青果市場がある場所は、付近も含めて、実はたくさんレストランがある。たぶんトカルチチェヴァ通りに近いからということもあるのだろうが、ちょうどザグレブの胃袋と言われる屋外市場とレストラン街に挟まれたところだから、それに派生してできたレストランや、ちょっと食べるところなんていうのが結構たくさんできたんじゃないのだろうかと想像している。
青果市場に面したところで、いつ行ってもたくさんの人がいるので、どのタイミングで入店すればいいのかちっともわからない。もちろん、店の前にいても誰も席に案内してくれる人はいるわけがない。自分で席の確保をして、店のひとにアピールするしかないのである。そんな地元のおっさんばっかりが集まってくるような店にちょっとチャレンジしてみようと思って入ってみたのが、ロンリープラネットに記載されていた店「Bistro Amfora」である。
しかし、本当にぽかーんとしていても誰も相手にしてくれないので、立っていれば、誰か対応してくれるだろうなんていう期待をしていたら、「邪魔だなー、このトーテンポールは」と地元のおっさんたちや店を切り盛りしているおばさんたちに怒られるだけだと思う。でも、そんな無愛想なところに旅行者が行くということは、実は地元の人からもかなり一目置かれる存在として扱われるのを後で知る。
オープンテラスと言えるほどでもないが、店の前にも実は椅子は用意されていたので、底でもいいかなと思ったが、店の前は人ごみが激しい青果市場である。だから、そんな埃だらけのところでご飯を食べるのは絶対嫌だ。だから、どうしても店内で食べたいと思ったので、強引に店内に入ってみた。ところが、店の1階は立ち食いをするひとと、持ち帰りをするひとのための場所であって、そこには椅子というものは全くない。地元のおっさんたちが談笑しながら立ち食いおよび飲みが始っているのである。さて、どこで食べるのかなと探してみると、店のおねえちゃんが「上よ、上」と親指を立ててそちらにいくように促す。階段といっても、すごい狭い階段でそこを上って行くと、実は意外に広いスペースが広がっており、テーブルも椅子もちゃんと用意されている。が、空いているスペースは自分で探して勝手に座れという形式である。
たまたま、6人がけのテーブルのところにおっさんが一人で座っていたので、合い席いいですか?と言おうとしたのだが、全くこのおっさんはクロアチア語しか解さない人だったので、何を言っているのか会話にならなかった。が、おっさんは、風貌が想像するこじきみたいな格好をしている割には、ここの常連ぽい人のようで、店の人とも仲良くしているし、店に来ているほかの常連たちとも顔なじみのような態度をしていたし、なんといっても、騒ぐことも無く、体臭が臭いというわけでもなく、淡々と食事をしているひとだったというのがとても印象的だった。こちらともコンタクトを撮ろうとして「tourist?」とだけ聞いてきた。もちろんそうなので「yes」と答えたが、そこでクロアチア語で「Da」と答えておけばよかっただろうか?とっさに聞かれたので答えられなかった自分が悔しい。でも、おっさんがこちらが「yes」と言ったあとに、ニコニコして受け入れてくれたことだけは確かに感じることができた。なんとなくこのニコニコする意味がわかるぞ、おやじ。
さて、このガストロミーで御飯を食べた料理は下記の通りである。
・鰯のフライ(Srdela) : 26HRK
・イカリング(Lignje Przene) : 38HRK
・Kruh (pan) : 1HRK ×4
・白のハウスワイン(Bijelo vino) 200ml : 12 HRK
・ミネラルウォーター(Negazirana voda) : 6HRK
鰯のフライは、ここでは定番中の定番の料理であり、3枚に卸した鰯を数枚皿に乗ったもので、それに黒パンが乗せられた、ちょっとした定食といった感じだった。間に挟んで食べるのも良し、そのまま食べるのもよしで、食べる人が勝手に皿のなかの品物を使って喰えといわんばかりのことである。イカリングも同じようにここでは定番の料理であるのだが、こちらのほうがいかにもフライという感じがするものだった。
どちらもパンが勝手についてきているのだが、それにも増して追加で勝手にパンが事前に用意されていたし、それがあとで加算されていたことだけは納得行かない。だいたいこの店のシステムを全くわかっていなかったから、入った自分たちが悪いと言うこともあるだろう。
ちなみに、注文は下からおばさんがやってきて取ってくれる。しかし、どうみても細いところを注文をとったり、料理を運んだり、皿をさげたりと、かなり重労働で上り下りが激しい。1日ここで働いていたらきっと足腰が痛くなって、次の日には歩けなくなるんじゃないだろうか?と思われる。しかし、おばさん、がんばった。偉いぞ、すごいぞ。料金は料理と一緒にレシートを持ってくるので、そのレシートと一緒に1階のレジで支払う仕組みになっている。他のレストランみたいに、呼べばテーブルで支払いをしてくれるというような立派なシステムになっていない。だから、料金にはチップ代やサービス料というのは含まれていないのである。そして払う必要も無い。
こういう地元の人たちしかこないような立ち飲み屋みたいなところでご飯を食べるというのもたまにはいいだろう。面白いし、安いし。でも、個人的には疲れるので、もういいや。
Bistro Amfora (ザグレブ)
Address : Dolac 2, 10000 Zagreb
Phone : (01) 4816455
Email : amfora@zg.t-com.hr
0 件のコメント:
コメントを投稿