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ブダペスト滞在中に、夕方から雨が降ってきたときがあった。それも夕方からその日の夜だけ。雨が降ったのでは、あまりホテルから遠いところに行くのも面倒くさいと思っていたので、近場でなかなかいいレストランがないかなとおもって調べてみたところ、いいところがあった。ハンガリー料理屋のTigris Étterem (Tiger Restaurant)というところで、Tigrisはマジャール語で虎の意味の店。ホテルからは歩いて5分程度のところなので、本当に場所としては便利である。
あまり情報が無いので、適当に行ってみようという程度で気軽に行ってみたところ、ここのレストランは、ちゃんとした格好じゃないと似合わない場所だということが分かる。ちょっと格式高いレストランなのである。だから、なにかしらのレセプションパーティの終了後に、関係者だけ集まって食事会をするような場所なので、この店にやってくるひとたちの服装がかなりちゃんとしている。ジーンズにスニーカーのような格好の人は居ない。たまたま自分たちはジーンズではない格好だったから、まだ扱いは良かったが、後から来た、ガイドブックを片手に汚い格好で入ってきた東洋人(日本人か中国人かは不明)は門前払いされていた。危ない、危ない。そして、この店、実は地元でも人気の店のようで、結構予約がないとダメだったらしい。これもまた、たまたまだったのだが、食事が終わって帰宅する客が居たので、そのひとたちと入れ替えに入店することが出来た。奥のほうがたくさん空きテーブルがあるじゃないか?と思っていたのだが、これはどうやら予約された団体客用のところだったようだ。あとから、これらのテーブルを使ってパーティの二次会みたいな食事会のようなものが始まったからである。
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さて、この店、売りはフォアグラである。フォアグラの料理がかなりたくさんあるので、自分もフォアグラになりたいと思っているフォアグラフリークの人たちは是非行ってみたほうがいい。
この店ではまずはのんびりとメニュを選んだほうがいい。その前にはワインを飲んで、ちょっと店の雰囲気を楽しんでからにしたほうがいいだろう。ただ、ここのワインリスト、すごい高い。まずグラスワインという提供の仕方は存在しない。すべてフルボトル。当たり前といえば当たり前だが、ハーフサイズのような邪道な提供も無い。ハンガリーのワインも当然置いてあるが、外国人観光客用にフランスワイン、ドイツワイン、イタリアワインも用意されている。ここはやっぱりハンガリーにせっかく居るんだから、ハンガリーのワインを注文したいところだ。銘柄がわかんなかったら、ワインソムリエが居るので、聞いて見ればいい。あとはサイフとの相談である。今回はシラーのゲレアッティラ(Syrah Gere Attira)にした(9000HUF)。ワインの産地である南ハンガリーのVillanyの赤ワインである。それと一緒に何も注文をしていないのに、お通しがでてくるのもおもしろい。
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そのほかここで食べたご飯リストは次の通りである。
・Gulasleves(グヤーシュスープ) : 1100HUF
・Hideg Libamaj zsirjaban (伝統的なフォアグラ) : 2400HUF
・Kacsamell, alma es gyomberes akacmez(鴨の胸肉のリンゴと蜂蜜ソース): 3800HUF
・Mangalica karaj, szalvetagomboc : 3900HUF
・Epres Tiramisu (ティラミスケーキ): 1300HUF
・Espresso (コーヒー): 500HUF
グヤーシュスープは、洗面器みたいに大きなサイズのスープだったので、結構大味じゃないのか?とおもったのだが、やっぱり美味しい。ハンガリーではグヤーシュスープは欠かせない。ただ、こればっかり飲んでいたのでは味気が無い。
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そこでこの店自慢のフォアグラを注文する。フォアグラが提供されるというのであれば、少量のフォアグラがなにか他の食べ物と一緒に提供されるものかとおもっていたのだが、そんな奇麗事はここでは許されない。はい、フォアグラです!と言わんばかりの、フォアグラのみ、瓶丸ごと1個どうぞーというような提供の仕方だった。まさかこれが全部フォアグラなわけないよねーと半分ナメていたが、思いっきり期待を外れてしまった。全部フォアグラである。瓶の頭からちょっと「こんにちはー」とされている部分もすべてフォアグラ。これをそのままスプーンで掬って食えというのがハンガリー流である。フォアグラは確かに美味いのだが、そのまま食べると、すごい油っぽい。感覚としては、大トロを少し食べているときには、美味しいーと満足するのだが、大トロばっかり食べていると、その脂でだんだん気持ち悪くなってくる感覚に似ている。こういうものは少し食べるのがいいのであって、一気に全部食べるのはありがたみも、味も良くないと思う。だから、途中でいい加減飽きてきてしまったので、友達が飲んでいたグヤーシュスープと換えてもらった。口直しである。フォアグラだけでも食べていいのだが、これをフランスパンにつけて食べるのもいいと思う。しかしだんだん味が単調になってきて、飽きるのだ。モノはほどほどにとはよく言ったものだ。
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鴨肉はやっぱり美味しい。頼んだ「鴨の胸肉のリンゴと蜂蜜ソース」は、甘いソースに鴨肉はやっぱりあう。合わないというひともいる。もっと味気がなく、脂身の無い鹿肉やトナカイの肉ならいいんじゃないのか?というひともいるが、それは個々の味覚の趣向によるものだから、これはダメ、あれはダメとは言いにくいところだ。ただ、個人的には鴨肉に甘いソースは合うとは思うが、最高の組み合わせというわけじゃないことは確かだ。もっと濃厚ソースのほうが断然良いに決まっている。肉は良いのだが、なぜかこの手の料理には付けあわせとして、必ずといっていいほど、ジャガイモのなにかしらなものが付いているのが気に食わない。お腹を膨らせるためという意図はあるとおもうのだが、パンもあるし、要らない。邪魔。
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もう1つの肉料理は、メニュを忘れてしまったのだが、ハム類とたまご料理のセットだったかと思う。こちらについてはもう記憶が曖昧になっているので、すみませんが、コメントを控えさせて貰います。
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メインを食べたからもう帰ろうかなと思ったのだが、満腹であったにも関わらず、デザートとコーヒーを頼んでしまった。コーヒーはやっぱりこういうレストランで飲むのが美味い。きっと気分なのだろう。デザートはティラミス。味はだいたい想像したとおりだが、飾り付けが可愛い。
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帰りも雨が降っていたのだが、大満足できるレストランだった。こういうちょっと敷居の高いレストランは、やっぱりドキドキするのだが、旅先だから行くようなものであって、東京に住んでいたら、自分の金ではまず行かないと思う。
Tigris étterem
URL :
http://www.tigrisrestaurant.hu/Address : 1051 Budapest Merleg utca 10
Phone : +36 1 317 3715
Fax : +36 1 411 0355
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