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タクシーのおっさんがそろそろ休憩をするために自社に戻りたいようなことを言い始めてきたのだが、ちょうどその会社へ戻る途中にも仏教寺があるということだったので、そちらにも言ってみた。台南の三大名匾と言われる文言の1つがここの寺にはあるから、絶対行けと強く言われた。ガイドについてもほとんど記載がされていない。台南市内にあるとはいえ、台南の結構南のほうにあるために、こんなところまで観光客が来るということを想定していないんだろうと思う。ただし、この寺は地元民にとっては結構有名なところのようで、入口前には、巨大な広場になっているため、たくさんの人がやってきても車が収容でいるだけの容積がある。
この寺は街中から外れているから大きな敷地があるのかとおもうのだが、しかし、ここの寺も歴史的には古く、1664年には建てられたと言われているらしい。清代は、福建省あたりで見られるような建築様式の寺だったのだが、日本統治時代になって、仏教様式の建築に改築、そして中華民国時代になったら、今度は中国北方宮殿式建築にまた戻ったという、建物としては変遷している。寺にありがちな赤一色というようなものではなく、全体的に白を基調としたカラーリングである。これは故宮博物館のつくりと似ている。
この寺は禅寺であり、宗派は臨済宗。うちと同じ宗派だ。確かに、本堂に入ると、他の仏教寺は土足でずかずか入っていけるのに、ここでは靴をちゃんと脱いで、お堂の前では正座をしてお経を詠むようなスタイルになっている。建物が木造ではなくコンクリートになっているので、一瞬学校みたいに思えるのだが、やっていることは日本の禅寺と全く同じである。
ところがおもしろいことに、この寺の入り口はどうも違和感がある。色が気持ち悪い狛犬に相当する、シーズー(獅子)が入り口にあるのは理解できる。しかし、「あ・うん」と口を開け・閉じしている獅子が入り口の両端にいるということではないところがまず違和感あり。
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それから数十段の白い石でできた階段を上ったところに、大理石なのか石膏なのかでできた笑った布袋様みたいな仏像が「やぁ、良く来たねぇ~」と言わんばかりに鎮座している。それも屋根無しの外にむき出し状態である。
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もっと不思議だなと思ったのは、さらにお堂に近いところまで良くと、今度は白い象がお出迎えである。もうここは一体なんなんですか?!と言いたくなる。タイやベトナムあたりであれば、象もいちおう守り神の一種にしてもおかしくないとおもうのだが、なぜ台湾で象なのだろうか?誰か説明をしてもらいたいものだ。
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さてお堂であるが、先述の通り、学校のような建物になっている。決して街中にあるような寺院の形をしているわけではない。ガラガラ~とサッシ扉を開けて教室に入るような感じでお堂の中に入る。中に入るとまぁまぁ広いが殺風景な様子が目に入る。はっきりいって、学校と先ほど述べたか、地方の公民館の大広間みたいに見える。ただし、奥に金色の仏像があるので、ここがお寺なのかなと思い出す。正面には、釋迦牟尼、藥師佛と阿彌陀佛の三体が鎮座しているのだが、あんまり区別がわからない。
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そして、ここで観るべきものは、天井近いところに掲げられている「了然世界」という文字だろう。タクシーのおっさんが絶対見ろと言っていたのがこの言葉。意味は良くわからない。ただ、天壇の「一」と並んで台南では有名なものらしい。
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しかし、このお寺、妙に尼さんばかりが目に付いた。男の僧侶は全然見られなかったのだが、もしかしていまは尼寺として使われているのだろうか?もちろん尼さんは全員髪の毛を綺麗に剃って袈裟を着て歩いているのを良く見かけた。
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