2011/05/21

ザグレブの日本大使館

ザグレブの日本大使館は、スマロスマエル美術館があるストロスマエル広場の東隣にある。普通のときに大使館に行っても、なんの変哲も無い石造りの建物としてか思えないのだが、この日本大使館を舞台に、実は3月中旬に事件が起こっているのを知っている人は要るだろうか?
2011年の3月11日は日本国民としては忘れることができない、東北太平洋側大震災のあったときであり、その被害規模の大きさはとてつもないものであったことと、衝撃的な津波の映像は世界各地で報道されることになったために、世界中で Save Japan のプロジェクトが立ち上がって、日本に対して義援金を募るような運動がかなり世界で盛り上がっていた。

そのとき、クロアチアの政治情勢はどうなっていたかというと、政治不安定状態になっており、クロアチアの若者がザグレブに集合して政権交代要求のために大規模デモを行っていたときである。時に3月12日。18時から3時間かけて街中をデモ隊は、横断幕を広げて、太鼓を叩きながら、シュプレッヒコールをあげていた。こういうのはたまに日本でもみかけるのだが、よくあるデモ行進であるといえよう。しかし、日の丸が掲げられた日本大使館に差し掛かったところでデモ隊が停止。後続の人たちから「なぜ止るんだ!」という罵声が出てきたのだが、それもすぐに情況を把握する。デモ隊は被災者に向けて大使館前でろうそくを灯し、被災者に対して黙祷を捧げることになる。

これはとても感動的な出来事なのだが、ほとんど日本のメディアでは取り上げられなかった。アメリカばかりしか見ていない日本では、ヨーロッパの出来事なんか全く無視して報道しているからである。ネットでこの情報を見たときには、クロアチアのひとたちの政治運動よりも人道的な運動のほうを優先した心意気に対してかなり感謝の気持ちが出てきたのは言うまでも無い。クロアチアの人たちにとっては、日本大使館しか日本と接することができるものがないために、日本の象徴としてこの大使館が使われたのは言うまでも無いだろう。

デモの様子については、Youtubeでも残っているので、そちらのほうをご覧になられるといいかもしれない。

クロアチアの新聞記事はこちら
上記のサイトに日本大使館でろうそくを灯している様子も見ることが可能。

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