2011/10/09

神道入門(一個人)

雑誌「一個人」の2011年11月号は、よく知らない「神道」に関する特集。お参りで神社にはいくのだが、実はあんまりよくわかっていないこの宗教のことを特集してくれるとは、日本人としては知っておくべき知識だと思って、手にとりつつパラパラと中身を見ていると、結構知りたいことがたくさん分かりやすく書かれていたので、そのまま買ってしまった。

神道というと神社だが、その神社、前から寺とどこが違うのか?とかなり素朴な疑問が付きまとわっていた。仏教については、お釈迦様や観音様やら、特定の宗教的偶像を用意して、それにキャラクターをつけて、そのキャラクターを敬うという形式であるのはよくわかる。でも、神道の場合は、基本的に自然宗教からの派生なので、実態がないために、なにを拝んでいるのか、なにを祀っているのか、凡人にはよく感じられないのである。ただ、神社の鳥居を潜ると、そこは聖域になっており、神の領域に人間が入り込むことになるというのは、立ち居ることでわかるのだが、たいていの場合は社があるだけで、モノがないので、なにかをその場で感じようとしないと神社に来ましたというのがよくわからないのだ。

仏教の場合は般若心経が一番有名な祈祷のための言葉としてわかるのだが、神社のあの独特の言い回しと、なにを言っているのかちっともわからない祈祷の文言についても、前からなんだろうなーというのが気になっていた。

そんななんだろうなーという神道に対する基本的なことがすべてこの雑誌には書かれているし、それも写真入なので、これから神社にいく場合にはとても参考になるのではないだろうか。

神道のことといっても、その網羅するべき範囲はかなり広い。神社という建物自体のこともそうだし、神道に出てくる舌をかみそうなくらい長い名前の神々たちの紹介もそうだし、神社にも系統というのがあって、仏教で言うところの宗派みたいなのがある。その各流派の教えや広がりの歴史についても紹介されている。それから、一般市民にとっては、もう未知の領域になっている神社での祭祀について、なんのためにそのイベントを行っているのかということも紹介されており、これは天皇家の年間の行事にも関連してくるのだが、派生して天皇家が毎年ニュースとして紹介される新嘗祭などの祭祀についても紹介されているので、とても楽しい。

たぶん宗教という顔で神道を眺めると、拒否感いっぱいになる人は多いのだとおもうのだが、文化が終結した1つの物質的・精神的世界だというように理解すれば、ファッションが好きな人は、神道で着られる服装にも着目すれば楽しいと思うだろうし、建物好きのひとにとっては、社の構造や装飾に着目すれば楽しいと思うし、文学的なことに興味がある人は神の物語や祈祷の文言についても着目すればいいと思うのだ。

神道に関する本はたくさん出回っている。確かにそれを見れば十分な知識は付くと思うのだが、あまりにも最初から入るには敷居が高すぎるため、できれば、一個人のような写真がたくさんある雑誌から入ってみるのもいいだろう。秋になると、決まって出雲大社へいくようなひとが出てくるのだが、そういう人も、自分の願いを叶えたいがためだけの気持ちではなく、もっと視点を広く持って神社全体を楽しんで欲しいと思う。

2011年11月号「神道入門」のLINE UP ラインアップ」
http://www.ikkojin.net/magazine/backnumber/201111.html

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