台北では必ず故宮博物院に行く。毎回展示物が変わっているからである。両親と行ったときは、まだ今の故宮のように整然としていたわけではなく、置けるスペースがあるんだったら、いっぱい置いちゃえというスタンスだったときである。何度か個人的に台北に行き、故宮に行くたびに「なんだか綺麗になったみたいだった」と報告すると、「おぉ、そうかい。その変わった故宮にまた行きたいねー」というようなことを何度か聞いた。確かに故宮は何度行っても楽しいとおもうし、なかなか日本では故宮の展示会を行わないという意味では、こちらから見に行かないと接することができないというところなのだろうと思う。
久しぶりの故宮はホテルからタクシーで移動した。バス→MRT→バスというのを使った場合より、3人分を合わせた金額はタクシーより高くなる。それで歩く必要が無く、待つ必要が無いタクシーで移動をすることにした。これは便利だ。さて、最近の故宮に行ってみて驚いたことは、中国人の観光客が増えたこと。あまりにも増えすぎているといったほうがいいかもしれない。そのためなのか、中国人観光客が来る前までは、入り口のところに存在しなかった、荷物検査のX線と、飛行機の搭乗前に行われる武器所有有無についてのゲートが設置されていたことには吃驚した。おそらく、なんでも自分のものとしてもって行こうとする中国人に対する警戒なのだろうと思うし、さらにいうと、展示会場の内部には、死角が無いように監視カメラがめちゃくちゃたくさん設置されている。部屋および廊下という場所には必ずあり、1部屋に1個という割合ではなく、複雑な形をしている部屋が多いこともあり、数十はついていると思われる。もちろん、いくつかはダミーのためにつけているのもあるのだろう。さらに言うと、館内を日本の美術館なみに警備員が巡回しているところも驚いた。これも、大陸からの観光客を警戒しているのだと思う。
それと、館内はちょっと前から撮影禁止になってしまった。前は、どんなにカメラを持ち込んでも全然いいよーというような状態だったのに、これを止められたのは結構痛いかもしれない。その代わりに、お土産コーナーで書籍を買えということなのだろう。文化的価値についてあまり理解せず、中華文明の遺産を持っているほうが偉いから、大陸のほうが持っていないとおかしいとおもっている中国人も結構多い。そういう「持っていることが偉く、持っているモノの本質についてはどうでもいい」とおもっている中国人が多いのも結構話をしていると多い。金儲けにならないようなものには本当に関心が無い人たちである。だから、お土産コーナーのところに行くと、驚くほど、展示会場のような混雑さはない。たぶん、ツアコンの人がここでお土産を買ってもマージンが入らないから連れて行かないだけなのかもしれない。
今回の故宮では通常展示のほか、書簡に関する展示が多かったと思う。文字が好きな人たちにとっては、今回の展示は楽しかったのではないだろうか?もちろん、至高の作品という意味では、石でできたお馴染みの展示物は当然設置されていた。個人的には、毎回思うのだが、キリスト教国だとキリスト教に関する絵画については最近よくわかるようになったのだが、中華文化における絵画は、おもに風景画が多いということはよしとしても、その題材が中国のどこでなんの価値があるものかというのがちっとも観ていてわからない。故宮は、詳しく説明を展示物に関して書かないので、予備知識が無いと本当に困るところだ。見てすぐわかる石の作品のようなものは、予備知識無くても見れば作品のすごさは理解可能である。そういう意味では、中華文化の作品は、わかりやすいものとわかりにくいものが混在している不思議な文化だと思う。
たくさんの展示物があるので、途中で休憩は必要だ。ただし、館内には事前に飲み物、食べ物を持ち込むことは禁止である。これは前からも同じことなので、本当にのどが渇いたり、休憩をするのであれば、4階にある「三希堂」で休憩だ。食べたい人は食べれば良いし、お茶を飲みたい人は飲めばいい。お茶だけなら、ひとり600円程度くらいだろうけど、ちゃんとした台湾茶で各種あるので好きなものを選んでのんびりしたいところだ。それにしても、毎回故宮に来るときには、脳みそ解けるくらいの晴天なのだろうか?まるで、台湾の国旗である「青天白日旗」と同じような青い空がこのときにも広がっていた。台湾の中華民国国旗は個人的には大好きである。そういえば、昔お土産でもらったことがあったが、いまでも大事に家の中にしまってある。そういえば、メイン会場ではなく、第二展示館のほうでは、チベット展が開催されていた。このチベット展は、小規模でたいしたことがないだろうと思っていたのだが、ところがどっこい、めちゃくちゃ展示物があり、これでこの値段で見られるのか?というのが驚きだった。初日に見に行ったのでは疲れるだけなので、別の日に故宮に行って、チベット展だけを見るために出かけた。
チベット展は、台湾でも大宣伝されていたのかもしれないのだが、それはもう日本にモナリザがやってきたみたいに、会場は超満員で、息苦しくなるかと思われるものだった。曼荼羅からインスピレーションされたタペストリーは当然あるし、ヒンズー教に近いような各種神様の銅像・金蔵・木像がたくさん展示されていた。チベットの神様はおそらく日本の仏教よりもヒンズー教の神様に近いのは知っていたが、どれがなんの神様なのか全然わからない。それに日本の仏教の神様とだいたいが1対1でリンクすることができるのは知っていたのだが、その予備知識があまりないので、これは日本だと毘沙門天の意味の神様だなーというのをはっきりいって、理解することができなかったのは残念である。やっぱりこういう展示物をみるときには、事前に予備知識をもって見に行かないと本当にいけないというのはよくわかった。
ただ、今回展示されていたチベット展の数は結構多かったので、それを見ているだけでかなり時間が経過した。また台湾人のチベット展に関する関心の高さについては驚いた。爺さんばあさんくらいしか見に来ないものかと思っていたのだが、これが学生や小さい子もかなりたくさん来ていて、理解がどこまでできているのかというのを今度調査してみたいところだ。
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