ザグレブの北部にある2つの丘のうち、聖マルコ広場があり、現在の政治の中枢が集まっているほうの丘はグラデッツ(Gornji Grad)と呼ばれ、それだけで1つの街が形成されていた。丘全体が街になるようになっており、その街を囲むように城壁が作られ、その城壁を越えて街とそのほかを行き来できるために、東西南北の4つの門があった。その中で、今でも残っているのが東にある「石の門 (Kamenita Vrata)」だ。
18世紀までは木造で作られていたのだが、門近くで大火災があったのだが、その火災の中でも聖母子のイコンだけが無傷で見つかった。火災のあと、頑丈な石で門は作りかえられたことと併せて、見つけ出された聖母子のイコンを礼拝堂を作ってそこに納めて祀ることにした。だから、いまはこの礼拝堂に祈りをささげてくるひとが耐えない。普通の礼拝堂と違って、ちゃんとした建物ではない礼拝堂はとても珍しいとおもうのだが、普通の道に作られただけの礼拝堂にも関わらず、通る人は必ず十字を切っていく。その姿を見ると、ここが単なる道ではなくちゃんとした礼拝堂なんだなとわかる。更に言うと、礼拝堂なので司祭がいる。司祭が定時になると道の真ん中でイコンに向かって聖書のなかの文章を読み始める光景は、なんだか不思議だ。お祈りの様子をみたいのであれば、昼の12時に合わせてここに来れば良いと思う。聖母子イコンが納められている檻が開放されて、その前に信者たちが熱心にお祈りをしているところを観ることができる。そうそう、この石の門のすぐ隣りに、クロアチアで二番目に古い薬局がある。開業は1355年で、クロアチアで一番古い薬局といえば、ドブロブニクの聖フランシスコ修道院のなかの薬局である。もちろんこの石の門のそばの薬局も今でも営業中である。
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