祀典武廟から歩いて1分以内のところに大天后宮がある。両腕を広げたら道の両端の家の壁を触れるんじゃないかというくらいの、猫しか通らないような細い道を歩けばすぐに他到着できる場所にある。
裏道から通るとどこに寺らしいものがあるんだろうとおもうのだが、いきなり巨大な駐車場みたいなスペースが現れて、実はいま通ってきた壁の一方が寺の壁だったというのがわかる場所が出てくる。
もともとはこの建物は、いまのような使われ方ではなく、明の開祖である朱元璋の八代後の子孫である寧靖王朱術桂のために設けられた邸宅であった。しかしそれを建てた鄭成功の息子で二代目の鄭経のあとを継いだ鄭克爽があっさりと清朝に降参。清朝に従うことなんか絶対死んでも嫌であった寧靖王は自害して降伏を拒否する。主が居なくなってしまった館のあとは、媽祖を祀る寺に変更してしまい、現在に至るようになる。だいたい、関帝廟とセットで台湾に存在するのは媽祖廟であるため、当然の成り行きだったのだろう。
建物自体はたびたび修繕を行われているようで、ずいぶん前に台南に初めて行ったときにはここは工事中だったと思う。だから、今回初めて内部にまともに入ることができてすこし感動。入り口を入ってすぐのところに、たぶんこれから上に飾る予定なのだろうと思う「媽三南」と赤い板に金色の文字で書かれた看板が床に寝かされていた。
正面には媽祖像が飾られている。しかしこの媽祖像は、なぜか真っ黒な顔をしている。たまに肌の色が黒い媽祖像を見ることがあるが、まさしくその中のひとつだ。そして、その媽祖像の手前には千里眼将軍と順風耳将軍というものが置かれている。が、やっぱり道教の世界の神様の顔って、お笑いにしか見えない。天井のほうを見上げたら、名前がわからないが、ランタンの代わりになるようなものが天井からぶら下がっていた。木製のものなので、なんだか趣がある。
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