2013/09/26

国会議事堂(ロンドン)

通称「ビックベン」と呼ばれる建物は日本でも超有名な建物。実はこれは国会議事堂の鐘であり、国会議事堂のことをビックベンと思っている人がいるが、これは大間違い。でも、それだけ「ビックベン」という名前だけが有名になってしまって、本来の国会議事堂のことがあんまり重要視されていないというのが悲しい感じだ。しかしどこの国でも必ず国会議事堂というのが存在しており、ここイギリスの政治の中心は国会議事堂であるのはいうまでもない。
国会議事堂はその荘厳なつくりが、見た目として重厚であり、幾何学的に、そして格子状的な建物形式になっているので、テムズ川に沿って立っている姿は優美でカッコいい。それまで一番カッコいい国会議事堂は、ブダペストにある国会議事堂だと思っていたのだが、やっぱりここロンドンの国会議事堂も川沿いにあるからという印象アップの要素を持っているからかもしれないが、周りの風景にマッチして素晴らしいと感じる。国会議事堂はその国の代表とする場所であるから、ショボい建物だと見た目が良くない。日本の国会議事堂もすばらしい建物だとは思うのだが、そちらはギリシャ・ローマ文化を継承しているような感じがするし、イギリスのほうは新しく自分たちで培ったヨーロッパ文化を自分たちに相応しい形を模索して作った形式というような印象もある。それはブダペストのほうも同じ系統なので、ヨーロッパ全体で1つの形を作ったようにも思える。
国会議事堂であるため、政治家や官僚といった人たちがここには何人も行き来する。したがって、政治の中心地であるため、警備のほうはかなり厳重である。国会開催中であればあるほどその警戒はすごいもので、テロ対策も含めるとハンパないのは言うまでもない。

そういえば、イギリスの国会といえば、日本の国会のように議長や演壇を囲むように半円形式に議員が座っているというスタイルではなく、与党と野党が真ん中の演壇で分断され、双方が正面で向き合う形でいるものだ。それも誰がどこの席というのは決まっておらず、寝ているひとも議会中はない。それも不思議なことに、議員数だけの椅子が存在しているわけじゃなく、遅れて議場に入ってきた人は、あまっている場所に立っているか、または階段のところに座っているという形式なのだ。決してイギリスでは、議員は「先生」ではなく、政治を議論する専門家という位置づけであるということの証拠である。椅子がまともに用意されているのは、議長と書記、それと議会の様子を見ることができる国王(いまだと女王)だけなのである。それも、議長は昔ながらの、あのくるくるパーマ形式の重いカツラを被っているというのをいまだに止めていないというところが面白い。議員全員がやればもっと面白いのだが、普通の議員はビシッとスーツで決めているひとたちが集まっている。これも日本の「先生、先生」とチヤホヤされることを生き甲斐にしているバカ政治家とは全然違うのである。

実は内部の見学が出来る。今回も見学しようと思っていたのだが、どうやったら見学ができるのか最後までわからなかったので、結局この時には内部見学が出来なかったのが残念だ。ただし、見学は好き勝手にいけるというわけじゃなく、ツアーに参加しなければいけないということ。ロンドン渡航前に、もっと入念に入館するための条件や方法に付いて調べておけば良かったと思った。あとで分かったのだが、見学用のチケットはウェブからでも手に入れることが出来る。こちらから申し込みができるのだが、日にちと時間、そして見学説明用の言語というのを選択する形式になっている。英語とフランス語の言語説明は見つけたのだが、日本語の説明があるのかどうかは不明。そして、毎日見学できるかというと、そうでもない。やはり国会やなにかのイベントが行われているときには見学ができないので、その空いている日にちで見学会は行われるので注意である。とても人気があるイベントであるために、競争率は激しいだろうと思う。

国会議事堂の横には大きな広場があるのだが、ハプスブルグ家領土内にあるような計画的に作られた公園というのは存在しない。適当に広場を作りましたというのがわかるような公園がある。それもまたなかなか広い。なんでこう整備しないのだろうか?というところがイギリス流なのかもしれないが、そこの公園から国会議事堂の大きな大理石壁とテムズ川の景色を望むというのも面白いことだと思う。
 
 
もう1つ、この国会議事堂が絵になるなと思う場所がある。それは、国会議事堂をテムズ川に浮かぶ船から見ることだ。テムズ川にはボートクルーズに参加して、その乗った船から見るのが素晴らしい。誰にも邪魔されず、なにも建物を遮断しないようなところからの景色は、景色全体を独り占めすることが出来るという意味で是非試して欲しいと思う。

ちなみに、もう1つ情報がある。これまでビックベンと呼ばれていたあの鐘塔だが、エリザベス女王の即位60周年を記念して、「エリザベスタワー」という名前に変わった。なんであのタワーの名前を変えることにしたのか、そのイギリス人の精神構造がよくわかんない。どこかにエリザベス万歳の形跡を残そうとしていたのだろうが、だったら、バッキンガム宮殿の名前をエリザベス宮殿にしちゃえばよかったんじゃないか?

イギリス国会議事堂(Houses of Parliament)
URL : http://www.parliament.uk

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