2010/09/08

台南孔子廟(台南)

旧台南神社のあったところに隣接していたのは、台湾最古の孔子廟だ。その建設時期が1665年というから、相当古い。そして、この孔子廟で台湾における儒学の学問は引き続き行われ、そして官吏になるための登用試験である科挙を受けるためには、ここで猛勉強する人が多かったと思う。もちろん、官吏となって台湾を行政するひとたちにとっても、この孔子廟は重要な場所であったことは変わりない。
孔子廟の入り口に行くと、今でも残っている建て看板がある。それは「文武官員軍民人等至此下馬」という石の看板。要は、「誰彼問わず、ここで馬は下りろ」ということである。孔子廟は特別で、日本で言うと、神聖なる神社と同じようなものだ。そこを馬で敷地内をうろうろするとはもってのほかというのと全く同じである。なお、この石の看板は、清朝らしく、漢字と満州文字の2種類で書かれているところが面白い。これは北京にある清時代の建物に書かれている文字表記と同じなのではないだろうか。それにしても煉瓦でもなくコンクリートでもないのだが、朱色の壁が孔子廟を囲んでいるというところが、なんとなく不思議な気がする。しかし、中国式の建物は、だいたい柱や壁が朱色だったりするから、その名残なのかなという気もする。

孔子廟の中に入ると、本当に閑静な敷地であり、なんだか門を潜っただけで凛とした空気が張っている気がした。もちろん敷地内は今では特に政治的な意味が無い場所であるため、近所の爺さんばあさんの憩いの場になっているのは当然である。が、やっぱり近所の寺と同じようにここ孔子廟であっても特別な場所だという感じがするのは、民族に関係なく感じるものは同じなのだろうとおもう。そんな敷地内にはちょっと気になる看板が立っている。もちろん日本語でも書かれているのだが、「助けよう、ガジュマルの樹」という題名で、敷地内にある巨木のガジュマロの樹を守っていこうというのが書いてある。もともとはもっとたくさんのガジュマロの樹があったんだろうなということは想像できるのだが、いまではすっかり1本の木として100年以上もこの孔子廟の中のランドマークとして存在してきた。安平樹屋でみたお化け屋敷みたいなガジュマロの樹とは違い、こちらの木はまさしく手入れがちゃんと入った場所だと思う。
孔子廟の本殿のほうに行ってみる際に、入館料を徴収される。1人50元。しかし、両親はここでも「75歳以上」ということにして無料で入館。それもこれもタクシーのおっさんのおかげである。

腰をかがまないと跨げないような高い門の仕切りをまたいで中に入ってみる。ただでさえ、頭を下げるのが大嫌いな漢人の性格を配慮してだとおもう昔からの慣わしである門の作り方は、紫禁城にいっても同じだった。かがむことで、必然的に頭が下がることで、門の内側にあるものに対する敬意を勝手に示すことができる。それで広い敷地内に入ってみると、正面には大殿がある。しかし、ここに、誰かの像があるというわけではない。それでも、やっぱり受験前の願掛けのときには、台南ではたくさんのひとが天満宮の代わりにやってくるようである。ちょっと気になるのは入り口に近いところにある明倫堂だろう。明倫堂の中に入ると、いきなり正面にありがたい言葉が大きな文字で書かれているのが見えており、実に絵になる構図が取れる建物だと思う。建物の左右の壁には、忠義等の言葉が書かれており、さすが儒教といわれるような感じだ。

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