロッパの中でも貿易港としての役割は重要だ。よって、このことで、オランダは北のアムステルダムが歓楽地として観光客がくるところ、ロッテルダムは商売人が集まってくる商業都市として発展、そしてすぐ傍にあるデン・ハーグは政治の中心地と、あの小さい国家なのに都市ごとに独特の機能を持っているところが面白い。だから、ロッテルダムを歩いていると、普通の観光客もいないこともないのだが、スーツを着てビシッと決めているような人たちを結構みかけることがある。
ロッテルダムが大きく港としての役割を演じることができるようになったのは、やっぱりライン川の運行だろうとおもう。外海からロッテルダムを中継地点として、内部の国家にいくには、自動車という手段で運ぶことができるのだが、それよるも大きな船のまま、ライン川を川上して、そのまま内陸部まで荷物を運んでいくことができるのは、西ヨーロッパの発展に大きく関わってくることになる。
それにしてもロッテルダムの港は大きな港なのに、とても綺麗だ。河口全部が港になっている構造になっているので、一箇所の土地にごちゃごちゃと港湾設備が整っているという構造になっているわけじゃないので、港湾設備にありがちなコンテナを運ぶための設備が狭い範囲にどどーんと並んでいるというようには見えない。そして、貨物船やコンテナ船という役割と、観光客が乗る豪華旅客船の役割と、個人所有者が保有するヨットの停泊場といういろいろな顔を持っているから面白い。貨物船が集まっているエリアを見るよりも、個人のヨットが並んでいるようなエリアを見ているほうがやっぱり面白い。まるで葉山の港の巨大版がここにあるようなもの。ヨットがたくさん並んでいる様子をみると、ヨーロッパは昔から海洋国家としての役割を演じていて、それで海が身近なものだというのがここを観ればなんとなくわかる。それだけじゃなく、やっぱりロッテルダムの港は大きいだけじゃなく、優雅で、綺麗で、ヨーロッパの貴族のように洗練されているというのが一番の印象なんだろう。
洗練されているというように見えているのは、帆船ばかりが存在するということじゃなく、ジャンク船が全くここには存在しないからということなんだろうとおもう。金持ちの象徴みたいなヨットや帆船がばかりのなかに、いきなり泥棒や乞食のような象徴みたいな船が帆船の間をうろちょろしているような香港やシンガポールの港とは全然感じが違うのは、こういう船がいないからなのであり、香港やシンガポールにいるジャンク船は、自分たちがジャンク船を当たり前のように港湾の中を移動していることに何の恥ずかしさも持っているわけじゃなく、むしろ誇らしげに思っているところに、海外から来ている観光客には「絵」と見えるひとと、「ゴミ」に見えるひとといるわけで、個人的にはジャンク船は「ゴミ」にしか見えないから、ロッテルダムの港が綺麗に見えるわけだ。
そういえば、沖合いに巨大な豪華船が停泊しているのがみえるが、あれは実はレストラン。もともとは客船として運行していたのだが、その役割は終わって、氷川丸みたいにレストランとして機能し、第二の人生になっているようである。しかし、あのレストランに行くにはどうやって行けば良いんだろう!?対岸に一度は渡って、そこから船に移動するような手段があるんだろうか?よくわからない。
港は昼の顔もすばらしいが、夜の顔はもっと素晴らしい。夜の港は世界どこでもそうだと思うが、なんでこう気持ちが悲しくなってくるんだろう。別に本人になにか嫌なことがあったわけでもなんでもないのだが、物悲しくなる。そんな風景の魔力が夜の港にはあるんだろう。
世界の港湾における貨物取扱量
URL : http://www.jsanet.or.jp/data/pdf/2011data70-2.pdf
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