2011/10/09

ジェルボー(ブダペスト)

ブダペストはウィーンと並んで、カフェ文化が発達しているところである。だから、ブダペスト市内にはたくさんの老舗カフェがあるため、できれば全部行ってみたいところだが、金と時間が全く足らない旅行者にとってはどれか1つだけは行きたいというところを選択しようとするならば、絶対「ジェルボー (Gerbeaud)」を選ぶに決まっている。それだけ、ブダペストの中ではNo.1のカフェであることは間違いない。

場所も良いところに存在している。駅で言うと「Vorosmarty ter」駅であり、これは地下鉄M1号線の終点駅。ドナウ川に近いところにある広場の目の前にカフェはあるのだが、カフェとして店を探すよりも、ジェルボーのビルを捜したほうが良い。すぐわかる。単なるカフェじゃないかとおもったら大間違いで、広場の1面を前面使うくらい大きな建物を持っているのがこのジェルボーなのだ。それもウィーンと同じような白い建物形式になっていて、外から見た建物は重々しく風格がある。パッと見たらどこかの事務所ビルかなーとおもうのだが、建物の前、広場に面したところにたくさんのパラソルと椅子を並べて、そこにたくさんの客が座ってお茶とケーキでカフェを楽しんでいる様子を見ることが簡単に見えるのが、ジェルボーなのだ。道路に面しているわけじゃなく、それほど混まない広場に面しているからということもあるのだが、ジェルボーのために広場を占有している領域が結構多いのは笑える。それだけここのカフェには人がわんさかやってくるのである。
人がやってくるのは理由がある。1つは店内のインテリアが、とてもカフェとは思えず、どこかのサロンなのではないか?というくらいの装飾で出来ていること。もう1つの理由は提供しているケーキ類がめちゃくちゃ美味いことである。

ハンガリーは、二重帝国時代にオーストリアの影響をとても受けた場所なので、カフェ文化についても、ウィーンで洗練された文化がそのまま伝わってきている。ウィーンでのカフェの文化は、店内をサロン化して、そこで情報交換や情報提供をする場所として使われていて、決して道路に面したオープンテラスにテーブルを並べて、そこでカフェを楽しむということは変だと思われていた。このあたりはパリのカフェ文化と大きな違いである。でも、多くのヨーロッパのカフェでは、店内よりも屋外でカフェを楽しむということが一般化してしまっているので、ハンガリーも観光客が多い場所であるからということもあるのだが、きっと来客の要望により、徐々に広場全体にテーブルを広げていってしまったのではないかというのは否めない。ウィーンだったらオープンテラスにテーブルを広げているカフェを見つけるほうが困難なくらいだ。なので、ジェルボーにくる多くの客は、我先にと屋外のほうのテーブルを見つけるため、結構店内のテーブルは閑散としている。個人的にはウィーン文化の流れを汲んでいるこのカフェを楽しんでもらいたいので、是非店内のほうのテーブルを選び、屋外にいる客をせせら笑うくらいの気持ちでいたほうが良いと思う。

店内のデコレーションがとてもすばらしいので、店内で写真をパシャパシャ撮っている人がめちゃくちゃ多い。こんなに店内で写真を撮っているカフェをこれまでかつて見た事が無いのだが、あまりにもたくさんの人が写真を撮っていることもあり、店員のほうも慣れっこで、フラッシュが焚かれようが、店内で食べる食べに入店してきたわけじゃない客がいようが、お構いなしで淡々と仕事をしている。店員も腹が据わった人たちの集まりだ。良い子ばかりが揃っている日本のカフェだと、「他のお客様に迷惑になるので、フラッシュを焚いて写真を撮るのはおやめくださいー」とぎゃーぎゃーうるさいことをいうに決まっている。ジェルボーでは、まずそんな馬鹿な警告はない。店内のデザインを来客にも見てもらうということも、ケーキやコーヒーを提供するのと同じくらい重要なことだと考えているからなのだ。店内のテーブルといっても、これがまた店内もなかなか広い。ジェルボーの店内で晩餐会でもやるんですか?というくらい広い。広いといってもだだっ広いというのではなく、そこそこ広い部屋がたくさんあるという形式だ。だから、夏の日で天気がいいときは、屋外のほうに客が多く行くために、店内の席はスカスカだと先ほど記載したが、全く使わないエリアが屋内だとあるほどテーブルと椅子はめちゃくちゃ存在する。だから、団体客がこの店にやってきても、全く問題なし。余裕で座れる。複数の団体客がかち合っても全く問題なしなのだ。ただ、きっと店員のほうは大変だろう。これだけ屋外および屋内にテーブルの数があるとすると、注文と会計をそれぞれ行うときに、どこのテーブルのものなのかわかんなくなってしまうこともあるだろう。
そういえば、このジェルボーは屋内も屋外もテーブルがたくさんあり、ひっきりなしに客が出入りしているため、テーブルに着いたとしても、店員がささーっとやってきて注文をとろうとすることはない。飲食目的でここにくるのではなく、持ち帰りでやってくる客もいれば、店内写真撮影のためだけにやってくる客もいるので、店内にやってくる客を全部相手にしていることは無いのである。飲食目的でこの店にやってきたのであれば、すかさず店員を捕まえて注文を自ら行う必要がある。注文はそれでいいが、会計についてはモノが運ばれ終わったときに、テーブルで会計を済ませるのが一番スマートだ。食べ終わったあとにまた店員を呼んで会計するとか、レジに伝票を持っていくというのはかなり面倒くさいことである。

さて、肝心のケーキ類なのだが、ここのケーキはハンガリーのスイーツを代表、または顔とも言うべき、基準のケーキを用意しているので、ここのケーキは最高にうまい。甘すぎず、そして薄い味でもない。舌が肥えている日本人にもぴったりとあったもので、和菓子の微妙な味わいにも通じるようなくらいのものだ。スイーツとしては、ケーキ類もあれば、マカロンのようなものまである。どれもこれもすべてうまい。ハズレなしである。ハズレが無さ過ぎて、滞在中、毎日通ってしまい、夕飯後のデザートとして食べていたような気がする。それでも全く飽きが来ない。さすがシシーと一緒にウィーンからやってきて、スイーツの世界をも一緒に洗練化してしまったような気がする。コーヒーについては、ウィーンのように独自のコーヒー文化があるわけでもないので、ウィンナーコーヒーのように固有のコーヒーは存在しない。ブダペストコーヒーというようなものがあれば、絶対頼んでしまうところなのだが、残念だ。もともとコーヒーをハンガリーで栽培しているわけじゃないということも原因なのだと思う。しかし、ケーキが旨いし、そのケーキがコーヒーにとても合うので、なんの問題も無い。もちろん、コーヒーの変わりにイギリスっぽく紅茶にしても問題なし。ウーロン茶とはたぶん味は合わない。ケーキはやっぱり西洋風だからだ。

ちなみにここで頼んだのは以下のもの。
・エステルハージ(Esterhazy Tarta) : 950HUF
・ジェルボー・チョコレート・ケーキ(Gerbeaud Valrhona Tarta) : 950HUF

ジェルボーはブダペストにただ1軒のみ存在するところなのだが、なんとジェルボーの支店は東京にある。なぜ東京にだけあるのか?というのは不思議なところなのだが、それはなんらかの戦略か歴史があるに違いない。今度東京にあるジェルボーにいったら聞いてみたいところだ。東京のジェルボーは青山の国道246号線沿いにある。ブダペストのように巨大な建物やパラソルが店の前に存在するというようなものではないので、ちょっとわかりにくいとは思うのだが、地図を見ていただければ、道路に面しているところにあるので歩いていけばわかるだろう。こどもの国のすぐ近くである。ブダペストに行く金と時間も無い人にとっては、この青山にある店で堪能することでも十分ハンガリーを楽しめることが出来るだろう。種類こそそれほど多いわけじゃないのだが、味はまったくハンガリーのものと同じ。東京店でも店内では喫茶することができる。ただ、やめてもらいたいのは、乳母車で入店してくる馬鹿夫婦。あれは邪魔だ。あとは、小さくうるさい子供をつれて入店してくる馬鹿親も入店は拒否してほしい。ブダペストにはまずそんな馬鹿親は来ない。入店してくる人数は多いのだが、みんなそれなりに礼儀正しく振舞っているから、アナーキーな様子を店内では感じない。しかし、東京店の場合、誰でも彼でもいらっしゃい状態なので、時間と機会によっては、落ち着きもせず、うるさいだけの時間をすごすことにもなりかねない。

激甘しかスイーツと思っていないイギリス人とアメリカ人がここを訪れたら、その味わいにひっくり返ることは間違いないだろう。

Gerbeaud Gasztronomia Kft
URL : http://www.gerbeaud.hu/
Address : 1051 Budapest Vorosmarty ter 7-8.
Postacim: 1364 Budapest Pf. 211.
Tel : +36-1/429-9000
Fax : +36-1/429-9009

カフェ・ジェルボー 東京本店
URL : http://www.gerbeaud.jp/
住所 : 東京都渋谷区神宮前5丁目51?6 テラアシオス青山 1F
電話 : 03-3499-0099

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