2010/09/07

タクシーを1日チャーター(台南)

朝から遠出として安平古堡に行こうとおもった際に、台南駅西口からバスが出ているのは知っていた。しかし、あくまでもそれは安平古堡に行くだけのためにあるようなバスであったし、いったいどのくらい時間がかかって到着できるのかわからない。それにこちらもひとりで旅行をしているわけではなく、親とはいえ年寄り連れて歩いているために、乗り降りするのを連れて行くのが結構しんどいと思った。そこで、ホテルを出るときに、タクシーで一気に現地に行ってしまおうと、ホテルからタクシーで移動。

タクシーのおっさんは、こちらが日本人だと聞くと、「日本はもう何度も行っていて、大好きだー」と力説する。一生懸命日本語の単語を出してくれようとするが、日本語が話せるわけではないので、タクシーのおっさん、自分の不甲斐なさに度々「情けない」という顔をしながら、どうしても自分の日本好きのことを説明してきた。でも、人がよさそうな人でなかなか良い。

安平古堡は台南市内から結構離れたところにある。どんなに飛ばしても30分くらいは乗らないといけない。最初はメーターを動かして目的地に行こうとしていた。途中から、なぜか会話のなかで、台南にはたくさん見るところがあるという話になって、こちらも遺跡にはたくさん行こうと思っているんだという話をしたところ、台南の地図のパンフレットを運転しながら出してきた。そして、そこからタクシーのおっちゃん営業開始。「チャーターもできるよー」とのこと。4時間チャータで1200元で良いという。4時間で1200元かあ。当時のレートが1台湾元が2.7円だったことを考えると、約3200円。ひとりの値段ではなく、こちらは3人での値段だったし、好きなところに全部行ってくれるというのであれば、こんなに楽なことは無いと思ったので、二つ返事で「じゃ、4時間1200元でお願い」と頼んだ。あとから考えると、このチャータは本当に便利だったと思う。

最初に安平古堡にいき、その後、絶対タクシーでないと行くことができない鹿耳門天后宮にいき、そんなところに行ったら、チャータのタクシーではない限り、流しのタクシーなんか見つけることはできないので、移動にも便利だった。さらに安平古堡でも、鹿耳門天后宮のあと、億載金城のほうにもいき、そして台南市内へ移動。台南市内でも孔子廟のような場所のほか、普通にはあまり行かないだろう竹渓寺のほうまで出向いたりしたし、観覧料が必要なところでは、本来なら75歳以上じゃないと無料拝観ができないところを、75歳にはほど遠いが形式上「75歳にしておけ」ということにして、両親とも無料で拝観することができるように取り計らってくれたりしたのはとてもありがたかった。やっぱり台湾語で現地の人と話をして交渉する力は強いと思った。

このタクシーのおっちゃん、どこに行っても知り合いがいるようで、あちこちで「おぉっ、元気か!」みたいな調子で挨拶をしている。台南市内のどこにいってもこの調子で、いったいこのおっさんは何なのだろう?とちょっと吃驚し始める。タクシーで移動する際に、これも話の流れでタクシーのオッちゃんは、実はタクシー会社の社長であるということが判明。先ほどの話で、何度も日本に行ったことがあるというのも、社員旅行でということを言っていたくらいだったので、すごい人なんじゃないのか?と思い始める。

最初の予定では4時間のチャータとしていたのだが、安平古堡のような遠いところを移動しているだけで、昼ごはんの時間帯になったので、「一緒にご飯食べますか?」と誘うと「いやいや、その辺で食べるから」と最初は遠慮していた。しかし「周氏蝦捲で食べたいので、そこに行ってください」と頼むと、遠慮が図々しさに変わったのか、「じゃ、一緒に食べよう」ということになった。奢るなんて一言も言った事が無かったが、なぜかおっさんは奢ってくれると思ったらしく、周氏蝦捲の店について、メインの蝦捲きと魚丸湯を人数分注文する。軽食としてはちょうどいい量だ。全部4人分で260元程度だったので、別に高い金額ではない。その昼ごはんのときに、タクシーのおっちゃんと両親の間で、さらに親密な会話ができて、仲良くなったようである。父親は中国語はできない。おっさんは日本語ができない。だけど、二人は漢字文化圏の強みを生かして、お互い喋るのは母国語だが、文字で書いて会話がなぜか成立していた。そのときに、おっさんが、父に向かって「あんたの息子はいい息子だ。俺の息子にしたい。がはははは」と言っていた。

でも、日本旅行のときに日本の食べ物で美味いものはなんだったか?と聞いたときに、ラーメンとトンカツといわれた時に、なぜかあんまり嬉しくない気持ちになったのはなぜだろう?

ご飯を食べた時間で、既に予定の4時間を過ぎていたのだが、こちらが「もういい」と言わなかったからか、結局最後までおっさんを付き合わせることになった。母が「4時間じゃなかったっけ?」と心配そうに聞いてきたのだが、おっさんも「終わりね」とも言わないので、なにかおっさんが言ってくるまで付き合わせようと腹を括る。

竹渓寺に行ったあと、この近くに会社があるから、一度そこに行ってお茶にしようと誘われる。タクシー会社の社長だからか、運転中もひっきりなしに携帯に電話が掛かって来ていて、なにかいろいろ喋っている。なんとなく「社長、いつ帰ってくるんですか?」というようなことを聞かれているようだった。そのために、いったん会社に戻ると言ったのかもしれない。こちらとしても、昼ごはん以降、お茶の休憩さえもせずに、あちこち拝観していたりしたから、まぁ、お茶くらいなら良いかとご商売に預かる。ほとんど、現地の知り合いのオッサンのところに行ったような感覚に襲われ、金を払っている客という立場になっていることをすっかり忘れた。

タクシー会社に行ってみると、実はこのおっさんの個人経営の会社であり、社長とはいいつつも、社員数は息子と2人でやっている会社であったことがわかった。竹渓寺にいったときに、野良犬がめちゃくちゃたくさん居て、野良犬が多いなーと吃驚していたら、おっさんが「うちにはもっとたくさんの犬が居る。でも、全部拾ってきたんじゃなくて、育てたんだ」とデカイ口を叩いていたことを思い出した。実際におっさんの会社に行って見ると、確かに大きなたくさんの黒い犬がたくさんいるし、鴨もたくさんいるし、猫もたくさんいた。本当にオッサンの言うとおりに全部飼っていた。ただ、見ず知らずの人間が来たことに興奮したのか、動物たちは始終ずっとワンワンほえまくっていてうるさかった。おっさんが「黙れ、ごらあ!」と犬たちに叱る。やっぱり、台南の知り合いの人の家にいるような光景だ。お茶をもらったが、やっぱり台湾茶だった。自称・阿里山殊露茶だと言っていたが、ほんとうのところはわからない。そんなときに、おっさんの友人である「茶博士」という人がやって来た。お茶に関してはとても詳しいらしい。タクシーのオッサンが阿里山殊露茶だと説明したところ、「おいおい、それは龍井茶だ」と、すかさずツッコミを入れていた。茶博士とタクシーのおっちゃんは台湾語で会話をしていて、全然理解はできない。ただし、龍井茶のことはわかったので、心の中で「やっぱり違った」と思ったのは言うまでも無い。最終的にタクシーのおっさんを朝の9時から、昼ごはんやお茶の休憩を入れても、夕方17時まで引っ張りまわした感じだ。おっさんも調子を扱いて、我々を引っ張りまわしたことに後で気づいたらしく、「本当は4時間1200元だから、8時間で2400元。だけど、うーむ・・・1500元で良いよ」とのこと。ほぼ1日チャーターをしたが、1500元(約4000円)であちこちと周ることができたのは良かったかもしれない。もしかしたら、昼ごはんを奢ったことが有益だったのだろうか?良いタクシーの運転手にめぐり合えたかなという気がした。

お土産で、巨大な飲み物と、大判焼きをたくさんもらったのだが、飲み物のほうは1つだけでも700mlも入っているので、これを1人で飲むのは難しい。大判焼きも餡子みっちりのものだったので、これをもらってほおばっただけで、夜ご飯はもう要らないとおもったくらいである。やっぱり台南の知り合いのおじさんのところに行ったような1日だった。ドライバの名前は「蔡栄輝」さん。台南のどこかでまた会えたら良いとおもう。ただし、タクシーはもっと冷房をつけて欲しかった。時間が経過したあとのタクシーのオッちゃんの汗が、タクシー車内に篭って、ちょっと匂っていた。

1 件のコメント:

傑瑞 さんのコメント...

やはり、台湾が好きですね!
何年を経っても、また台湾に繰り返して来ましたよね。