2013/05/08

リスボンの地下鉄

リスボンの地下鉄は、リスボン市内のだいたい必要な場所には行けるように路線が作られている。そして、いまだにまだまだ路線は拡張工事をしているようで、将来はどこまで延びるのかが楽しみではある。特に郊外のほうに行く場合にはこれからは便利になるだろう。

現在は4路線が営業中で、それぞれが色の名前になっているので、全く路線のことがわからなくても、地図をみて乗る路線の色が分かっていれば、乗り換えのときにその色のことを案内板に書いていれば、そちらのほうに行けば良いから便利だ。路線の色は、赤線(Linha Vermelha)、青線(Linha Azul)、黄色線(Linha Amarela)、緑線(Linha Verde)である。そして色のほかに路線のマークがあって、それは赤線=羅針盤、青線=かもめ、黄色線=花、緑線=帆船になっていて、いかにも海洋国家ポルトガルの首都だなという感じがした。

地下鉄の駅は実はどこの駅も自動改札になっているので、ほとんど駅員らしいのは見当たらない。大きな駅の場合には駅員が居るのだが、それ以外は無人。といっても、人が全く居ないというわけじゃなく、駅員の変わりに警官がいるという仕組みであり、これは自動開札を無理やり無賃乗車しようとする乗客を捕まえるために見張りとして立っているみたいに思える。自動改札といっても、日本の改札みたいに、そんなもの簡単に飛び越えられるだろうというような生易しいものじゃない。なにしろ、高さの高い透明ガラスみたいなのが通りを防ぐように立っているため、これを乗り越えるのはよほどのバカじゃないとやらないというわけだ。日本のような「性善説」で作られている仕組みではなく、利用者は基本的に悪いことをするという性悪説で作られているところが素晴らしい。だから、そんな改札口を無理やり取りぬけようとするのは、扉をぶち壊していくか、扉のさらに上を越えて行こうとするめちゃくちゃな奴しかいないため、職員ではなく警察官のようなひとが対応するということになっているみたいである。合理的な考えだ。

自動改札しかないということは、すべて乗客はこの改札口を通り抜けるためのなんらかの切符を所持していなければならない。そして、地下鉄の改札口はすべて非接触型のいわゆるSUICAやPASMOのようなタイプを対応するようになっている。いまはこの方式が主流だ。切符も非接触型になっており、1日券だろうが、1回券だろうが、すべて同じ形式。SUICAのようなプラスティックではなく、折ってしまえばすぐにでも折れてしまいそうなくらいの紙の非接触型タイプである。しかし、ここに乗車記録がすべて記録されているというから不思議だ。そして、非接触型の切符を改札口の上のほうにさっとかざすと扉が開くのだが、これが共連れ防止が非常によく出来ていて、すぐに扉が閉まるようになっている。

そういう切符はすべて自動販売機で買うことができる。自動販売機を使って切符を買うということを苦手とするようなヨーロッパ人にとっては、すべての駅に駅員がおらず、でも切符を買わないといけないという義務感からは、頑張って自動販売機で買うことはするらしい。ここで買えるのはViva Viagemというカード。これがSUICAの役割をするものである。1回券の役割もするし、プリペイドカードの役割もするし、1日券の代わりもする。これについては別に記載したいと思う。

一番ビックリしたのは駅のプラットフォームだろうと思う。駅のプラットフォームは同一アイランドに対向の路線が入るという形式ではなく、必ず片方向1つのプラットフォームになっている。それは普通なのだが、そのプラットフォームの壁はすべての駅で全く異なるデザインが施されており、だいたいの駅にはポルトガルのタイル細工であるアズレージョがあるのが素晴らしい。日本の駅みたいに宣伝優先で、つくりはすべて社会主義的な簡素でつまらないようなつくりになっているわけじゃないところに、ポルトガルとしてどこに力が入れているのかがわかるようなきがしてきた。見事に各駅ごとにアズレージョで表現しているのだが、それがその駅に関係するものなのかは、まだあまりリスボンのことについて正直詳細を知らないために調べていない。このアズレージョをみるためだけに、すべての駅に降りてみたいと思ったのだが、そんな暇はないので却下した。
 

路線と路線の乗り換えは、どこの都市の地下鉄もそうなのだが、ちょっと歩かないといけないのは面倒くさい。だが、乗り換えコンコースがあるところは、単なる通り道というわけじゃなく、途中に売店があったりするために、やっぱり駅ナカは楽しいと思う。JR東日本の駅ナカに関する技術はもっと海外の鉄道路線に輸出してもいいんじゃないのだろうか?あのJR東日本の取り組みはとても素晴らしいと思う。駅がデパートのようになることを。

特によく使っていた路線乗り換えは、自分たちのホテルが黄色線沿線にあったこともあり、青線との乗り換えのためにポンバル伯爵広場駅(Marquês de Pombal)は本当によく使った。そのほかに良く使ったのは、青線のレスタウラドーレス駅(Restauradores)であるが、こちらは国鉄(CP: Caminhos de Ferro Portugueses)のロシオ駅(Estação Ferroviária do Rossio)とも地下で繋がっているために乗り換えしやすい。特に国鉄駅とはいくつかの駅で接することができるので、国鉄に乗り換えて遠いところに行く場合には地下鉄と連携して移動するのが一番便利だろう。

リスボンの地下鉄には時刻表は存在しない。これは日本以外の多くの路線には採用されている方式であり、路線の表示のところに「次の電車が車で、あと○○分△△秒」というカウントダウン形式になっている。だから、イライラすることはこのカウントダウンの表示を見ればいくらかは解消できることだろう。
それと2点の点で地下鉄については表記しておかないといけないことがある。

1つ目は、日本の地下鉄と同じように駅には必ずトイレが存在するという考えは棄てることだ。リスボンの地下鉄には、すべての駅においてトイレが存在しない。だから、腸弱人にとってはかなり辛いところだろう。じゃ、代わりに地下鉄の電車の中にあるのかというと、そんなものは当然存在しない。だから、電車に乗るときにはかならず乗る前にトイレの処理だけはしておく必要がある。

2つ目は、地下鉄の車輌に関すること。日中帯と夜間帯で走る1列の車輌について編成数が変わってくるのだ。だから、昼間には8両編成だと思っていたとしても、夜になったら4両くらいに少なくなっているので、電車がホームに入ってきたと思っても、乗る予定の位置には全く電車が止まらず、ずいぶん前まで電車のスピードにあわせて追いかけていく必要がある場面に遭遇することだろう。

そのほか、車輌はとても綺麗で、2両ごとに連結して行き来ができる。リスボンの地下鉄は噂では危ないとか言われているが、そんなことは全く無い。一般のリスボンの人たちも有益な足としてこの地下鉄を使っているんだから、危ないことは無い。ただ、結構どの時間も混んでいるため、スリだけは気をつけたほうが良い。駅のアナウンスも、他のヨーロッパの地下鉄ではまず聞かれないが「乗り降りの際の手荷物に付いては十分に気をつけてください」というアナウンスをポルトガル語と英語の2種類で定期的にされる。
 

リスボンの地下鉄 (Metropolitano de Lisboa)
URL : http://www.metrolisboa.pt/

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