アムステルダムで一番有名なレストランといったら、世界中から入店したくてウズウズしてしまう、「ハーシェ・クラース(Haesje Claes)」をあげてほかは無いだろう。開店前からずらーっと並んでいるのは、フィレンツェの「イル・ラティーニ(Il Latini)」と同じだ。そして、この店、予約無しではまず絶対入れない。予約なしで入ろうとすると、遅い時間だったらOKだよーというような返事もまず無い。おととい来やがれという雰囲気と、野良猫・野良犬を追い返すかのように、シッシッ!とされる。実は、最初、この店に入ろうとしたときに、予約なしにチャレンジしてみようかと思っていたのだが、やっぱり予約なしでは入ることはできず、同じように予約なしで入店しようとしているひとが前にいたので、それに便乗してしばらく待っていたのだが、その人たちも最終的には追い返されてしまった。
そこで次の日の夕方、その日はハーシェ・クラースで食べるつもりではなく、翌日に食べるために予約をしにいった。予約をしにいったときには、当然店の人も「予約は?」と予約の有り・無しを確認するために聞かれたが、それはおそらく店の人が「おまえらは食いたいのか?」ということを前提に聞いているのである。そこの期待に答えず「予約しに来た」と伝えると、「おぉ!そうか!名前は?」とちょっとびっくりしている模様だった。どうやら、大抵予約を入れるときに、電話で受けるようなのだが、直接店にやってきて予約をするのは少ないとのこと。だから、予約するためのメモるためのものが身近にもっていなかったようで、「ちょっと待っててくれ」と言われてしばらくポカーンと立たされることになった。後ろには、自分たちが予約のために入口のところで待たされるということを知らず、予約無しで店に入ろうとしているアジア系の兄ちゃんたちと思われていたようで、この後ろに待っていればそのうち自分たちの番が廻ってくるだろうと考えていたようだ。予約で名前と時間を伝えて、この日はバイバイ。対応してくれた店員さんは、すごい面白いひとだった。
次の日、予約していたので、予約の時間に合わせて入店。ちょうど前日の予約のときに対応してくれた人だったので、向こうも顔を覚えていてくれたから、「おぉ、待ってたよー。どうぞどうぞー」というあっさり入店。この日も予約無しで入店しようとしている人たちがたくさん待っていたのだが、何も言わずに店の中に通されたので、「こいつら一体なんなんだ?」と待っていた他のお客さんは思っていたに違いない。
さて、店内に通された内部はどうなっているかというと、店の外部から見るよりは、断然広くなっており、迷路のようにあちこち移動させられて、ようやく席に通された。店は地下階になっているので、そのために洞窟みたいに感じたのかもしれない。実は入口付近に店内案内図が掛かっていたのを見てしまったのだが、この店は地上1階、地下2階の構造になっており、全部の椅子に座ると280人が座れるらしい。結構大きい店じゃないか!
そして、内装としては、レンガの壁と木造のテーブル、そして重厚な椅子で整えられており、質素でもなく、またウイーンの宮殿みたいに派手だということでもなく、ここは本当にオランダなのだろうか?と、これまたオランダ料理=不味いという固定観念から店の雰囲気は外れているんじゃないのか?という思いがした。
さて、店の雰囲気はなかなか素晴らしく、そして喧しい客はいないし、子連れの客も着ていないし、品のない中国人も韓国人も来ていないのが良かった。だいたい欧州のレストランに韓国人がいると、もうそれだけでガッカリくる。食べる気が半減する。あのひとたちの食べ方、汚いし、煩いし、マナーがなっていないからだ。もちろん、マナーがきちんとなっている韓国人もいるのだが、そういうひとは別に気にならない。
今回このレストランで食べたのは下記の通り。実はメニュとして日本語メニュがあるので、まったくメニュには困らないと思う。ただ、黙っていると英語かオランダ語のメニュが出てくるので、「日本語メニュある?」というのは当然聞いたほうが良いだろう。そして、ハーシェ・クラースの日本語メニュは、正しい日本語のメニュなので安心して良い。中華系の国にいくと、日本語メニュでも原語と全然違うじゃないか!というような名称になっていたり、字が間違っていたりするのだろうが、ここでは違う。たぶん、ちゃんとした日本語で記載したり、訂正を指摘する人がお客さんの中にいるんだろうとおもう。
・Oud Bruin(ビール) : EUR 2.75
・Texel Bier Tap(ビール) : EUR 3.25
・Tomatensoep(トマトスープ) : EUR 5.75
・Mosterd Preisoep(西洋ねぎとうなぎのマスタードスープ) : EUR 5.75
・Hollandes Garnalenkroketjes (小エビのコロッケ): EUR 8.75
・Kippenborstfilet Portsaus(鶏胸肉のソテー、ポートワインソース) : EUR 15.95
・Kapucijners met varkensvlees(豚肉&えんどう豆) : EUR 16.95
・Flensjes(クレープ、アイスクリームとホイップクリーム) : EUR 6.75
・Creme Brulee(クリームブリュレとマカロン) : EUR 5.85
・Dubbele Espresso(ダブルエスプレッソ) : EUR 3.10
・Glas Thee(暖かい緑茶) : EUR 2.00
最初に飲み物として頼んだビールなのだが、定番のオランダの代表的なビールメーカーであるハイネケンを選んだのは良い。その中でも「Oud Bruin」という種類のビールを頼んでみた。これがびっくりするほど甘い。砂糖水を飲んでいるのか?というくらい甘い。苦味も少しあるのだが、日本のビールみたいに、「喉越し!」ばっかりが強調されて味なんかどうでもいいというようなビールではなく、ビールって一体なんだろう?というのを改めて考えさせられるようなビールだった。ビールはベルギーのクリークビールが一番良いと思っていたのだが、こういうビールも良いんだなという新たな発見ができたのが嬉しい。
前菜のスープは、トマトスープと西洋ねぎとうなぎのマスタードスープ。どちらのスープも量がめちゃくちゃ多いので、それだけでもかなりお腹一杯になってしまう。トマトスープのほうは、そのままトマトをスープにしました、他になにも入っていません!というようなのを主張をしているかのような、トマトの味のすごい濃いスープだった。トマト好きにとっては、これほど美味いと思えるものは無いだろう。決してケチャップをそのまま食べているというようなものではない。ケチャップとは違う味だ。もう1つのスープは、「西洋ねぎとうなぎのマスタードスープ」。こちらはマスタードという名前がついているから、マスタード臭い味なのかと思ったら、全然そうでもなかった。ねぎ・うなぎ・マスタードと、全く関係ない3つが混ざっているので、不思議だなーとおもっていたのだが、ちょっと食べるとわかるが、これが妙に合う。なんでこんなに合うのを今まで知らなかったのだろう?と不思議に思ったくらいだ。
メインに入る前に、前菜として小エビのコロッケを頼んでみる。コロッケはオランダから言葉を日本語に輸入されたくらいのものだし、アムステルダムのあらゆるところにコロッケのスタンドがあったとおり、代表的なオランダ料理のメニュの1つだとおもっていたので、ここは当然のごとく頼んでみる。日本のようにクリームコロッケだったり、ジャガイモだらけのコロッケとは違い、なんと表現したらいいのか、クリームとジャガイモとの中間のようなものを媒介にして、具として蝦が入っているというものだった。そんなに大きいものではないのだが、日本で考えると、値段の割には小さいなという不満が少しある。でも、こういうのはちょっとだけ食べるから味がわかるのであって、そのおかげでとても美味いものだというのはよくわかった。
続いてメイン。「鶏胸肉のソテー、ポートワインソース」は名前から想像できるような味付けだったので、とても安心。オランダ料理のはずなのに、間違ってスペイン料理の店にでも入ってしまったのではないだろうか?というくらい美味い。鶏肉は下手をするとバサバサになって、時間が経つと大抵そのバサバサ度が酷くなる。ここの料理はどういう調理法をしているのかわからないが、仲間で妙に味が染み込んでいるし、肉は柔らかいし、そして、ソースが甘くて美味い。「豚肉&えんどう豆」は豆が下敷きになっているくらいめちゃくちゃ敷き詰められていて、その上に、回鍋肉のなかに出てくる豚肉の塊と野菜が混ざっているというもの。普通ならポテトが添えものとして提供されるところを、えんどう豆になっているように思える。肉の味付けは、餡かけがない回鍋肉そのものだった。
ここまで美味いんだったらデザートも絶対美味いはずとおもってしまったので、結局ここでは最後までいくことにした。デザートと締めのコーヒーだ。まずは「クリームブリュレ」だが、世界のどこにいってもクレームブリュレをまずは注文することにしているのだが、ここのクレームブリュレに使われている卵の部分が意外にあっさりしていた。もっと濃厚のものなのかと想像していたのだが。なぜかマカロンが上にのっており、それが全くなんの意味で乗っているのか不明。全く違う味の2種類が揃うと、ここまでバラバラに主張しているものなのかとびっくりする。もう1つのデザートはアイスの組み合わせとクレープ。デザートでは定番中の定番だが、これもまた主張激しすぎ。うまいぞー。
最終的に支払いをするときには、あんだけ混んでいた店内もほとんど人がいない状態になったので、店の全体の雰囲気を写真で撮っても全く気にされることが無かったのは良い。店は24時間営業しているわけじゃないので、支払い時にはほとんどもう閉店するという時間だった。名店だからというわけじゃないのだが、雰囲気と料理で大満足したので、本当に来てよかったとおもった。
Restaurant Haesje Claes
URL : http://www.haesjeclaes.nl/
Address : Spuistraat 273-275, 1012 VR Amsterdam
Phone : 0031.20-6249998
Fax : 0031.20-6274817
E-mail: info@haesjeclaes.nl
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