自称・社会の落ちこぼれと言っている上杉隆氏。その人生は人一倍大変だったようだ。たぶん平々凡々に生きている人たちにとっては、こんな人生ありえないーと思うことだろうし、自分もそう思った。しかし、それでも彼は成功者として現在は有名人になっている。その成功者という言葉も正確に言うと間違いだとは思うのだが、一般市民として名もない人で終わっていないというところでは成功者だろう。
そんな上杉隆氏がこれまでの批判対象を政治や経済や社会に対して述べているのではなく、世間一般に対して述べている珍しい本があった。それが「結果を求めない生き方」上杉流脱力仕事術」という本だ。
これがまた納得いくような内容が満載になっていて、なるほどーと人生の指南になるような内容ばかりだった。
帯に「結果を出したい、成功したい、上に行きたい、そういう気持ちが、自分を苦しめる」というのが書いてあった。これは誰でも1度は思う欲望ではあるし、それに対して全員が悩むことなのだと思う。その悩んでいることに対して、人それぞれどのように克服するか、または諦めるかだとは思うのだが、この本ではこのように振舞えということは、大きく言えば書いていない。諦めるんだったら諦めればいいし、しがみつきたいならしがみつけばいいというようなことを簡単にいけば言っている。こういう書き方をすると、上杉隆氏が適当なことを言っているなと思われがちだが、そうでは全然ない。自分の体験と、指南した内容を実現したことによってどうなったかというのを実例として示しているだけではなく、実際にいろいろな例を出して、こういう人生もあるんだよーという知らせをしているところが参考になる。
この内容に対して真似をしたいというような人がどこまでいるのかどうかは不明だ。なにしろ、前半は本人の人生そのものの紹介で始るのだが、それを読むと、とてもじゃないが自分にはできないと思う。なにしろ、15歳になったら「おまえは大人になったんだから、自分で食っていけ」と自宅から放りだされたというところから始るのである。15歳というと、まだチンチンに毛が生えて、右も左もわからないような中学生である。そのときに世間の荒波に放りだされたとしたら、もうどうしたらいいのかわからないと普通は思うだろう。
生き残るためにはどうしたらいいのか、そして政治の世界を垣間見たいと考えた人がどのようにその中に入り込んで、結局は鳩山邦夫の秘書になるところから政治の世界を見ることになる。それも最初は秘書面接で不合格を貰っているのだが、また面接にいくというその度胸も素晴らしい。結局、この人、胆が据わっているんだろうと思う。というのも、「いつ干されても、いつ死んでもいいとおもっているから」と本の中でも述べている通り、常にこれが最後になるかもしれないという覚悟で望んでいるからである。これは良い教えだとおもった。それに今の各メディアからの叩かれても平気な振る舞いをしているのも、きっとここから生まれているんだろうと思う。
社会人生活には絶対必要だと言われるのが、人付き合い。フリーランスになったから人との関係をより密接にしなければというおもいではない。困ったときほど他人の力を借りたいと思うのだが、それをするための土壌を作るために、日ごろからちょっとでもいいので、他人との関係は良好にしておく必要があるということだろう。これは中国人の特に客家人にも通じるところだ。特に上杉隆氏は、人生の要所要所において、いい人にめぐり合ってばかりだったのではないだろうかという気がする。秘書になった鳩山邦夫議員の人柄も良かったのだろうし、New York Times の記者になったときにも、日本支局長になった人柄も良かったのだろうし、フリーランスとして活躍し始めたときにも友好関係になった議員の方々もいいひとばっかりだったのだろうとおもう。これは人徳に違いない。でもkその人徳を掴むのも、やっぱり本人の人柄によるところと、日ごろの見えない努力なのではないかと思われる。
欝になりそうになったあと、どうしたらいいのかというような迷った時に、ちょっとパラパラと読んでみて、ちょっとでも人生の迷いを解消してくれるような本であればいいと思う。難しく考える必要はないだろう。真似しようと思わなくてもいいだろう。こういう人も居るんだなーと思うだけでいいと思う。
難しいことが書いているわけじゃないので、30分くらいでさくっと読めてしまう本だと思う。通勤時間の中で気軽に読めるものだろう。
「結果を求めない生き方」上杉流脱力仕事術
著者:上杉 隆
単行本(ソフトカバー): 172ページ
出版社: アスコム (2010/9/20)
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