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タクシーで一番最初に連れて行かれたのが、「安平樹屋(Anping Tree House)」である。ガイドを見ると、お化け屋敷のようにガジュマロの木が家全体を覆っているところだというように書いていたので、到着する前までは、甲子園球場の小規模版みたいなものかなと思った。
入り口に到着すると小奇麗な建物が見えた。あれ?ここがあの宣伝にもなっていたお化け屋敷みたいなところなのだろうか?と最初にもちろん疑った。タクシーのおじさんの台湾語による入り口の人との会話によって、うちの両親は、まだ年齢が達していないが75歳以上だということにして、両親は無料で入場。自分の分だけの料金を払って入場した。なんだか得した気がするが、こういうときに現地の知り合いを(タクシーのおっさんは別に知り合いじゃないのだが)作っておくというのは便利だなと大いに感じる。
勝手気ままにこちらは園内を見学しようと思ったのだが、なぜかタクシーのおっさんが、半分ガイドになるようなことを申し出てきた。というか、勝手にガイドをし始めた。最初に行かされたのは、現在「台湾開拓史料蝋像館」というところになっている旧イギリス貿易会社の「徳記洋行」の建物に案内された。元々は「徳記洋行」という会社の建物だったものを今では台湾が、大陸からやって来た漢民族と原住民にとってどのように開拓されていったかというのを蝋人形で紹介しているものである。
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タクシーのおじさんは最初は台湾が発展していったことについて、すごい口数多くしゃべってくれていたのだが、だんだん自分たちがあんまりそんな発展していった蝋人形の様子なんかを見るために時間をかけることに興味が無いことがわかってきたのか、途中からさっさと内容をすっ飛ばすようになっていった。たいだい、他の安平の名所に比べると、こんなところを訪問する人は極端に少ないのか、この日もこの建物の中に入ってくる人は、ほとんど居なかった。
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実際に中は、塩作りや田作りをしたり、狩猟によってどのように生計していたのかというのを紹介したり、大陸からやってきた人たちが、原住民たちとどのように融合していったかというのを蝋人形で説明しているのだが、これが本当につまらない。紹介したいのはわからないでもないのだが、貴重な史料だから展示してありますというようなものとは全然違うため、最初は期待して入館したとしても、本当に途中から飽きてくる。だいたい館内撮影禁止なんていうふざけたことを行っていること自体が嫌だ。蝋人形なのだから、別に写真くらい撮ったっていいじゃないかと思う。こういうどうでもいいところで規制しているところが、気に食わない。
タクシーのおじさんと、次に向かったのが、ようやくメインのガジュマロの家である。
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これがもうただただびっくり仰天だった。家屋跡に足を踏み入れた途端に、そこはすごい廃墟のところだったのだが、上から横から至るところからガジュマロの枝が出ていて、ガイドの紹介に書いてあった通りに、ガジュマロの木が家を飲み込んでしまったかのように見える。家屋は煉瓦で造られていたものだが、もうその家屋の中の内装については全く形跡が残っていない。火事あとの家屋で、柱と壁だけが残ってしまったようなものと似ている。ただ、部屋数だけは多かったようだったので、金持ちのうちだったのだろうか?とおもったら、どうやら日本統治時代に作られていた建物で政府関係の建物だったようだ。だから、異様に部屋数が多いんだろう。
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どうしてこんな風にお化け屋敷になってしまったのかが不思議なのだが、どうやら最初は1株のガジュマロの木が原因らしい。ガジュマロは成長がとても早い木であるというのは聞いたことがあった。人間がこの建物に住んでいたときには、手入れをしていたからなのだろうが、単なる観賞用の植物にしかなかったのだが、日本統治時代が終わり、だれもこの建物に住まなくなったあと、60年経過しただけで、お化け屋敷のようにガジュマロが繁殖してしまって、家全体を木が飲み込んでしまうようになってしまったとのこと。複数のガジュマロが成長してしまった結果かとおもったら、事実は全然違って、1本のガジュマロがまずは上に伸びたとおもったら、重さで次に枝がよこに広がり、その枝がさらに重さのために、下に垂れ下がり、枝は地面に付いたら今度は根のように地面の中を筍のように張って、また地面に何も無いところから「生える」ように上に伸びてくるということで、いかにも家全体を飲み込んでしまったような育ちかたをしたようだ。
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ちょっとでも人の手が入らないと、植物はお化けのように繁殖してしまうという典型的な例なのだろうなとおもった。さて、ここを訪れる人の何人が、このガジュマロの木の「大元」がどこにあるのかというのを探せるのだろうか?
安平樹屋
住所:台南市安北路194号
オープン時間:8:30~17:30
料金:大人50元、小人25元
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