ハンガリー建国1000年記念として建てられたもので、ハンガリーの芸術家レヒネル・エデン(Lechner Odon)が建築したものである。建物自体はハンガリーの荘厳建築のなかで指折りのものとして必ずガイドには載っているものではある。ちょっと街中から離れたところにあるために、他の建築物に比べると多少マイナー感はあるのだが、外見の風体に限らず、実は内部の作りもアールヌーボー様式でなかなか見ごたえがある。特に見るべきところは概観なのだが、屋根はハンガリー南部の陶器であるジョルナイで埋め尽くされている。緑色のジョルナイ製の屋根はまた見事だ。日本の瓦とは異なり、当時のハンガリーで屋根に陶器を使うというのはなかなか奇抜なアイディアだったに違いない。ハンガリー人による設計で、ハンガリーの特産を使って建築し、1000周年記念に間に合わせるように作ろうとしたという努力が見え隠れする。
入り口から何か特別な建物に入っていくような雰囲気をかもし出している彫刻や装飾で満ちており、もっと無機質な社会主義的建物がたくさん廻りにあるにも関わらず、ここだけは特殊な建物だという感覚に陥る。手すり、天井、壁とどれをとっても、目新しくて、今でも十分通用するゴージャスな雰囲気で満ちている。建物の中に入ると、入場料を撮られるのだが、簡易ブースみたいなところで料金を払う。館内の撮影は通常は金を取られるらしいのだが、この日はどうもなんでも開放しているようなものなので、写真撮り放題だった。館内の建物の様子や展示品についても撮り放題。基本的に、この博物館も展示物に関する書物が全くといって良いほど無いので、自分で写真を撮って、自分で証拠としてどんなものが展示されていたのかというのを確認する必要がある。この日は、ハプスブルグ家ゆかりの調度品を展示しており、置時計や食器類、そして家具のようなものが展示されていた。
入場料を払うあたりの天井を見てみよう。アールヌーボー形式のへんてこりんな形に刳り貫いた天井からお日様の光が入っているのを見て取れると思う。こういう波型のデザインはアールヌーボーの代表的な作り方だが、建物の耐震構成として実際には大丈夫なのだろうか?と気になる。地震大国の日本ではまず無理だろうが、ハンガリーのような大平原ではまず地震がないので、建物にあまり制約が掛かったりすることはないんだろうな。建物好きな人にとっては、きっと満足のいく建物だということがわかる。是非、建築好きの人は訪れてみたほうが良い。地下鉄の駅を降りてすぐのところだし。方向がわからなくなっても、緑のジョルナイの屋根を探せばすぐわかる。
■住所: Ulloi ut 33-37
■交通アクセス: 地下鉄M3フェレンツ・クルウートFerenc korut駅から徒歩1分
■TEL: (1)456-5100
■FAX: (1)217-5838
■開館時間: 10:00~18:00
■所要時間: 30分
■定休日: 月
■料金: 大人600~2400Ft、学生300~1200Ft
■注釈: 撮影 カメラ500Ft、ビデオ3000Ft
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