2010/09/28

中秋節(シンガポール)

松發肉骨茶を後にして、そのままチャイナタウンのほうに歩いていくことにした。特にチャイナタウンになにか目的があったわけではない。常にごちゃごちゃしているチャイナタウンに行ったら、なにか面白いものが見つかるかなーという単純な好奇心のためである。そういえば、松發肉骨茶にいく間にクラークキーあたりで綺麗な電飾があって、なにかシンガポール全体でイベントをやっているのかなというのはわかっていたが、それがなんなのか全然わからなかった。ところが、New Bridge Road をどんどん南下して歩いていくと、その理由がわかった。そう、この時期は中秋節なのである。

日本では「中秋の名月」と言われるように、秋のイベントとしては古来から行われている。日本では、昔からススキの穂と団子状になった御餅を月にお供えすることになっているのだが、中華圏では全く違う。中華街に行くと年がら年中売られている月餅は、もともとこの中秋節を祝うために食べられる餅であり、ベトナムでもそうだったのだが、臨時的に月餅を売り始めるところがデパートを含めて多くなるのが、中秋節の1ヶ月まえからのイベントのようである。台湾あたりだったら、中秋節の際に、夜中にバーベキューをするというのを聞いたことがある。夜中に月明かりの下でバーベキューって、鉄板に乗っている具材がわかんないんじゃないのぉ?と昔聞いたことがあるが、あまり当人達は気にしていないらしい。シンガポールの華人たちは何を食べるんだろうか?あんまりこれという限定的なものはないのかもしれない。

New Bridge Road のチャイナタウンの入り口附近になってくると、道路全体にアーチが掛って、そのアーチに中秋節を祝うようなコメントと、点滅はしないが派手な電飾を観ることができる。そういえば、ここシンガポールでも電飾はしても点滅するようなことはないなー。これはなぜだろう?日本だったら、ネオンサインは、点滅は当たり前だし、横から縦から流れるような表示をすることは当然だと思われているが、香港もそうだが、点滅電飾がないのが不思議である。香港の場合は、昔、街中に空港があったため、点滅をしていると、滑走路と間違えるからという理由から点滅電飾が無いというのは聞いたことがある。シンガポールのチャンギ空港はシンガポールの東端にあるから全く関係ないと思うのに、なぜだろう?電飾としては、大通りのほうは等間隔に道路の両サイドにかかるアーチ状のものを作っているのだが、この間隔が走行車からの車窓をベースに作っているために、結構離れている。歩いていると、道がまっすぐなので、道を遠くに見ると綺麗に見えるのだが、ある一点の場所で電飾を見る分においては、単純すぎておもしろさに欠ける。しかし、それもMRTの China Town 駅に来ればそんな単純さも吹っ飛ぶものだ。People's Park Complex がある側ではない駅入口のところを見ると、両サイドの福建あたりの建物の名残とマッチして、電飾提灯やら他の飾り付けが綺麗で、見ごたえがある。仙台の七夕祭りのような派手さではないのだが、上から下に垂れ下がっているような提灯群を見ると、結構楽しい。China Town 駅で降りて、地上に上がってきた普通の地下鉄の客も、この地上に出た途端に足を止めて、持っているカメラで写真を撮り始めていた。だから、特に電飾については興味が無いような客が「邪魔だなー」という顔を露骨に出しながら歩いているのも笑えた。仏牙寺とChinatown Complexとの間にある広場は、いつもイベントが開催されているところだ。なにもないときには、暇な近所のおっさんたちが、腹を出して昼寝をしているような場所でもある。お祭り時期であるために、当然この夜の会場はイベントが行われていた。シンガポールの芸能人のことは全然わからないし、もちろん地元のアナウンサーのことについてもよくわからないのだが、大きな舞台が用意されており、その前にはたくさんのひとが暇そうに舞台を見ていた。また、舞台の袖のほうをみると、これから出演予定のひとがスタンバイしているのも見えた。当然司会の人が話をしている言葉は英語ではなく、中国語である。福建語でもなければ潮州語でもなかったので、部分的には理解できるところもあったが、ほとんどが理解不能だった。あーっ、やっぱりヒヤリングはもっと勉強したいと思う。しばらくすると、いよいよ舞台に芸を披露するひとが表れたのだが、最初に表れた男の人は、バックダンサーらしき人を数名引き連れて来ていたので、ちゃんと歌手なのかなと期待した。ポップスというわけではなく、日本の演歌に近いような音楽の前奏だったこともあるので、あぁ、おっさん・おばさん連中を相手にするような歌手なのかなと期待した。が、この期待はすぐに笑いに変わった。歌があまりにもへたくそなのである。音ははずすし、緊張しているのか、声が震えているし。これ、もしかして、素人カラオケのど自慢大会だったのか?それも予選に勝ち抜いてきたような人が、本番の今日にやってきて舞台に出ているのか?というようなものだった。最初の数秒を聴いた途端に、不快に感じたので、さっさとその場を撤退してしまった。この会場から MRT の Chinatown 駅までの道中は、細い道のすべてに屋台と出店が出ていて、まるで大晦日のアメ横状態になっていた。だから歩きづらいといったらありやしない。特に興味が有るような店は全然無かったので、よそ見もせずにさっさと駅のほうに向かって歩いた。途中、西洋人観光客がハイネケンのビール瓶を持ってテーブルで踊っているような狂った客発見を見るところもあったが、それは日本の居酒屋でも見る光景なので全然珍しくないので無視。

空港でシャワーを浴びて、ヨーロッパへ向かう飛行機に乗る前の準備があるために、MRTに乗り込んで駅に向かう。

そういえば、中華街で見かける変なお面は、ここシンガポールでは見かけなかったのだが、あれって、一体何に使うのだろうか?!

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