2012/05/22

アヤックス優勝!(アムステルダム)

4月30日の女王の日は、オランダ中がオレンジに染まった日であり、国を挙げてお祭り担った日でもあった。そして、翌日の5月1日はそのお祭りの追痕だけが街中のあちこちに残り、わかりやすいくらい静と動の激しい違いを感じることができる両日だった。このままナチスからの解放記念日をアムステルダムは迎えるのだろうと思っていたところ、5月2日は現地アムステルダムの人にとってはまた祭りがやってきてしまった。

オランダ・サッカーリーグの最上位リーグであるエールディヴィジ(Eredivisie)の2011-2012年度のチャンピオンリーグで、アムステルダムが地元のアヤックス・アムステルダム(Amsterdamsche Football Club Ajax)が5月2日に優勝を決めたからである。

アヤックスといえば、トヨタカップにも出場したことがあり、その試合をテレビで見たことがあり印象として強く覚えているチームだった。それに、ナチスがオランダを占領したときにアヤックスのチームがどのようにナチスと戦ったのか、そして選手はどうなったのかという奇跡を書いた「アヤックスの戦争―第二次世界大戦と欧州サッカー」という本を昔読んだことがあるので、あまりサッカーは知らなくてもチーム名だけは良く知っていた。

ちょうど夕ご飯を食べて、ホテルに戻ろうとしたときに、酔っ払いらしきやつらが、デカい声を上げて歌っているのをいろいろなところから聞こえてきた。オランダ人も陽気に酔っ払うことになると、日本人と変わらないなーとそのときには思ったのだが、数人じゃなく、本当にいろいろな場所から聞こえてくるのである。そして、たまに大歓声が聞こえてくるので、いったいなにがあったんだ?という疑問がこの時にはあったのだが、ホテルに帰って、地元テレビチャンネルをつけたときに、この理由はすぐにわかった。

テレビはアムステルダムのライツェ広場(Leidseplein)からの中継と試合の行われてていたアムステルダム・アレーナの二元中継をしていた。ライツェ広場は比較的町の中心部に近いところがあるので、建物による音の反射によって、結構遠いところまで大歓声が届いていたのだろう。ライツェ広場には、アヤックスを応援するサポータたちが、渋谷のスクランブル交差点にサッカーの試合で勝ったら洪水のように集まってくるかのように、めちゃくちゃ集まっていて、もうほとんど乱交パーティのように乱稚気になっていた。そして、チームカラーである真っ赤なTシャツを着た人たちが集まって、アヤックスの応援歌を伴奏なしであちこちで歌っていたのをテレビで見た。阪神が優勝したときの騒ぎのようである。この間までオレンジ一色だったのに、今度は赤かよーと思ったのはいうまでもないのだが、なにかきっちりと型に嵌った生活を普段のオランダ人はしているので、そこからの解放なのではないか?という気もしなくはない。
そして、テレビはスタジアムのほうに移ると、いろいろな選手へのインタビューが始まる。日本のテレビ局だと、スタジオの人と現場の人が、選手に対して何かいろいろと聞きたいこと、たいていの場合はつまんないことを聞いていたりするようなインタビュー風景が見られるのだが、たまたまテレビをつけたチャンネルの場合、特にスタジオにキャスターがいるわけでもなく、現場のインタビュアが好き勝手に報道しており、時間的に区切りながら何かの制約を気にするということもなく、見つけた選手に対してインタビューしていたのは印象深い。そして、たまにライツェ広場にカメラが移り、広場で騒いでいるファンたちに今度はインタビューをしたり、騒いでいる様子をただカメラで撮りつづけるというようなことをしていたのも面白かった。
アヤックスはこのとき、VVVフェンロと2対0で下した。おそらくこの試合をアムステルダムの地元の人間はテレビに噛り付きで見ていたことだろう。観光客にとってはどうでもいいことなので、サッカーファンだったら気にしていたかもしれないが、なんでアムステルダムの人たちが騒いでいるんだろう?と実はほとんどの人たちがわからなかったんじゃないのだろうか。なにせ、16年ぶりの優勝だったのだから、その騒ぎといったら、1985年の阪神タイガースの優勝時と対して変わらない騒ぎになるのは当然なんだろうと思う。

騒ぎは深夜までずっと続いていて、次の日、仕事があるなしに関わらず、いまがよければ良いじゃないか!という余韻に熱狂的なサポーターたちは楽しんでいたのではないだろうか。赤いユニフォームの大騒ぎというと、もうほとんど浦和レッヅのサポータと同じだ。試合のあと、勝ったものならその余韻をスタジアムの外まで持ってきて、騒ぎまくるというのも同じスタンスだ。彼らの鬱憤のはけ口がサッカーのサポートというのであれば、それを削ぐということは、別の形で鬱憤解放になるので、それは政府としてもなかなか難しいところだろう。

アヤックス・アムステルダム (Ajax Amsterdam)
URL : http://www.ajax.nl


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