サント・アントニオ教会の、ちょうど背面側に、巨大なロマネスク様式で重厚な建物がたっているのが、このリスボンにある大聖堂(カテドラル:Se)だ。カテドラルと坂道と路面電車という組み合わせが一番似合う場所が、このカテドラル前の道である。坂道を駆け上る、または駆け下りるような形で運行している、決して新しいわけじゃない路面電車が、曲がった坂道を走っている光景は、リスボンの特徴をそのまま表したような風景だ。
いまの大聖堂がある場所は、それまでポルトガルを含めたイベリア半島を治めていたムーア人が建てたモスクがあったのだが、レコンキスタによるポルトガル領土内からイスラム勢力を追い出したことにより、いよいよキリスト教徒の土地にするというときに、このリスボンの司教になったイングランド人によって教会として建てられたのが最初。それが1147年のことだった。かなり古い教会だということになる。
その後、改築・増築ということで大聖堂化したあと、リスボンの至る所で被害をあたえたリスボン大地震が起こってしまう。ポルトガル王の庇護のもとに拡大したこの大聖堂も結局無残にも廃墟のようになってしまうくらい崩壊した。ポルトガルは、大航海時代後の没落振りは誰の目にもあきらかっだったので、町の復興にあわせてこの大聖堂も再建すればよかったのに、20世紀前半まで全く壊れたままだったということが情け無い。したがって、いま見えている大聖堂は20世紀のものである。が、それまでの様式は継承したもののようである。どおりで内部に入ると、大聖堂の古さを全く感じないと思うはずだ。
大聖堂正面は、いわゆる「バラ窓」というものが大きく模様として壁に埋めこめられている。ステンドグラスが持て囃される前の時代には、外の世界と教会内の世界の境は、この窓を境にして遮断することにし、その装飾を窓枠で実現したということなのだろう。ステンドグラスが出現したことで、簡単に窓に対して装飾ができるようになったので、あまり窓枠というものに注目をしなくなったのだと思う。
内部の様子は上から見ると、ちょうど十字型になっているので、正面から入ると奥の祭壇が遠くに感じてしまうのだが、それは中央部が横長になっているために、視覚的なマジックで祭壇が身近に感じられないのだろう。
壁には祭壇に負けないくらいの絵画とアズレージョがあるので、それを眺めているだけでも、金かけているなーとおもうし、なかなかデザイン的にも素朴ではないのだが、かといってイタリアみたいに派手ではないところも素晴らしい。カテドラルは各種教会の中でも落ち着くことができるところだとおもう。
リスボン大聖堂(Sé de Lisboa)
URL : http://www.igespar.pt/en/
Open : 9:00 - 19:00
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