2011/05/15

ユダヤ教博物館(ドブロブニク)

ドブロブニクにもユダヤ人は住んでいたが、彼らは最初からこのドブロブニクに住んでいたわけじゃなく、セファルディムと呼ばれていたスペイン半島に住んでいたユダヤ人である。スペイン半島におけるイスラムの追放と同時に、流れ着いてドブロブニクにやってきたひとたちの末裔なのである。どこに行っても邪魔者扱いされていたユダヤ人は、ここでもやっぱり邪魔者扱いである。そりゃそうだ。聖ヴラホで守られている街に、異教徒のユダヤ人が入り込んでいるということは、異物が街の中に汚点として存在しているのと同じだからであり、もしかしたら、この内部に入り込んだ異物が町全体を内部から破壊してしまうのではないかと思われたからである。結局、ユダヤ人はどこに行っても邪魔なので、ゲットーを作って特定の地域から出られないようにしたものである。その中にできたのが、ユダヤ教博物館(Zidovski Muzej)であり、いまでもユダヤ教の信者たちが、礼拝として使われるシナゴーグもここには存在する。

ユダヤ教博物館という立派な名前は付いているのだが、表通りに立派な門構えをしているわけじゃなく、どこが入口なのか本当にわかりにくい。それもプラツェ通りに対して山側に垂直に交わる細道の、それも階段状になっている途中に、これは普通の家の入口なのではないか?というようなところに入口がある。それも入口はあまり目立つような看板が立っているわけじゃなく、ひっそりと建っていた。

入口のところには、頭にユダヤ教徒特有の、ちょこんと乗っけただけのような帽子を被った人が座っており、その人に入場料20HRK/人を渡す。中に入ったら好きなだけ自由に見て廻ればいいのだが、残念ながら館内は全面写真撮影禁止。いたるところに監視カメラが備え付けており、写真撮影をしていると怒られそうになるのだが、実際に監視員が1人しかいないので、その人が忙しそうに来客の相手をしているときには、隙をついて写真を撮ることができる。

入口があるのがすでに2階なのだが、入口左が博物館になっている。この博物館にはここに住み着いたユダヤ人が代々儀式として使っていた道具やトーラーの巻物などが、ラテン文字ではなく、ヘブライ文字で書かれているのが展示されている。ヘブライ文字は、ユダヤ人の中だけでずっと密かに伝わっており、結局イスラエル建国時までは正式に陽の目をみることは無かった。が、ユダヤの絆は強かったらしく、廃れずに今日まで続いていることになる。3階にはシナゴーグがあり、そこは狭いながらもちゃんとしたものになっている。あまり数多くのユダヤ人が住んでいるわけじゃないんだろうと思うが、やっぱりユダヤ教のシナゴーグに入るとなんだか不思議な気持ちになる。驚いたのは、この建物に入ると、いたるところがヘブライ文字になっている。ラテン文字は、展示物の説明用資料のみ。それ以外は電気のスイッチの説明も含めて全部ヘブライ語だ。おもしろいなー。でも、ヘブライ文字を見ると、テレビドラマ「V (Visitor)」を思い出してしまう。ユダヤ教博物館 (Zidovski Muzej)
Open : 10:00 - 20:00
Holiday : 冬の土曜・日曜
Fare : 20HRK

Jewish Heritage Online Magazine: Dubrovnik
http://www.jhom.com/bookshelf/synagogues/dubrovnik.htm

0 件のコメント: