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「城隍廟」というのは城隍神を祭っている廟である。城隍神というのは、土地の神様の一種であり、城壁で囲まれるような街において、そこに住む人間の生前の悪事を配下の神様を使って見晴らせて、死後それを裁く裁判官のようなものである。日本だと閻魔大王と似ているものだ。土地の神様であることから、町の守護神であるという意味もあるため、古い町にはだいたいこの城隍廟というのが存在する。台南にある城隍廟は、台湾の中でも一番古く、それは台湾の町が漢族がやってきて一番発展したのが古いところだからだということもあるのだが、そのために、名前が「台湾府城隍廟」となって、台湾を代表とする城隍廟の名前を冠している。ちなみに、台北にも城隍廟はあるのだが、こちらは、「台湾省」の城隍神を祀っているというところの意味である「台湾省城隍廟」と名前をつけている。台北は今では大都市ではあるが、比較的新しい町であり、古い物件だと、やはり台南に劣る。
台南の街を今後も平和で安定的に発展して欲しいという意味があるのか無いのか知らないが、ここも鄭成功が絡んだ建物であり、息子の鄭経のために建てた廟である。
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門を潜って中に入ると、天井が低く常に暗いのだが、それが一層街の守り神の演出していると思う。入ってすぐの天井の付近のところには、台南三大扁額の1つである「爾來了」の文字がある。これは発音が同じであるということから「你來了」と「なんじが来た」という意味。他の扁額に比べるとこれだけは意味がわかる。
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そしてなんと言っても、この寺の意味ととても関係が深いものを入り口の門の上でみつけなければならない。それは城隍神が人間の生前の行いから死後の世界を算出させるための「そろばん」である。昔のそろばんなので、上に玉2個、下に玉5個並んでいるタイプである。いまだにこのタイプのそろばんの計算の仕方がわからない。現代版の上1玉、下4玉のそろばんなら理解できるのだが、誰か教えて欲しい。
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奥に行くと、城隍神そのものがお前の死後を計算してやると言わんばかりの厳つい顔をして鎮座している。この神も囲いがあるわけではないので、なにかこんな身近に感じていいのだろうか?と不思議だ。
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さらに奥に行くと、この廟で保管されている宝物や祭事のときに使われる各種のものが展示物としてみることができる。入り口近くに置かれていたそろばんも見たほうがいいが、どうやら祭りの際に街中を歩くため用に使われる巨大なそろばんもここでは観られる。神輿のように巨大そろばんを前後の棒でかついて動かせるようになっているのも面白い。
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それと、城隍神を乗せて街中を歩くための神輿自体も存在する。こういう神さまを適度に表に出して、住民にありがたみを思い知らさせるというのはどこの地域においても同じことだなと理解できた。
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そのほか清時代に作られた陶器や装飾品もあるので、それを見てみたほうがいいだろう。
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台湾府城隍廟
住所:台南市青年路133号
TEL:06-224-0922
OPEN:6:00~21:00
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