ジェロニモス修道院から更に西方向にいくと、中世の古城が昔建っていたのに、戦争かなにかで一部だけ残って破壊されたのかな?というようなところが見えてくる。実はこれがベレンの塔(Torre de Belem)というところだ。
元々はテージョ河の河口に位置するために、元々は川を航行する船の監視や灯台のために作られたものであったが、ベレンは港として発達していくと、港としての機能がなってきて、そのため通関手続きを行う税関の役割をし始めてきた。なにしろ、ベレンは、あのヴァスコ・ダ・ガマが出航した港なのである。
新大陸やアフリカ、そしてアジアの各国から帰還してくる船があった場合には、この場所で王がわざわざ出迎えて、旅の苦労話や当地の様子を聞いたという。なにしろ大航海時代の場合、こういう船乗りたちが持ってくる情報が一番最新情報であり、国家戦略的には重要なものであるからだ。航海は開拓の意味もあったわけで、商人に新開拓地での交易独占権を与えるのと同時に、利益の一部と情報を国王に還元させることで、どこに金のなる木が転がっているのかというのを国王が一手に集中するようにしていたわけである。それで世界各地に商人を飛ばすことで、商人同士が喧嘩をすることなく国家に利益をもたらすことができ、時には国が軍隊を派遣して商人を保護するようにしたわけだ。商人国家ポルトガルであったゆえんである。
国王がわざわざ長旅から帰ってきた商人や船乗りたちから話をきくためには、塔に謁見の間を設けてそこで話を聞いたようだが、いまは単なる空間としてしか残っておらず、実際には装飾が残っているかというと別に何も無い。
このベレンの塔も日曜になれば、14時までは無料で入ることができるので、日曜日にここに来る場合には結構待たされる。普通にここを訪問すると5ユーロかかるのだが、その5ユーロをケチるために無料で入ろうとする観光客がかなりたくさんいる。だからできれば普通の日にきたほうがいいと思うのだが、無料のときに来ると何がイヤかというと、建物に入るときに長時間の待ちがあるということもあるのだが、イヤなのはその先で、塔の上の方にあがる階段がとても狭くて、人が1人通れるくらいのスペースしかないことだ。そこを上から降りてくる人と、下から上がってくるひとが交差するわけなのだから、全く進まないのは当然だろう。みんながみんな痩せていて、階段の上り下りには何の問題もないと言うのであれば、もっとスムーズに行くことになるのだが、爺や婆はいるし、デブはいるしで、全く進まない。どうして昔の建物はこうも狭いところばっかりが多いのだろう?と不思議になるのだが、昔の人は後世の人がこんなに人が来るということは想定していないからだろうな。
一度、中間エリアのテラスがあり、そこから周りの風景を見ることもできるのは良いと思うが、やっぱり一番トップの位置まで時間はかかったとしても揚がるべきだと思う。塔の一番上はそんなに広いスペースではないのだが、それでも遠くにある4月25日橋や川向こうのクリスト・レイ(Cristo Rei)も見ることが出来る。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロにあるクリスト・レイはとても有名なのだが、実はリスボンにもそれと同じものがある。
ベレンの塔(Torre de Belem)
URL : http://www.torrebelem.pt/en/
入場料:5ユーロ
営業時間:10:00 - 18:30 (5月から9月)
10:00 - 17:30(10月から4月)
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