ハンガリーを代表とする音楽家リスト・フェレンツは、若いうちからハプスブルグ家をはじめとする宮廷貴族に認められており、その名声は長く世に知られるようだった。何度もハプスブルグ帝国皇帝のフランツ=ヨーゼフから賞状をもらっており、博物館の中にはそれが壁に飾られている。
リストがどんな生活をして、音楽に対してどのような取り組みを持っていたかを垣間見ることができる博物館がアンドラーシ通りに面しているところに建っている。しかし、博物館のビル自体は確かにアンドラーシ通りに建っているのだが、入り口が通りに面していないので、最初必ず迷うことになるだろう。小道になる横道に入ってすぐのところに実は入り口があり、その入り口は常に開いている状態というのではなく、いつもはドアが閉まっており、見た目では普通の家なのでは?と思ってしまうようなところにある。ただ、ドアの横に「リスト・フェレンツ博物館」と書かれているから、ここが博物館の入り口なのだというのがやっとわかるようになっている。
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リスト博物館に入ると、まず全員外履き靴を禁止を言い渡される。ヨーロッパの博物館において、普通の生活が靴の生活をしているからだろうが、いまだかつて靴を脱いで観覧するようなところにお目にかかったことが無い。ここの博物館は、リストが生活をしていた場所そのままを残しているからという理由のため、保存状態を良くする為なのだろうが、全員の靴を脱ぐというのではなく、履いている靴のままスリッパのようなものを履かされ、その状態で館内をうろうろすることになる。なんだか、見た目によっては観覧車の足を使って、床掃除でもしているんじゃないのだろうか?と見間違えてしまいそうになる。大きな荷物もクロークがあるので、そこで預けるほうがすっきりした形で中を閲覧することが可能だ。ちなみに、ここではカメラ撮影は問題なし。
もともと、リストとその家族が住んでいた場所を博物館化しているということもあるので、一部音楽活動とは別に生活スタイルを垣間見る場所もある。
ビルの階段を上って最初の部屋に入ると、リスト愛用のグランドピアノが置かれている場所に出くわす。このピアノを使って実際に作曲等をしていたのだろうと思われる代物だ。
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右の部屋に入ると、リストとその家族に関する紹介および書斎の展示が見て取れる。音楽に関する書物が棚にずらっと並べられていたり、たまには執筆活動もしていたのだろう、書斎の机もあるし、家族の肖像写真も掲載されていたりする。しかし、この男、若いときには今でいうところのピアノ界のアイドル的存在であったため、女性との関係は非常に活発的だったことが残されている。子供写真もいちおうあるのだが、有名なマリー・ダグーとの間の子供だとはいえ、表に出ていないだけでも他にも子供がいるんじゃないのだろうか?という疑問は拭えない。いまのアイドル歌手も、おっかけファンとやりまくったりしているわけで、いつの時代でもアイドルはモテるし、それを拒否してまで自分の性欲を抑えようとはしないのが常だ。リストもまたその1人だったことは否めない。
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個人的に興味を惹いたのは、左の部屋にあるリストゆかりの楽器と演奏会に関する資料の展示である。特に楽器はかなり特色のあるものばかりが並べられていた。1850年代にも関わらず、いまでいうところのエレクトーンの走りみたいなのが既にリストと楽器会社の合作によって作られており、ボタンによって、奏でる音の種類が、ピアノだったりギターだったりするように変更できる形式になっているのは凄かった。たぶん当時の最先端技術を使っていたのだろう。また、ピアノとオルガンを兼用して使えるような不思議な二段式鍵盤楽器があったことも忘れてはいけない。上の段はピアノの音、下の段は足ふみを入れてオルガンと、一石二鳥のような使い方ができる楽器があった。今の時代にもしリストが生きていたら、KORGなどのメーカの鍵盤を使って、どんな演奏を、どんな交響曲を作ろうとしたんだろうかというのは、想像すると楽しくなる。
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演奏会に関する資料については、戸棚の中に、ブダペストやウィーンで演奏されたときのプログラムが残されていたりする。もちろんこの部屋に、フランツ=ヨーゼフ皇帝から送られてきた書簡も展示されているから必見だ。皇帝の肩書きの長さが、あまりにも長すぎるのでそれを見ているだけでも笑えると思う。
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特にガイダンスはここには存在せず、お土産コーナーも用意されていない。純粋な博物館である。ちょっと物足らないなという気もするのだが、そこは記憶の中で鑑賞を補ってほしいところである。
クラシック音楽好きで、実際に交響曲を演奏または指揮する人にとっては、リストは神様の1人だと思われる。現在および過去の演奏家や作曲家に多大なる影響を与えた人であることは言うまでもない。リストについては個人的にはあまり存じ上げないので、作品や演奏方法など音楽的な側面から詳しい説明ができる人がいたら、個別にご教授いただければ大変ありがたいところだ。
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