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ブダの丘で王宮と並んで否応でも目立つ巨大な教会は、やっぱり泣く子も黙ってしまうマーチャーシュ教会(Matyas Templom)だろう。あんな高台にあるのに、真っ白にそして真っ直ぐに立っていて、ブダにいても目立つし、ペスト側からでもよく見えるような場所に立っている。このマーチャーシュ教会、これだけ目立つように建っているのであれば鐘楼にでも登れてもいいと思うのに、登れないみたいだ。でも、ここは下から見上げるのが一番良い。
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マーチャーシュ教会といえば、ハンガリーとオーストリアが二重帝国であることを証明するために、わざわざフランツ・ヨーゼフ皇帝と皇后のエルザーベトがここブダペストにやってきて、ハンガリー王国の国王として戴冠式を行った場所である。本来なら、オーストリア帝国の中の1つの構成国であるだけでいいのだろうが、政治的にハンガリーをオーストリアと同格にしなければいけないことが難しい中欧を収めるための手段にしたのだろう。なかなか難しい選択だったはずだ。天井近くの壁絵を見ると、フランツ・ヨーゼフとエリザベートが聖母マリアとキリストを間に、マーチャーシュ王と並んで膝まずいている様子を見ることができる。
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ハンガリーの国王としてフランツ・ヨーゼフはあまりハンガリーには来なかったが、その代わりに皇后のエリザーベドがハンガリーにほとんど居た。これは、フランツ・ヨーゼフ夫妻にとっては悲劇だったかもしれないが、両国を政治的に治めるという意味では良かったことだろう。そうじゃなければ、フランツ・ヨーゼフ統治下の60年もの間、うまく両国が行くわけが無いし、ハンガリーにオーストリアの文化が浸透し、共産国になったとしても民主化で居たいという土壌が生まれなかったと思う。
そんな土壌にしたきっかけにした教会に入るには入場料がいる。教会で入場料がいるところは結構珍しいのだが、おそらく保存費用として儲けたいんだろうなと思う。漁夫の砦のほうも一緒に見学できるチケットも売られているのだが、こちらは別に金を払ってまで診る必要は無いだろう。
チケットを払って教会へ入ってみると、他の教会とはちょっと違った雰囲気だなーというのを感じることだろう。ステンドグラスが一番解りやすいのだが、これがアラブの影響を受けたかのような幾何学模様になっているのである。だいたいの教会の場合は、キリスト教にちなんだ図柄だったりするのだが、ここではほとんど人物画をステンドグラスに採用していない。この教会が一時期トルコ軍に占領されたことによってモスクとして使われてしまったという経緯の為である。また、壁絵に書かれているのも、なんとなく柔らかい感じがする。いわゆるアールヌーボー風の絵画方式を使っているのである。それから、柱の模様も、イスラム文化圏で見られるような幾何学模様になっているところもおもしろいし、アラブ・イスラム文化の影響をそのまま残したまま教会としての機能を復活させたハプスブルグの許容の広さというのもなかなか素晴らしいと思う。特にあちこちに見られるイスラム型の枠については絶対見てみたほうがいい。決してここがカトリック教会なのかというのを忘れてしまいそうになるからだ。
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中央の祭壇にはマリアの像が飾っており、その祭壇についてもそんなに大きいわけじゃないのだが、なんだか重みを感じ、さらにそれが木造であるというところも、他のカトリック教会とは違うところだろう。
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是非見て欲しいのは、2階から見ることができる、教会内部の様子なのだが、そのロフト状態のところを歩いていると、聖イレム3面折の祭壇というのが見える。ここには、左から聖イシュトバーン、中央は、狩りで命を落とした息子のイレム、そして右には宣教師のゲッレールトの三人が飾っている。一番目立つところにあるわけじゃなく、上の階にあるというところがにくい演出だと思う。それと、ハンガリーの三種の神器である王冠・杓・玉のレプリカが飾っているので、国会議事堂のなかを見れなかった人はここでどんなものなのかなーというのを確認するのがいいと思う。
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マーチャーシュ教会(Matyas Templom)
URL :
http://www.matyas-templom.huOpen : 9:00 - 17:00 (Mon - Sat)
13:00 - 17:00 (Sun)
Admission Fare : 750HUF
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