2013/05/11

国立古美術館(リスボン)

国立古美術館(Museu Nacional de Arte Antiga)はベレン地区に行く途中で、大きな通り沿いにあるし、市電15番が通っているので、それに乗っていけば問題なくいくことができる。しかし、問題はある。なにしろ市電15番に乗っていく人は、ほとんどがジェロニモス修道院にいく人たちばかりであり、途中にある国立古美術館に行く人はほとんど居ないため、一体どこで市電を降りたら良いのか分からないというひとは多いかもしれない。事実、自分たちもジェロニモス修道院からカイス・ド・ソドレ駅方面の電車に乗り、降りる駅であるCais Rocha駅が、何駅先の駅なのかも分かっていたのに、誰も他に乗り降りする人がいない市電の駅がいくつか通過してしまったため、あと何駅かという数を間違えて、1つ乗り過ごしてしまった経緯がある。1つ分の駅を歩いて戻るときの悲しさといったら、深夜の最終電車で寝てしまって、1つ乗り過ごした気分と同じだ。そして、乗り過ごした場合、もう1つ悲惨なことがある。市電の走っている場所と国立古美術館が建っている場所は、広い道路を挟んで真逆のところにあるため、どうしてもどこかで反対側の歩道に移動しなければならない。ところが、中途半端なところでは反対の歩道にいくことができないようになっており、信号さえもない。なにしろ、市電駅が無い場所では、市電がわのほうは、ほとんどテージョ川に面しているところなので、その川沿いにはなにもなく、市電のほか国鉄の線路があるだけなので、道路を渡る人が絶対居ないのである。だから、それを知らないので「どこでこれは道路を渡れるんだろう?」と気になって仕方なかったし、もしかしたら全く信号が途中にないのでは?とおもったから、猛スピードで走り去っていく車の流れが止まったところを掻い潜って向こう側の歩道に行くしか無いと思ったのである。まさしく、飛んでくる矢の間を走り抜けていくような感覚だった。だが、Cais Rocha駅にはちゃんと国立古美術館にいくひとようのために信号が用意されているため、まともにCais Rocha駅で降りれば、問題なく対岸の歩道に行けたのである。
美術館は道路に面しているとはいえ、実際にある美術館は高台の上にある。高台自体が道路に面しているのだが、市電駅からみると、道路の向こうの高台が、豪華な金持ちの家の高い塀のように見えてしまう。実際には歩道から大理石で出来ている階段が用意されているので、それを上っていけばすぐに美術館には到達することが可能だ。しかし、写真でも紹介されている建物の入口と思われるのが、建物の目の前が公園になっているところかとおもって入ってみると「ここは入口じゃないのよー。あっちに廻って?」と係員に言われた。どうやら公園前の入口らしきところは出口だったのである。

館内は非常に広くて、全部をひと通り廻りだけでも、有に3時間は必要なくらいである。なにしろ、展示している数も多いのだが、展示している部屋の数が半端なく多いのである。それもどれもこれもまともに説明書きが書かれているわけでもなく、そしてポルトガルのどこの博物館や美術館でもそうなのだが、展示物に関する図鑑になるようなものが全く売られていないので、重くてもそれを参考書にして展示物を見て廻るということをしても良いとおもうのにそれができないでいる。そして、ポルトガル人だったらきっと「そんなものは普通」と思われるものも日本人にとってはなにそれ?というものもかなりたくさんある。それの説明がないというのは、美術館があの怠慢というか、そんなもん常識でしょう?という傲慢な態度なのかよくわからないが、とにかく展示物の割にはほとんど説明がないため、食傷になるというより、わけのわからない国に勝手に放り込まれて、訳の分からない言葉の洪水を一気に受けて、頭を抱えてしまうのと同じ状態に陥ってしまった。
 
 
 
 
とはいっても、中に展示されているのは、絵画・彫刻から始まり、ポルトガルが東洋との貿易で入手してきた陶器・漆器・宝石などのようなものまで、幅広く展示されている。なかでも1つの特別展示室になっているのが、日本の狩野内膳作品の南蛮屏風まで置かれているのはびっくりだ。ポルトガルはキリスト教の布教禁止により日本から追い出される前までは、織田信長の庇護の下、かなり日本からたくさんの品物をポルトガルにもたらしたと思う。それをまとめて展示しているということは、日本とポルトガルの間の文化交流を知る一環ではある。

残念ながら併設されている礼拝堂は、このときに改装中のために入ることができなかった。なかはどうやら金泥細工とアズレージョの見事な壁と天井の礼拝堂だったようである。
あまりにも多くの展示物のために途中でイヤになってしまっても、結構たくさんのところに座るところがあるから、そこで休憩しているのがいいだろう。ただし、中にはカフェが無いので飲み物を持ち込むしかないのだが、さすがに展示物の目の前で水を飲むのは、どこかの馬鹿が作品に水をかけてしまう可能性があるので、それを係員が見逃さないだろうと思う。

国立古美術館 (Museu Nacional de Arte Antiga)
URL : http://www.museudearteantiga.pt/
Open : 10:00 - 18:00 (Wed - Sun)
       14:00 - 18:00 (Tue)
Holiday : Monday
Admission Fare : EUR5.00

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