2010/09/28

Knight and day

テレビで最近ばんばんCM宣伝されているのが、トム・クルーズとキャメロン・ディアスの最新映画「ナイト・アンド・デイ」だ。元スパイの逃亡に素人女が巻き込まれて、スパイ顔負けのアクションと現場を一緒に潜り抜けていくというとてもわかりやすい映画である。

逃げ回るきっかけとなるのは、これまた本編の内容には強引にくっつけようとしたようなものであり、要はドタバタ芝居ができる環境であればなんでも良かったというものだ。脳みそを全く使わず、視覚的な刺激がたくさんある映画になるためには、途中の段取りや道筋については、多少強引に無視か割愛してしまうというのも常套手段だろう。キャメロン・ディアス扮する一般女性が、各所で眠らされて、気づいたら知らない場所にいるという舞台環境は、まさしく、繋がらない話を強引に繋げている手段の一つだ。1回くらいならわかるが、あまりにも多用化されると、「おいおい、またかよ」と観ているほうは白けてしまう。眠らされたり、気絶されたりする方法は、前に記載した「特攻野郎Aチーム」のコングが眠らされる場面と良く似ていると思う。

映画は、舞台を世界各地で繰り広げているので、旅行の視点から見ると楽しいかもしれない。シカゴの空港、ジャマイカ沖の無人島、スペインの牛追い祭り、ヨーロッパ・オリエンタル急行風の車両など。この中だったら、絶対体験不可能だと思われるのがオリエンタル急行への乗車だろう。こんな贅沢な電車に乗るくらいなら、ヨーロッパを3往復くらいできるくらいの金がかかる電車だからである。金が有り余ってどうしようもないような貴族な生活をしている人であれば、別に憧れや乗車は絶対無理だという思いはないだろうとおもうが、一般庶民にとっては無理だ。それより早くて安い飛行機のほうがよっぽど便利だからである。アメリカにいると思ったのに、気づいたら列車に乗せられ、オーストリアの山間部を走っている列車に乗っていることに気づいてしまったキャメロン・ディアスの表情は最高だ。でも、個人的はあの口デカ女を、スクリーンでアップでは見たくない。篠原涼子を大きな画面でアップで見るようなものだ。

むちゃくちゃなシチュエーションという意味では、映画の初めのほうで、空港から飛行機に乗るシーンがある。キャメロン・ディアスが予定していた飛行機より早い飛行機に無理やりのろうとして係員に止められ残念に思うようなところは、まぁありがちだ。問題はここから。係員からなんとか「乗っていい」と許可をもらったのはいいが、乗った飛行機の全員が暗殺者。乗客だけじゃなく、客室乗務員やパイロットまでが暗殺者という、そんなわけねーだろうという場面がある。キャメロン・ディアスだけが一般人で、トイレに入っている間に、トム・クルーズが全員を殺し、遺体は全部座席に座らせ、眠っているような状態にさせるところだ。トイレから出てきたキャメロン・ディアスは、トム・クルーズがシャンパンを持ってきて、戻ってくるのを待っていたという憎い場面なのだが、パイロットまで射殺しているので、操縦士ゼロ。飛行機は横揺れをして、それに合わせて死体も横に倒れる。それで全員が死んでいるという状態を無理やりキャメロン・ディアスが気づくというあの場面だ。多少強引といえば強引だが、これからトム・クルーズと一緒になって追われるという話しにするためには、こういう手段しかなかったのだろうとは思う。

映画を観終わったあとは、確かに爽快感があった。が、あとから、「どんな内容だっけ?」と思い出してみると、これがまた全然思い出せない。ストーリーがめちゃくちゃだから、筋道立てて、話を咀嚼しようにもできないのである。007シリーズでも同じ思いをするのだが、まだ007シリーズのほうが話として良くできていると思う。人気俳優と女優が、痛快アクションをした映画だと思えばそれでいいではないか。アメリカ本国では、全然評価が悪く、クソ映画の1つになっているのも理由がわかる。それを日本の配給会社が、大々的に各種番組とタイアップをしていかにも面白そうな映画として宣伝しているのだが、公開前に観てしまったから言えるのだが、クソ映画ほどめちゃくちゃな宣伝をするということだ。いい映画なら宣伝しなくても入場者数は稼げるからである。

一瞬だけでも爽快な気分を味わいたいのであれば、この映画を観るのは良いだろう。

ナイト・アンド・デイ (Knight and Day)
上映時間 : 109分
公式URL : http://movies.foxjapan.com/knightandday/

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