2013/05/11

旧大学(コインブラ)

コインブラに来たのであれば、絶対訪れたいのはコインブラ大学。実質は旧大学(Velha Universidade)と呼ばれるところがメインで見所がたくさんある。大学自体は1290年にポルトガル王ディニス1世によって設立された。神聖ローマ帝国の時代にローマ教皇からストゥディウム・ゲネラーレ (Studium generale) の称号を与えられた9大学のうちの1つ。歴史もあるし、講義の奥深さは他のストゥディウム・ゲネラーレに認定されている大学と同じくらい高度なものが教えられている。

見学できるところは決まっていて、旧大学の部分のラテン回廊(Via Latina)と呼ばれるところ、ジョアニア図書館(Biblioteca Joania)、そして礼拝堂(Capela)である。もちろん、これらが同じ敷地内にあるため、屋外に存在する時計台は当然見ることができる。チケットは共通券になっており、1人9ユーロ。チケットは鉄の門(Porta Ferrea)と呼ばれる見学建物の敷地入口を背中にすると、右側にある総合図書館の1階に売り場が存在する。一見すると全くどこに売り場があるのかわからんという感じなのだが、係員のほうが丁寧に教えてくれるので、困ったちゃん顔をしていればきっと声をかけてくれるだろう。
 
ジョアニア図書館だけは時間指定制で入館することになっており、切符を買うと、その切符に時間がおばさんによる手書きで記載される。時間がかかれた回に参加しなかった場合には、入館ができなくなるから注意である。だいたい5分前くらいに図書館前に集合していればいい。図書館はその指定時間以外は扉が開かないようになっている。中にいる係員がドアを開けてくれるまでひたすら待つことになるのだが、時間は書かれていても、結構いい加減なところがあるポルトガル人なので、1時と書かれていたなら1時ぴったりにドアが開くかというとそうでもない。イライラしてはいけない。ここはポルトガルだ。その他の建物については、好きな時間に好き勝手なルートで廻っていいことになっている。

ただし、ほぼすべての建物は内部での写真撮影は禁止。これは厳格に守らないといけない。図書館もそうだし、礼拝堂のところでも最初に注意事項として係員から「写真は禁止。フラッシュ炊かなければ良いっていう問題ではない」ということらしい。だったら、コインブラ大学の記念になるようなお土産売り場があって、そこに内部の公開写真集みたいなのを売ったら良いのに、そういうのも無いから、ポルトガル人の商売っ気のなさにはビックリする。ところが、こういう注意をするのだが、自分も含めて写真の隠し撮りをする人は結構いるようで、フラッシュを焚いたり、いかにも写真を撮っていますというようなポーズをしなければ結構わからないとおもうし、係員も注意が散漫になっているので厳重で無い感じだ。ただ、こっそりと写真を撮るという行為に「申し訳ない」という気持ちは必要である。
それにしても、図書館の内部は蔵書30万冊がずらーっとならび、豪華な金泥細工による内部装飾と調度品が目に入るので、思わず「うわぁー」と溜息が出るのは当然だろう。天井から全面の壁まですべてが藝術の集合体になっており、そこの真ん中に立たされると、自分の無知さと汚さがいかにこの図書館の中で異様なものかというのがわかってくるから不思議だ。図書館は、主にラテン語の本がずらっと並んでいる。しかし、中にはイタリア語、フランス語、英語、ポルトガル語の本もあるのだが、大学自体がラテン語を公用語とするしきたりになっているので、多くの書物がラテン語で記載されている。地下のほうにもいくところがあるのだが、そちらに行くと、各国語で記載された書物も多少観ることができる。びっくりなのはなぜかドイツ語で記載された書物が少ないこと。神聖ローマ帝国の時代に記載されたのであれば、なんとなくドイツ語圏のほうが中心になると思ったのだが、やっぱり学術分野はラテン系統が中心になって発達していたものであり、政治はアングロサクソン、哲学・藝術・文学・思想というのはラテンという棲み分けだったのだろうとおもう。だから、大学としてもドイツ語圏にストゥディウム・ゲネラーレがないのは納得できる。
 
 
図書館のビックリするところはまだある。なんとこの建物には牢屋が存在する。地下の一番深いところに行くと、かつて牢屋として使われていた窓の無い部屋と鉄格子で囲われている部屋が存在する。ここの牢屋は大学とどういう関係があったのだろうか?なんの説明も実は無いので気になっているところだ。ただ、あまりこんな陰部なところまで行く観光客は居ないようなので、他の外国人観光客も来ることは無いようだ。

礼拝堂は普段は閉まっている。ところが、ここは外からドアを叩けば、中から開けてくれるいう方式になっていて、図書館のように指定時間に入館できるという仕組みではない。こちらも撮影禁止であり、団体として入館しないから、隠し撮りをするのは非常に難しいところだ。だが、礼拝堂の祭壇部分に行こうするときに、シャッタースピードを速めて密かに激写するという方法でやれば、係員にばれることは無いと思う。実際にやってみた。ここの礼拝堂は、内部はそれほど大きいわけじゃないのだが、それでも街中にある礼拝堂に引けをとらないくらい立派なものになっている。天井から前方祭壇のところにかけては、比較的細かい装飾画で被われており、ところどころ金の布をモチーフとしたつくりになっているのが面白い。意外にも内部は明るくなっているため、礼拝堂にありがちな重々しさは全く感じない。ローマ教皇からストゥディウム・ゲネラーレの称号を貰うということは、宗教的儀式の活動も遠隔地で実施しろという命令でもあるわけなので、このような建物が大学内に存在しているのだろうと思うし、いまでも日曜日には礼拝が行われているようだ。
 
 時計台と並んでラテン回廊がある建物に入っていく。ここでは、ラテン語を話すことが義務付けられていて、それ以外の言葉はどこの出身の学生であろうとも多言語は禁止だったようである。回廊からは1階から吹き抜けになっている「帽子の間(Sala dos Capelos)」というのを是非みていただきたい。床と壁が真紅色になっており、天井はモザイク系になっている板を張り合わせたようなつくりになっている。そして、側面には歴代のポルトガル国王の肖像画がかかっているので、ポルトガル王の勉強をするには一番いいだろう。ただし、この広間には直接入ることが出来ない。あくまでも回廊の部分から覗き込むだけである。こちらも基本的には写真撮影が禁止なのだが、ほとんど係員が居ないので、他人に混ざって写真を撮ってもばれないだろう。この広間は、学位授与のような重要な儀式のときに使われる大学の中でも特別な場所であることは間違いない。
 
 
 
構内には卒業生なのかどうかわかんないのだが、館内をボランティアで案内してくれるという人が、黒いマントを着て炎天下のなかに立っているのが見受けられた。おそらく細かい説明をしてくれるんだとおもうのだが、個人的には頼んでみることがなかった。

コインブラ旧大学(Velha Universidade)
URL : http://www.uc.pt"
Open : 9:00 - 17:30/19:30
Admission Fare : EUR9.00

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