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ブダの丘にある大きな博物館ではあるのに、あまり興味がないのか、訪れる人が少ないところがある。それが
軍事歴史博物館(Budapesti Torteneti Muzeum)である。入り口自体が、ブダの丘では裏側に存在するため、建物はわかっていたとしても、いったいどこから入館すればいいんだよー?と欲求不満で行くのをやめようとする観光客が多いのではないだろうか?
しかし、中の展示物は結構見ていて楽しい。個人的にはミニタリーオタクは当然涎モノで楽しいと思うのだが、服飾デザイナーのような人たちにも、かなり良い参考物件になったんじゃないかなと思っている。なにしろ、トルコ軍が攻めてきた時代から近代の軍服まで勢ぞろいだし、その時代、その時代に特色のある戦争グッヅや戦争を鼓舞するような身の回り品があったりするのを見るのも、平和な時代だからこそ笑って見られるものなんだろうなと感慨深い。
館内は有料であるので入館料を払って中に進むのだが、ここでは写真を撮るのは許可がある人だけじゃないと撮ってはいけない。カメラを撮る人は、入り口で撮影費用を700HUF払わないといけないのだ。それを払っていないと、あらゆるところで暇そうに立っている監視のおじさん・おばさんたちに「No Camera!」と怒られる。来場者数が少ないこの博物館は、エリアごとにほぼ担当の係員の人が観光客に付きっ切りで監視をする。ただし、カメラ撮影費用を払った場合には、金を支払ったと証明するものを見せると、今度は虫けらのように近寄ってこないし、相手もされない。好き勝手に撮影してーという感じで。この激しいギャップが面白い。
伝説の世界化としている、マジャール民族がハンガリーのカルパチア盆地にやってきたときの遠征の様子の模型もあるのだが、それはあまりこの博物館のメインではない。どちらかというと、この博物館はハプスブルク帝国時代から二重帝国時代を経由して、共産主義の時代くらいまでの時代を網羅している。超近代の兵器や軍事様子については全くここでは展示が無い。むしろ見せ場に値しないという感じだ。
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マリア=テレジアの時代あたりは、まだまだ騎馬および歩兵隊がメインの戦争をしていただけあって、人間くさい生々しい道具や、兵隊宿舎での様子、そして動きやすい服装をしているのが展示されているのがわかる。だんだん近代になってくると、飛び道具が発達し、さらには殺傷能力が極めて上がってくる道具が増えてくるので、戦争の規模も多き来る成るのは手に取るようにわかる。また、第二次世界大戦くらいになってくると、今度は戦争の行為だけではなく、戦争を助長させるようなマスコミと宣伝文句も軍事利用として発達してくる。ヒトラーの時代がまさしく代表的なものだと考えればわかりやすいだろう。
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ヨーロッパの戦争ばかりが中心になって展示されているところに、突如、日本に関係する展示物が出てきたりするから、見逃せない。ハンガリー軍の偉い人から日本に対して感謝状を贈ったときの日本語で書かれた巻物が飾っていたりするのである。どうやら日本近郊で軍艦を率いてやってきたときに、遭難をしてしまい、それを近くの漁民が助けたことによってハンガリー政府から送られたものらしいのだ。
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軍服および勲章の世界に目を移してみると、やっぱり軍事関係者にとっては、勲章というタイトルがほしいがために、戦場では戦いに明け暮れ、戦争前の諜報戦では情報収集に命をかけたり、戦争になった時にいかにすばらしい成果がでるかを道具に願いを込めたりするようなことが起こる。メダルにはその功績を称えるためには十分効力が発することができるものだと言えるのだが、時代によってそのメダルのデザインがだんだん豪華になっているということもなんだかおもしろい。そして、階級がいろいろあることに気付くのだが、写真や絵画でみる、胸にたくさん勲章をつけている本物がこれなのかーというのを感慨深く思ってしまうのである。服装の変遷を見てみる。
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現在の軍服は本当に機能的な性質を重視しているため、明細だったりセーラーだったりするのだが、昔の軍服は動きやすさというよりも、目立つようなデザインだったりして、ちょっと派手な舞台衣装というようなものだった。よく舞台劇で登場するような軍人の服装があるが、あれそのままを本当に使っていたようなので、こんなものでよく戦っていたなーと感心する。しかし、このデザインのまま現在の服装にした場合でも、軍事目的ではなくちょっと派手な服装という意味で転用できるんじゃないのかな?と思う点はたくさん見受けられた。すべてをコピーしてデザインするのではなく、服装の形だけをまねるとか、色合わせの部分をまねるとか、局所的に昔のスタイルを引用して作るというのはあるかと思う。まるで、日本の着物のデザインをベースに、それを洋装のデザインに取り入れるようなものだ。
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これって、銀河鉄道999の車掌か、もしくはベルばらのアンドレ?
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軍事歴史博物館(Budapesti Torteneti Muzeum)
URL :
http://www.btm.hu/Address : Castle Building "E", Szent Gyorgy ter 2. Budapest, 1014
Phone : (36-1) 487-8800
Open : 10.00-18.00, Monday closed
Admission Fee : 1400HUF (Camera 700HUF)
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